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英語学習法with Chrome③リーディング論

那珂です。

英語勉強法シリーズ3回め 今回は「読むこと」についてです。

只今、中学3年生の英語を担当中です。

読むことと言っても、色々なジャンルの英文があるので一口には言えないところもありますが、自分なりに書いてみたいと思います。

ちょっとまとまっていないかもしれませんが、最後までお付き合いください。

1 「読む」と言ってもいろいろある

 単純に「英文を読む」というスキルは、入試が終わるまで必要になるスキルです。

 大学以上になると、google翻訳や、翻訳アプリを活用して英文を読む方が多いのではないでしょうか。「Deep L」など、本当に優れた翻訳アプリがどんどん出ています。サイトにある英文を読む時、いちいち辞書を引いて、自分で調べながら読むよりも、アプリなどを使ったほうが時間の節約にもなります。

 英文を読んで、その内容を考えて、アウトプットすることに重きが置かれるようになりました。

 では、なぜ読む学習がなくならないのか。

 昔は、純粋に「読むこと」が必要でした。自動翻訳が今のように一般的ではなかった時代は、自分で読むしかなかった。文学も、説明書も、契約書も、日記も、メールも、どんな形の英文でも、単語を調べ、構文を使いながら訳する必要がありました。

 ですから、テストの問題も、長文を読むときに文法的な問題を多く含んだものが多かった。

 でも、今は「内容を問う」問題がほとんどになりました。

 長文の語彙数も膨大になりましたし、英文そのものの量が増えました。そして、テストの設問も、文法的な問題よりも、内容について問う問題が主流です。正誤問題や、英語のクエスチョンに英語で答えるなどの問題です。また、表や数字、地図を合わせた問題も多くなりました。

 要するに、「読んだ先の目的」のために、情報を読み取るのが、「読むこと」の意義なのです。

 英語が読めるのは当たり前で、その先の内容や図表が示すものを総合的に考えて、英語でアウトプットするのが、今の読み書きのゴールになっています。

高校生までは、様々なタイプの英文の基本的な形を覚えさせるために、読む学習が設定されています。まずは、基礎体力を作るようなものです。

ですから、トレーニングで楽をしてはいけないから、電子辞書くらいでやめておくのです。

 ある程度の基礎力ができてから、色々な補助を使っていくと、上手に活用できていくのではないでしょうか。

2 「読むこと」で何を学ぶのか


 読むことは、「聞いて内容を理解すること」と、「考えをアウトプットすること」のベースになります。

 文法軽視の傾向が一時ありましたが、私は「それは違う」と思っていました。大事な文法を、シンプルに教えることは、とても大事なことです。「教えてもらったら、かえってわからなくなった。」という授業にならないように、シンプルに系統立てて教えるように気をつけています。

 教えるには、中学校の文法の内容をきちんと把握し、どうやって並んでいるのかを理解しておく必要があります。さらに、今回の教科書改定では、高校の学習内容が中学校に降りてきているため、高校の指導内容もある程度把握しておく必要があるのです。

「読むこと」を起点にしたインプットがなければ、アウトプットすることはとても難しくなります。インプットするという働き自体が、「読むこと」ですから、「ただ意味がわかれば良い」という翻訳作業は、インプットとは言えないのかもしれません。

 中学校では、今だに「意味を追う」読解が主流なのかなと感じています。その先の「これを読んで、あなたはどんな考えを持っていますか。」まで、学習者のモチベーションを持っていけるかが、とても重要だと思います。

「教科書を読むこと」は「内容把握」だけではなく、そのトピックについて、自分の考えを持つこと、さらにそれを英語でアウトプットすることなのだという目的意識を持って学習してほしいです。そうすれば、教科書を読みながら、「この英文は自分の考えとして使える」とか、「この英文を真似して書いてみよう」など、意欲的に学ぶことができるのではないでしょうか。


3 「英文を読む」ためのベースは母語の力

 社会に出ると、DeepLなどの翻訳ソフトやアプリが一般的に使われるようになります。

 これらのアプリやソフト、またスマホなどの翻訳機能を使うと、機械を介して外国語でのコミュニケーションが可能になりますし、膨大な量の英文を一瞬で翻訳することもできます。

機械で翻訳しても問題ない英文、基本的な日常会話であれば、そのようなアプリなどを使いながら、誰でも翻訳したり、コミュニケーションできる世の中になりました。

 でも、「人間にしか作ることのできない」文章もあるはずです。

 優れた翻訳者による文学作品は、機械で生み出すことはできません。

 また、人と人とが直接言葉をかわすことによって生み出される「化学反応」は、機械を介する「間」があれば、難しいのではないでしょうか。

 「人間にしかできない」表現は、(言語、非言語含めて)これからも必要になるでしょうし、「無から有を生む」芸術・文学の分野では、言葉を操る才能というのは、欠かすことができない才能の一つになると私は思っています。

 その才能を育てるために、外国語の能力だけではなく、母語の力もしっかりと磨いていかなければなりません。英語を「読む能力」を育てるためには、母語での「思考力」「読解力」がベースになる必要があります。

 外国語学習者も、指導者も、このことは忘れていけない大事なことです。

 学生のうちに、しっかりと母国語の力をつけてください。自分の言葉で考えて意見を持つ思考力を育ててください。その上にあって初めて、「英語の読解力」が積み上がっていくのです。


 

  

 

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