なおぱんだのひとりごと(note)。

なおぱんだです。note絶賛おやすみ中でしたが、少しずつまた始めようと思います。

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マガジン

最近の記事

静謐。

雪が深々と降り積もる静かな世界で、僕は立ち止まる。聞こえてくるのは、耳元をかすめる風と広げた傘に降り落ちる雪の音だけ。周りに誰もいない中に一人佇み、「静かだな」とポツリ呟いてみると、ちっぽけな僕の声はどこにも届かずに、雪のかけらと一緒に足元に落ちていく。全てを覆いつくした白の世界に足を踏み出すと、靴の下で雪がぎゅっと鳴り、その感触が楽しくなってまた一歩足を運ぶ。先を急ぐ必要のない道行きにふと視線を上げると、先を行く母親の背を追いかける小さな姿が目に映り、さらにその向こうに走り

    • 自由。

      深夜、業務で問題が発生するたびに僕の携帯が鳴った。毎夜交代で責任者が配置されていたが、現状を報告するためにいちいち僕の携帯に電話をかけてきた。上司からの「連絡が来る以上は夜間でも顔を出すのが幹部だ」という言葉に不信を覚えながら、電話がかかるたびに服を着替えて現場に向かった。そのうちに、どうでもいい些細なことでも判断を仰いできたり、自宅の電話が鳴り響いて家族が目を覚ましてしまうことが続き、睡眠不足で少しずつ消耗していった僕は、寝る時間になると電話が鳴る恐怖と疑心で頭の中がいっぱ

      • 音楽。

        学生の頃に触れた音楽を耳にすると、当時受けた感動が胸に蘇ってくる。その頃は好きなアーティストが地元まで足を運んでくれる機会などそう多くはなかったし、ましてや学生の身分でライブ会場に足を運ぶことを受け入れてくれるような社会じゃなかった。当然、音楽をダウンロードして聴くような環境などはなかったので、もっぱら自分でレコードを買うか、またはレンタル店から借りてくるのが一般的で、レンタルしてきたレコードの中には、傷がついて録音はおろか聴くことも満足にできないものも多かった。今の音楽が心

        • 逃避。

          家から2時間ほど車を走らせたところに、ほどほどの大きさの漁港がある。港の両端に沖に向かって延びる長い防波堤が2本と、港内を区切る短めの防波堤が1本あり、それぞれに抱えられるようにして、大小のさまざまな漁船が係留されている。漁がある日は朝早いまだ暗いうちから、船団となって広大な海の沖を目指し港を出ていく。僕の好きな港の一つで、そこに釣りに出かけることが多かった。 波がない真夜中の海面は、まるで鏡の様に静かだ。時折り魚が跳ねて波紋を広げるほかは、水音さえ聞こえない。そんな日は、

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        • 400文字のひとりごと。
          7本

        記事

          桜。

          まだ僕が幼かった頃、自宅の庭に大きな桜の樹があった。その樹は、僕が物心つく前からあったような気がするけれど、いつごろからそこにあったのかはわからない。僕がまだ幼稚園に入ったばかりのころ、家族で移り住んできたと記憶しているので、樹の大きさからするとだいぶ前からそこに根を張って生きてきたんだろうと思う。 僕がその大きな桜の樹を強く意識するようになったのは、中学校に入るころだったと記憶している。毎年春になると、枝いっぱいにきれいな花を咲かせ、日の光を浴びると部屋の窓一面が桜色に染

          波紋。

          生きることには、物事がうまくいったり、楽しいことやいいことばかりじゃなく、壁に突き当たったり失敗したりすることだって当然ある。そんな山や谷を繰り返しながら毎日を過ごすことは、実は生きている日々が平穏であることの証しにもなる。何事もなくただ時間だけが過ぎていく人生だと、自分が何のために生きているのか、何を生み出しているのかわからなくなり、不毛な考えばかりが頭に浮かんでくる。それは足元の水たまりと同じで、何事も起こらなければただの濁った水であり、そこに意味を求めようとしても存在す

          言葉。

          人と会話を交わしている時、相手の何気なく発した一言が胸に刺さることがある。言葉を発した人間に悪意がなくても、放たれた言葉は僕の胸の奥底を突いて忘れようにも忘れられず、ずっしりとした重みを加えながら記憶の中に居座り続ける。ふとしたはずみにその言葉が浮かび上がってきて、打ちのめされた当時の記憶が鮮明に蘇ってくると、それを思い出したことを罰するように再び僕の心を傷つける。 悪意のない言葉ほど自由で罪深いものはないが、相手から投げかけられる言葉の裏側に隠された無意識という名前の鋭い

          ブログ。

          タイトル変えました。 noteはお休みしてますが、同じタイトルでアメブロやってます。 https://ameblo.jp/naopanda0627