見出し画像

編集者が何をしているのか知られてなくて悲しい…「コンテンツ編集」ってどういう仕事?

「編集者」という言葉の認知度はそれなりにあると思うのですが、実際にどういう業務内容なのかを知っている人は意外に少ないみたいですね。

ここでいう編集者は、私の職業である「雑誌/Webの編集者」のこと。なんとなく「記事を作っている人」というのはわかるものの、具体的に何をやっている人なのかはわからない…みたいな存在なのかも。

そこで、同業者の方にとっては退屈だと思いますし、自分でもこんなこと書いて意味あるのかなと思っているのですが…今後「どういう仕事なんですか?」と聞かれたときに読んでもらおうかなということで、ざっくりと「編集者とは何をする人なのか」について書いてみます。

おはようからおやすみまで制作物を見つめる編集者

確かに、

ライター…文章を書く人
カメラマン…写真を撮る人
スタイリスト…きれいな服を着せる人(服のスタイリストだけじゃないですが)
ヘアメイク…顔と髪を美しくする人
編集者…???

カタカナのお仕事はざっくりでもイメージはつきますが、「編集者」という字面から仕事内容を推し量るのは難しいかもしれませんね。

昔から、「編集者です」というと、実に多くの人たちから「書くのが好きなんですね!」と言われるので、ライターと編集者がごっちゃになっているんだなぁと常々思っていました。

まぁ、ある程度のライティングスキルがなければ校正はできないので、「文章を書くことが得意(好きかどうかは別)」なのは間違いないですし、「編集者 兼 ライター」という人が世の中にはとても多いので、ごっちゃになってもおかしくはないですね。

かくいう私も、かつて編集者を志す前は、ライターと編集者の違いを曖昧に捉えていた節はあります。そのころ愛読していたのが「rockin’on」をはじめとするロッキング・オン社のメディアで、編集部の方々はみな原稿執筆もがっつりやっていました。そのため、てっきり「編集者はライティングもやるもの」なのだろうと…。

しかし!編集者とライターはまったくの別ものです。

編集者とは、1本の記事orひとつのメディアを最初から作り上げる人。いわば「おはようからおやすみまで制作物を見つめる人」という感じでしょうか。一方、ライターは記事のテキスト部分のみを担う人です。

具体的に編集者がやっていることは何か

次に、Webの編集者が1本の記事を完成させるまでに行っていることをざっと挙げてみましょう。

・企画立案(←編集者の肝。これができないと編集者とはいえない)
・スタッフ(ライター、カメラマン、イラストレーター、スタイリスト、へアメイクなど)のアサイン
・各スタッフへのディレクション(←いちばん丁寧に、時間をかける)
取材記事なら↑に加えて
・取材したい人へのオファー&取材スケジュール調整
・撮影スタジオなど取材する場所の手配
・(場合によっては)事前にカメラマンさんとロケハン
・撮影の段取り(香盤表)を決める
・(場合によっては)食事や軽食の手配など
・当日の取材・撮影のディレクション
・原稿の校正
・取材させてもらった人へのチェック出し
・写真やイラストのチェック
・なんか他にもある
<その他>
・全体の制作費の計算
・謝罪(たまに誰かしらにしなければならないときがある)
・数々の雑用

紙メディアだと、これらに加えて全体のページ割りである「台割」を決めたり(これは編集長レベルの人がおもに行うことですが)、デザイナーや印刷所とのやりとりがあったりなど、やらなければならないことはさらに増えます。

こうして改めて列挙していくと、やることが多いですね…。日々、複数案件が同時進行し続けているので、本当に忙しいときは、ときどき自分が何をやっているのかを見失うことはなきにしもあらず…いや、私は進行管理の鬼(自称)なので、まったく問題ないです、ないですよ。

一連のあれこれのなかで、私が最も重要視しているのは、企画立案はもちろんなのですが…実際は各スタッフへのディレクション。ライターさんをはじめ、共に記事を作るスタッフ全員に「どういう記事にしたいのか(誰に向けて何をどう伝えたいのか)」をお知らせしつつ、各々にどういう感じに仕上げてほしいのかを細かくお知らせします。
ここを怠ると大変なことが起こる(思ってもみない方向に仕上がることもある)ので、自分が頭に描いている記事の仕上がりイメージを皆さんにしっかり理解してもらい、取り組んでいただくのです。

こうして、さまざまな分野のプロの方々の仕事を結集させ、記事として完成させるのが編集者の仕事。いわゆる監督ですね。

編集者の醍醐味ってなんだろう

これまで書いた通り、編集者の仕事は自分一人で完結できるものではありません。ライターさんやカメラマンさんたちの力添えがあって初めて成立します。

企画を立てた段階で、その記事をどういう仕上がりにするのか、編集者の頭の中に絵はできており、ちゃんとディレクションをすればしっかり仕事をしてくれる外部スタッフにしか依頼していないというのはあります。それでも、各々がそれを上回るものをあげてきてくれたときには、鳥肌が立つような喜びが。
そして、そのプロの仕事の集合体が記事となってWeb上に登場すると…またうれしくって抱き合いたくなる。

このように、「この人すごい!」と思えるプロの仕事人たちと共同作業ができる感動もありますし、「おはよう」から見つめた自分の子供のような記事が人様の目にふれることで、見ず知らずの方に喜んでもらえたり、役立ててもらえたりすること…それが編集者の醍醐味なのかもしれません。

しかし!それはただの自己満足であって、本来のゴールではないのです。
今はクライアントワークがメインである私の場合は、

1. 読者がうれしい
2. クライアントがうれしい
3.(取材記事なら)インタビューイーがうれしい
4. 成果が出る(集客、CVに貢献する)

この4つをすべて満たして初めて「よし(๑˃̵ᴗ˂̵)و」となる。みんなをハッピーにしないといけない責任が伴います。がんばらなくちゃ。

編集者は忙しいうえに地味とか、いろいろ言われますが、どんな職業でも仕事は地味だし大変です。でも、それまでの苦労が一瞬にして報われるほどの喜びを一度でも味わってしまうと…いや、そんな大袈裟な話ではなく、シンプルに出来上がった記事を見ることができただけでも、「またできた♡」とうれしくなって、やめられないんですねー。

こんな感じで、「編集者とは?」は伝わりましたでしょうか?

<おまけ>

画像1

だいぶだいぶ昔(パンク誕生から30年後くらいの、パンクが人気あったころ)に、編集担当の一人として初めて手掛けた本。この子が出来上がってきたときの言葉にならない感動は、今ある私の血肉になっている気がします。写真を撮ろうと思って久々に本棚から出したけど、なんだか気恥ずかしくてページを開けなかった。今でも買えるのかな?

Twitterも一応やっています!よろしくおねがいします!☆

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?