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空を飛ぶのは「じゅうたん」か「学校」か 「サテライトスクール」とは?


はじめに

管理機能を持たない、自社オフィスから離れたところに用意した小規模オフィスを「サテライトオフィス」と呼んでいます。「サテライト=惑星」なので、従来のオフィスのその周囲にあるものといった意味合いです。離れるといっても、都市型・郊外型・地方型と目的によってエリアもさまざま。

今回は、同じくサテライトを冠にする「サテライト『スクール』」のお話です。

サテライトスクールとは?

学校の最小機能は教室。教室をまるごと「学校」から離れたところに用意して授業をします。これが「サテライトスクール」です。具体的な事例を2つご紹介します。

(1)新渡戸文化学園さんの「旅する学校」


参加者は新渡戸文化中学・高等学校の生徒さん。同行するのは学校の先生。新渡戸文化学園の探究進学コースの1つが「旅する学校」という選択式のスタディツアーだそうです。3年間で最大4回のツアーを国外・国内から選択し、1つのエリアに対して十数名のツアー形式で実施。ツアーをつくることにも挑戦できるとのこと。規模体験学習をメインとした内容で、オンラインによる事前学習と現地でのリアルな体験を織り交ぜています。 高1年〜高3年の異なる学年でチームを作ります。

(※↑ブログはほんの一部のご紹介です)

生徒さんらは、漁村の古民家に宿泊して定置網を体験したり、世界遺産の熊野古道を散策したりと、大人から見てもなかなかない機会を経験しています。授業で聞いた知識が、体験を通じて感情とともに自分達のものになっていきます。高校生ともなれば、体験の先の考察も聞いてみたいところ。

新渡戸文化学園ブログより下記引用)

この体験をした生徒たちは、今、以下の課題に取り組んでいます。
「地域で起きている課題とそれに対する具体的な取り組みを紹介し、課題解決に向けてあなたの提案を1つにまとめて書きなさい。」
実は、某大学の総合型選抜入試の課題なのです。
最終日の振り返り会では、生徒たちは東京に戻ってから深めたい学びのテーマや、プロジェクトの企画について、一人ひとりの生徒たちが提案を始めていました。
探究進学コースの旅は、無事に家まで帰ったら終わりではなく、ここから「はじまり」なのです。

教科書やニュースで見聞きすることと、体験が紐づく。自分事として考えることを続ける。体験学習の良さと深さがよくわかりますね


(2)LCA国際小学校さんの「サテライトスクール」

教室単位ではなく、希望者数名での実施。上述の「旅する学校」との大きな違いは、①小学生の異学年の希望者の参加②保護者同伴での地方への滞在③通常授業でも英語学習に特徴があることです。

学校・生徒・保護者がオンライン授業に慣れているため、通常授業の受講は大変スムーズ。授業が終われば外へ飛び出します。


2022年1月10日〜2022年1月14日に初めて実施した「サテライトスクール」では、「4人の生徒とその家族・LCA国際小学校の日本人教員1名と外国人教員1名」が徳島を訪れました。
●1日目 旧海部中学校グラウンドで外国人教員が主導となり、地元の方と一緒にラクビーゲームを介した地域交流会
●2日目 オンラインで学校での授業を受けた後は、藍染め体験へ。
●3日目 アクティビティ体験デー。浪切不動尊にて灯明杉ある林の空気を全身で感じたり、城満寺で来し方に思いを馳せたり。牡蠣養殖の見学、DMVの試乗などなど。

この後もいろいろなことを体験した5日間のようです。オンラインでは得られない「体験」を存分に楽しんでいる様子がうかがえます。

同行した今井さん(LCA国際小学校 副校長)によると

「違う学年の希望者家族で集まったが、子ども同士はあっという間に新しい仲間をつくり、保護者同士は初めましてから始まって、最終日には家族ぐるみで仲良くなったのが印象的」「子ども・保護者・先生が共通して初めて知る・体験することも多く、ともに過ごす時間も長いので、親密になった」

とのことでした。「同じ釜の飯を食った仲」に近いものがありますね。「また徳島に行こう!」と子ども同士で約束する予感がします。

サテライトスクールとデュアルスクールの比較 

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上記2つのサテライトスクールの記事を拝見して、「サテライトスクール(少数〜教室単位で別の地域で学習をする)」と、「デュアルスクール(単身で別の地域の学校へ通学する)」との比較をしてみました。

それぞれ良い点があるので、「体験学習を短期間に深めるたいなら、サテライトスクール」「生活体験のバリエーションを深めたいなら、デュアルスクール」というように、目的に合わせて選んでいただくのがよいでしょう。

おわりに

コロナ禍は人の行き来を制限しましたが、一方で、移動から自由になった私達は働く場所と暮らすと場所の制約が減りました。次は学ぶ場所です。

十分な感染対策とICT教育の充実により、机上の「知識」と血の通った「思いと実感」をつなぐ体験を重ねる。そうすれば自ずと実現したい未来をみつけ、学ぶ意味と活かし方も見つけることでしょう。体験の積み重ねが明るい未来をもたらすと考えます。






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