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SIerから150億以上調達したベンチャー に転職したことで気づいた自分の力量と思考停止状態

はじめに:泣けるほどの仕事をする

2021年8月8日に東京オリンピック2020が終わった。特に印象に残ったシーンがある。サッカーの3位決定戦が終わった瞬間に久保選手が座り込み、人目も憚らず、号泣したシーンだ。「人前で泣くなよ」って人もいるかもしれないが、僕にはそう映らなかった。忘れていた感情を再び呼び覚ますシーンだった。

”プロジェクトが終わった時や仕事の区切りがついた時に、嬉し泣き(悔し泣き)が出来るほどの仕事が常にしたい”という感情だ。「泣けるほど」仕事に打ち込めているのか、というのが自分の中では仕事の良し悪しに対する一つのバロメーターだ。

自己満足に映るかもしれないが、熱量をもって、努力して取り組んでいなければ、「泣ける」ということはない。「泣ける」ということは成果がはっきりしていることでもあり、その成果に基づいてさらに次のステップに挑める。

では、今は、どうなのか?

正直幾度となく、退職を考えたが、今は、胸を張って”「泣けるほど」仕事に打ち込めている”と言える。

今回から数回に渡っては、FiNCというベンチャーに入社して戸惑ったことや前職で培って今でも活きていること、FiNCの事業に携わり得たことなどを通じて、「泣けるほど」の仕事(転職先)を選ぶ上で大事な視点をお伝えしたい。

2015年、35歳ではじめての転職先がFiNCだった。そもそも前職のSIerから転職する人は少ない。転職するとしてもマイクロソフト社やミドルウェアベンダーなどのソフトウェア系の企業や協力企業のシステム開発会社に転職する人が多い。

しかもFiNCは当時社員数60名程度、シリーズB直後でまさにスタートアップだった。

全く畑が違うところに飛び込んだわけだが、そこで真っ先に感じたことは以下の4点だった。

①え?大学生なんですか?
②メッセンジャーが当たり前
③本当に同じITを扱う会社ですか?
④仕事の進め方が違いすぎるんですけど

①え?大学生なんですか?

入社して、すぐにオリエンテーションがはじまった。入社後に実施すべきことやルールなどをその担当者から聞いた。「次回の私の出社日までに●●をやっておいて下さいね」と言われた。「え?次回の出社日?」と内心思っていると「私、インターンなんで大学行かないといけないんです。」と言う。「うそでしょ・・・。あなた大学生なんですか??大学生が入社オリエンテーションやっちゃうんですか・・・」。社員だと思っていた人が自分より15歳位も年下のインターン生でした。

他にも社内ではインターン生が社員と同等に活躍していた。会社はそのメンバーがいないと成り立たないくらいの状態だった。大学生の意識の高さと優秀さに驚きと焦りと戸惑いを覚えた。

②メッセンジャーが当たり前

メッセンジャーで連絡を取ることが「当たり前」なことに衝撃を受けた。

前職では、連絡手段は、基本メールと電話。Facebookで友達になる、というのはプライベート上で連絡を取る手段として友達になることが主だった。

仕事に関係することをメッセンジャーでやり取りすることはむしろありえないと思われていた(2015年当時のことなので今はわかりません…)

それが、何らかのきっかけで知り合いになり、まずFacebook上で友達になって、それから連絡を取る際は、メールよりもメッセンジャーでやり取りをする。そこに関わる人がどんどん加えられ、グループになり、話が進んでいく。

XXXX様
大変お世話になっております。
XXXXです。

のくだりはない。

「セキュリティ」「コンプライアンス」の観点でSNS上への仕事関連が控えられる大企業と違い、Facebook上は、繋がった「友人」たちの動向で溢れ、そこでさらにInputが増えるとともにお互いの事業の支援をするきっかけにもなっていた。

③本当に同じITを扱う会社ですか?

前職では周囲の先輩や同僚のサポート&大人な背景と配慮をもちろん受けての話ですが、新人賞や事業部特別賞などの表彰をされ、海外赴任までさせてもらい、「自分はイケている」と完全に調子にのってました

ところが、FiNC社内で使われている言葉やツールがまず使いこなせない。同じITを扱うものであれば、大丈夫と思っていたが、まずMacやGoogle Workspaceを使いこなすのに時間を要した。例えば、ファイルサーバーがないことにも驚いた。

前職では、企業向けに基幹システムなどのアプリケーションをオンプレミスやクラウド上で構築する提案をしたのに対して、FiNCでは一般消費者向けのアプリを提供していたので、ベースの考え方が違い過ぎていた。

要件定義・論理設計・開発といったウォーターフォール型からアジャイル型の開発スタイル。FiNCでは、なおかつそれをUI/UXから開発までのすべて社内開発している。これでは前職の知見がほとんど生かせない。

④仕事の進め方が違いすぎるんですけど

仕事の進め方も大きく違った。KPIを設定し、プロジェクト終了後は、KPTで振り返り、振り返った内容をもとにネクストアクションを起こしていく。ネクストアクションが積み上げられ、その進捗が定例会で確認されていた。

議論で使われる資料の作成スピードも早かった。体裁は気にせずテキスト、箇条書きでも論点が何かがまとめられていた。一方の自分は、前職時代より「資料を作成すること」が目的になり、図形などを駆使しながら、お絵かきをしていたことがわかり、恥ずかしくなった。資料作成を目的とするような仕事の仕方をしていたので、その後のアクションが遅いこともすぐに気づかされた。

その後、まだまだ僕のイケていないところは明るみになっていった。

ある採用イベントを企画し、実行しようとしていた時のこと。当然ながらまずどれだけの人にこのイベントに参加してもらえるのか、が一つのKPIになる。しかし「集客」手段をイベント告知ページや人事メンバーのFacebook上でのシェアにとどめてしまっていた。

「友人」やフォロワーの多い経営陣にFacebook、Twitterで投げかけてもらうことやエージェントに連絡し、集客を促すことなど「集客」の為の「ありとあらゆるできること」を考えられていなかった。

知らない言葉や仕事の進め方は覚えればいい。しかし気づかぬうちに自分の限界を決めた業務の仕方をしていた。前職でもうまくいかないことを「うちの会社は・・・」としていたが、今思えばその時点で他責にして「思考停止」していたのだと思う。

ゴールを導く手段を分解し、その時に使える人的リソースとROIを踏まえて実行施策を決める。物事を追及し、本質に落とし込み、フレームワーク化し、それ以降も再現性が高い状態を生み出す仕事の進め方をしていればこのようなことにはならなかっただろうし、やりようがたくさんあったはずだ。

さらに、自分が未熟だと感じたのは、自分なりの見解を言語化出来ないこと、そして言語化できたとしてもその考えのFACTが乏しいことだ。その為、周囲を動かすことが出来ない

結局、前職では、上司・先輩・同僚が敷いてくれたレール上のタスクをこなすことしかしていなかった。

これらの反省から、なぜ今、”「泣けるほど」仕事に打ち込めている”かは次回に記載したい。

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