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「シンシア」石井真介さん、4月8日の答。

ー通販とデリバリー、そして社会活動ー

驚きと楽しさが溢れるフレンチで、〝予約が取れない〟の代名詞のような「シンシア」。石井真介シェフは、普段から「料理人の労働環境を変える」「料理人の社会的地位を上げる」ために考え、そして「動く」料理人だ。
今回も補償を求めて交渉すべく、シェフ仲間と議員に会いに動く。その温度差に愕然としながら、でも、石井シェフはけっしてあきらめない。
行政の「外出・会食の自粛要請」を受けて、この人気店を1カ月も休業。求めには応じた、だからこそ行政にも堂々と、言いたいことが言える。レストランは閉じるが、通販やデリバリーを立ち上げ、ボランティアで医療施設へ料理を届ける。


報道のたびにキャンセルが

2月くらいから、同業者の間では(予約が少ないなど)動きがおかしいという噂は聞こえていて。でも僕の店に関して言えば、4名などの会食のキャンセルが出てきたのは3月に入ってからです。
それからはパンデミックとか、自粛要請とか、そういった報道のタイミングのたびにキャンセルが出る。ただ最終的には席が埋まって、3月の売上は昨年比でマイナス5%くらいでした。

3月から、「シンシア」では席間を広く取るようにしていたんです。ソファの4席を3席までに、テーブルは20席を間引いて15〜17席に。
入口にはアルコール消毒を置き、お客さんが入店したら最初に化粧室へ誘導して手洗いをしていただくこと。もともとおしぼりは煮沸消毒していましたが、より殺菌効果の高い手拭きも置いて。スタッフは全員、毎日検温します。

ただ、マスクについては迷いました。フレンチレストランでマスクって……うーん、食事の空間も楽しみに来てくれたお客さんに、逆に嫌な思いをさせちゃうんじゃないのかなぁと。
マネージャーに相談したら、やっぱり空気感を損ねるよね、ということで結局しませんでした。緊急事態宣言の後だったら、していたと思います。

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