【クリエイティブ分析】アメリカ大学バスケ特集③最終決戦Final Four
アメリカ大学バスケトーナメントの紹介は多くの方にご覧頂いているようでして、誠にありがとうございます。今回は最終決戦、Final Fourです。コロナ禍で行われた昨年との比較も行います。
パート1&2は下記をご覧ください。
Final Four - 準決勝
Final Fourは準決勝に進出した4チームの戦いを意味しています。そして準々決勝までは4ヶ所に分かれて開催されましたが、Final Fourからは1つの場所で実施されます。今年はニューオーリンズで開催されました。
毎年地上波のCBSとケーブルチャンネルのTBSを中心としたTurner系列がFinal Fourを交互に中継しており、今年はTurner系列が下記の準決勝2試合と決勝戦を放送。今回特に注目されていたのが2試合目のノースキャロライナ対デューク。同じカンファレンス(ACC)に属する両雄の激突であり、さらにデュークを長年率いてきてこのトーナメントで引退するコーチKことマイク・シャシェフスキーが、Final Fourまで進出したことで大きな話題となりました。
プレゲームショー
プレショーはTBSでオンエア。最初は”At the Final Four”としてCBSのスタジオショーのチームがスタジアムの外に設置されたスタジオから伝えていました。
イントロで印象的だったのが、スポンサーであるAT&Tのドローンカメラでスタジアムの中に入っていくというシーン。ESPNがプレショー番組College Gamedayで積極的に使っている印象がありますが、これに触発されたのでしょうか。
ちなみにコーチKの最後のホームゲームにおけるESPN College Gamedayのイントロでもドローンカメラが使われていました。
番組内容は事前に収録されたコーチのインタビューなどを盛り込んで様々な分析を行っていました。
そしてイントロの映像ではFinal Fourの出場チームの名前が記されたバージョンになっていました。
ちなみに昨年の様子はこちらです。雰囲気が全く異なります。
その後TBSのスポーツ中継を運営するTurner Sportsのチームがスタジアム内の特設スタジオから”Final Four Show”として放送。
こちらはツイートを紹介しながら話をするというTurner Sportsお馴染みのスタイルで番組を進行していました。
ちなみに昨年の様子はこちらです。
こうして第1試合のビラノバ対カンザス、第2試合のノースキャロライナ対デュークの試合に突入します。
準決勝ハイライト
第1試合のハイライト
第2試合のハイライト
尚、準決勝の2試合はTBS、TNTさらにTruTVで中継されました。
ポストゲームショー
劇的なACCのマッチアップを終えて、コートサイドの特設スタジオから”Inside March Madness”をTBSで放送。
これだけ多くの観客をバックにして放送するスタイルが本当に久しぶりです。下記は去年の劇的な幕切れとなったUCLA対ゴンザガの試合後ですが、雰囲気が全く違いました。
去年のFinal Fourでのゴンザガのブザービーターは本当に痺れましたが。下記が最後の瞬間です。
ACCNのポストゲームショー
ACCの2チームがFinal Fourに出場したからには、ACC専門チャンネルのACCNが取り上げないわけにはいきません。試合終了直後から特番"Nothing but Net"を放送していました。
番組の最後では、今日で引退するコーチKへの感謝の言葉が伝えられました。
National Championship - 決勝戦
プレゲームショー
そして現地月曜日。東部時間夜7時から2時間のプレショーChampionship CentralがTBSで開始。
またACCNでも特別番組が放送されていました。
“The Commencement”
プレショーの最後のセグメントでは、”The Commencement”として決勝戦に出場する選手に対して"式辞"が送られました。式辞を送ったの女優のルピタ・ニョンゴ。
こうして決勝戦が始まっていきました。
決勝ハイライト
そういえば昨年の実況ブースはソーシャルディスタンスがされていました。
決勝戦もTBS、TNTさらにTruTVで中継され、決勝史上最大の点差をひっくり返す劇的な結果になりました。前半を終えてノースキャロライナが15点リードしていたものの、後半に入ってカンザスが一気に追いつきます。ここからは一進一退の手に汗を握る展開。特に最後の3分は必見です。
ハーフタイム&ポストゲーム
ハーフタイム、ポストゲーム共にコートサイドの特設スタジオより放送。
準決勝と同様、非常に盛り上がっていました。
そういえばこれはプレゲームから印象的に使われていましたが、特設スタジオの前方が様々なCGで演出されていました。
自社サービス&チャンネルの宣伝
話は少し変わりますが、Final FourはTBSにとって2年に1回やってくる、全米に注目されるチャンスです(2年に1度なのはCBSと交互に中継しているため)。そのため親会社のワーナーは自社が展開するチャンネルや動画配信サービスなどを積極的に宣伝していました。まずご紹介するのがCNN+、そしてHBO Maxです。HBO Maxで配信される数多くの映画を宣伝していましたが、画面下部に小さく「劇場公開後」と書かれていました。
またTBSの今後の番組の宣伝が数多く行われていただけでなく、TBSの系列チャンネルであるTNTやTruTVの宣伝も行われていました。
CNN+についてはこちらで詳しくご紹介しています。
視聴率の結果は?
明暗が分かれた準決勝
まず準決勝の2試合では明暗が分かれました。ノースキャロライナ対デュークは1,766万人が視聴し過去20年のFinal Fourではトップ5に入った一方で、カンザス対ビラノバは1,170万人とワースト5に入る結果となりました。
地上波と有料チャンネルではどうしても視聴率に差が出ますが、ACCのマッチアップは非常に注目されていたと言えるでしょう。もっとも、昨年のベイラー対ヒューストンがたったの836万人だったことを考えるとカンザス対ビラノバでも40%増となります。ちなみに下記が昨年のベイラー対ヒューストンのハイライトです。
やはりスタジアムの観客の力は大きいです。
決勝については情報が入り次第お伝えしますが、現時点の結果から見るとMarch Madnessに視聴者が戻ってきたと言えるでしょう。来年のトーナメントも楽しみです。
女子スポーツへの認知向上に向けて。
さて、3回に分けてお送りした全米カレッジバスケトーナメントMarch Madness。男子トーナメントをご紹介してきましたが、同時期に女子のトーナメントも行われていました。女子トーナメントについてもいつかしっかり紹介したいなと思っていますが、最後にある車メーカーのCMをご紹介します。これは男子トーナメント中継の中でも多く流されていました。
CMはBUICKによるキャンペーン”See Her Greatness”。映像では文字だけが浮かび上がり、スポーツ中継の実況と歓声が音声で取り上げられます。
メディアでの露出が少ない女子スポーツがもっと取り上げられるよう、BUICKが注力することを宣言するキャンペーンです。映像右下のQRコードで下記特設サイトにアクセスすることができ、CMでは音声だけが流れた試合の映像も見ることができます。
ちなみにCMは合計3バージョンあります。
またTBSは、Final Fourのプレショーの前に”Title IX(タイトル9)”という番組を放送していました。
タイトル9とは公的な高等教育機関の教育プログラムや活動等での性差別の禁止について定めた、教育改正法第9条のこと。差別に立ち上がる人々のストーリーを伝えていました。タイトル9について詳しくは下記もご覧下さい。
一方ESPNのNCAA女子バスケトーナメント中継ではフロリダ州のいわゆる”Don’t say gay"法案に抗議するために、実況と解説が2分間無言になったことも話題になりました。
このように、様々な差別に立ち上がる機運がこのMarch Madnessをきっかけにさらに高まりました。日本の学生スポーツではこのような動きが見られることはあまりありませんので、大きく変わっていくことを願うばかりです。
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