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コロナ後 中学生の「大切なもの」

激務の12月も、あと1日。29日からようやく年末年始の学校閉鎖日となります。
 
 新年の業務は1月4日からなので、自分の冬休みは6日間のみ。

 仕方ない。諦めよう。

 今、何をしているのかというと、受験生の面接練習と、願書出願の準備です。

 面接練習は、結構な人数がいると一人数回しかできません。自分の学級だけでもと思い、学期末に何人か面接の練習をしました。

高校入試で、必ず聞かれる質問は

・志望動機
・高校卒業後の進路
・中学校で学んだこと
なのですが、
 その中で
「中学校生活で一番楽しかった(印象に残っている)ことは何ですか。」
という質問も、テッパンの質問項目です。

 コロナ前は、大抵の生徒は

 「修学旅行です。」
 「文化祭です。」

 などど答えるのですが、

 今の受験生(自分のクラス)は、

「普段の生活です。」
「普段、休み時間にみんなと過ごすことです。」

 と答える子がけっこういました。

 これって、今までなかった現象。

 中学校時代に強烈に覚えていることといえば、「学校行事」だったのに、コロナ後の子どもたちは、「日常」が大事と答えているのです。

 彼らは、中学校入学から「自粛の日々」を過ごしてきました。
 1,2年生の間、大きな学校行事は次々と中止になり、実施されても大幅な縮小を余儀なくされてきました。
 それ以前は、休校期間があり、学校へ行くことすら難しい時期もあったのです。

 コロナ3年目の今でも、マスク生活は続いていますが、以前よりも規制が緩和され、行きつ戻りつではありますが少しずつ学校の日常が戻ってきています。
 
 我慢の日々が続いた後、彼らは「学校へ来ること」に価値を見出し、戻ってきた日常、特に「友達と対面で過ごすありがたさ」を体感したのだと思います。
 オンライン授業が行われていても、SNSで繋がっていたとしても、彼らの心に残っているのは「教室で、一緒に過ごした くだらないおしゃべりの時間」だったのです。

 以前私は「学校の存在価値が試されている」と書きましたが、子どもたちにとっての「学校の存在価値」とは、「無駄な時間」にあるのだ、ということを生徒に教えてもらったのだと思います。

 子どもたちにとっての「大事なもの、こと」というのは、往々にして 大人にとっての「無駄なもの、こと」だったりします。
 コロナという病は、私たちの周囲から、「人生の余白」を奪い取りました。
 人と合うこと、音楽に触れること、芸術に触れること、チームスポーツを楽しむこと、旅をすること・・・・
 「人生を楽しむための何か」が奪われることは、中学生の彼らにとっては、とても残酷なことでもありました。

 今、彼らが「失ってきたもの、時間」を取り戻すために、どれだけの労力と時間が費やされなければならないのかわかりませんが、彼らにとって何よりも「大切なもの」は、「かけがえのない日常」である、という結論には、脱帽するしかありませんでした。

 君たちには、これから「失われた時間」を取り戻す権利がある。
 人生は、もっと楽しいことがたくさんあるよ。

 受験生一人ひとりに、そう言ってあげたいと思うのです。
 彼らが高校生になった時、思いっきり「青春」を謳歌できるような、そんな社会になっていてほしい、世界になっていてほしいと願うのです。

 君の過ごす日常は、君にとって、かけがえのない時間なんだ。

 卒業まで、あと3ヶ月。
 どうか、これ以上彼らの「時間」が奪われることがないように。
 
 新しい年の始まりを前に、心から願っているのです。
 




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