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「TACUBO」田窪大祐さん、4月8日の答。

ー客数を制限した縮小営業ー

東京のレストランからお客が遠のき始めても「TACUBO(タクボ)」(恵比寿)は満席だった。それだけこの店を愛し、何度も通う常連客が多いということ。彼らとの関係を、オーナーシェフの田窪大祐さんが大事に育ててきたということ。
オープンキッチンのカウンターと個室。薪の火で肉を焼き、産地から届く季節の野菜をコースに仕立てる上質なイタリア料理店である。
シェフであり、7人の雇用主でもある田窪さんは「縮小して店を開ける」選択をした。

レストランとしてどう在るべきか

じつは3月下旬まで影響はほとんどなくて、毎日満席の状態でした。キャンセルは出ても、代わりに新規のお客さんが入ってくれる。ただ、一方では2月からずっと悩んでいたんです。どこまで対策を取るべきか、レストランとしてどう在るべきか

その時点では、こう考えていました。
「せっかく来てくれたお客さんが、マスクのスタッフを見て、1席空けて通されたらどう感じるだろう?」
「気持ちが落ちるんじゃないか?」

それは僕らの役割とは違うんじゃないのか。それよりも、こんな時期に予約してくれたお客さんだからこそ120%のテンションで迎えようと、そっちのほうへ振り切った。
当時は、国や都が何もしてくれないことへの意地もあったかと思います。

でも3月25日に小池都知事が週末の外出自粛要請を発表し、店の方針を改めることに決めました。
きっかけはお客さんの言葉です。医療の専門家であるご夫妻が個室を予約してくれたんです。店の入口から個室に向かう途中でちらっとカウンターが見えるんですけど、奥さんのほうが、「満席だからこそ心配」だと。
コースの食事には3時間〜3時間半くらいかかります。その間、カウンターは不特定多数が近い距離で並ぶ状況になるので。

お客さんが不安では、喜んでもらうことなどできません。
そこで席数制限をしました。8席のカウンターは1組ずつ1席空けて6席に。4〜6名用の個室も2名まで。すでに個室をご予約いただいていたグループは、こちらからお願いしてキャンセルとさせてもらいました。

スタッフの手洗い、消毒、マスク着用。サービスだけでなく料理人も調理中以外は着用し、うちはオープンキッチンですけど、マスクなしでお客さんと話をしないこと。

お客さんにも、ご来店後はまず化粧室で手洗いしていただき、席に着いたら手の消毒。お店は30分毎に換気します。あ、ちなみにスタッフは全員電車に乗らず、自転車通勤です。
それが昨日、4月7日までの取り組みです。

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