「ロッツォシチリア」阿部 努さん、4月10日の答。
―いつものメニューをテイクアウト―
「楽しい」が約束されているシチリア料理店「ロッツォシチリア」。この元気溢れるトラットリアがマスク着用を決めたのは、2月19日。まだ危機感も薄い時期、多くの同業者に「ナーバス過ぎじゃないか」と捉えられるなか、「これが今の東京の飲食店の回答」と踏み切った。
自分の店でもし感染する人がいたら、商店街にも、イタリア料理仲間にも、飲食業界にも迷惑がかかる。店主の阿部努さんに言わせれば「すべてのレストラン関係者一人ひとりが、この業界を代表しているという意識で」いたほうがいい。これが「今の」「東京の」「飲食店の」回答なのだ。
テイクアウトでも、食べ頃を狙うシェフ
4月8日からテイクアウトを始めて、め、ちゃ、く、ちゃ、バタバタです! 今日は3日目なので少し慣れましたけど、初日はもう大変で、お待たせしてしまったり。
「ロッツォシチリア」のいつものアラカルトメニューを、昼は12〜14時、夜は17〜20時の間で受け取りに来ていただくシステムです。
先に電話注文してもらうのに、なぜお待たせしちゃったかというと、まずはありがたいことに想像以上の数があった。
加えて、料理人の習性として「一度に全部出す」とか「作り置きしておく」ことに慣れていないというか、脳みそがそうできていない(笑)。前菜→プリモ→セコンドの流れが体に染みついているんです。
それを全部いっぺんにって言われても、脳みそが「ホントにいいの?」って。
でも僕、シェフのそういうところ、カッコいいなぁと思うんです。カポナータ(シチリア風茄子のトマト煮込み)なんか早めにパッキングしておけば効率はいいんでしょうけど、彼いわく「早過ぎると水分が出てきてしまう」と。温かい料理は至ってはもちろん、家でも温かいうちに食べてもらえるよう、取りに来られる時間を計算して、食べ頃を狙って仕上げたいという。それは料理人としての矜持です。
店のメニューを出しているのは、通常営業の予定を急に変えたので食材があるのと、(取引先のためにも)仕入れをしたいから。でもこれからどうなるかはわかりません。
ちなみに昨日、9日は新作のミニバーガーが登場しました。非日常の時にしかできないものもいいよね、とシェフが1日で商品開発。淡路イノブタの自家製プロシュットコットとエメンタールチーズ、バンズも自家製です。
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