【クリエイティブ分析】アメリカ大学バスケ特集②March Madness
(パート1からの続きです。パート1はこちらから。)
各大学カンファレンスのトーナメントが終わると、いよいよ全米トーナメント、通称March Madnessに出場する大学が特別番組で発表されます。
CBS “Selection Show”
これはCBSで放送される”March Madness Selection Show"という1時間番組で、東部時間の日曜夜6時より、トーナメントを優勝し自動的に出場できる32チームと選考委員会で選ばれた36チームが対戦カード順に発表されます。
このSelection Show、ここ5、6年フォーマットが定まっていませんでした。もともと1時間枠だったのを2時間枠にしたものの長すぎて不評で、その後90分枠に短くした後に結局元に戻ったり、CBSではなく有料チャンネルのTBSで放送されたりもしました。
このブラケット(対戦表)をモチーフにしたデザインはここ数年変えていないように思えます。ここまで対戦カードが多い全米トーナメントはないので、印象に残りやすいのでしょう。後述しますが、しばらくの間は皆さんブラケットのことしか考えないですから…。
ちなみに今回のカンファレンスごとの出場校の数はご覧の通りになります。Big Tenカンファレンスが最も多い9校、次いで東部の学校を中心とするBig East、中西部の学校が多いBig 12、そして南東部の学校で構成されるSECが6校ずつで続きます。
この後各カンファレンスの専門チャンネルについてご紹介していきますが、Big EastとBig 12はリニアでの専門チャンネルはありません。余談ですがBig Eastはカンファレンスに関することだけでESPNで1本番組ができるくらい色々なことが過去にありました。そしてBig 12は主要大学のテキサス大とオクラホマ大をSECに引き抜かれてピンチです。
Selection Showを受けての特番
CBS Sports Network
CBS地上波での1時間の番組が終わり、東部時間午後7時からは姉妹局のCBS Sports Networkでは3時間に渡る特別番組”Bracket Breakdown”が放送されます。
CBS Sports NetworkのNFLプレショー”TOPS - That Other Pregame Show"などで使われるスタジオから放送していました。CBS地上波が青と白のカラーリングに対して、CBSSNは青とオレンジのカラーリングで展開しています。
ちなみにCBSSNではMarch Madnessの生中継は行いません。その日の試合を振り返る番組の他に注目の試合をリピート放送をしていますが、昨年のUCLA対ゴンザガの世紀の一戦はなんと1日で5回も再放送されていました。
B1G Network
さらに各大学カンファレンスの専門チャンネルでも、特別番組が続々と放送されます。まずは最も出場校数が多かったB1G Network。2時間に渡って放送しました。
いつも思うんですが、B1Gって他のチャンネルと比べてデスクが大きいからか出演者が小さいんですよね。
SEC Network
ESPN系列のSEC専門チャンネルSEC Network。ニュース番組SEC Nowの特別編”Selection Special”として2時間の特番を展開します。この日はESPNで女子バスケトーナメントの出場校も発表されたので、併せてこの番組で解説されていました。
SEC Networkのスタジオは最近新しくなったのですが、色合いのせいか下記のACCNのスタジオにだいぶ近い印象があります。
ACCN
こちらもESPN系列でアトランティックコーストカンファレンスの専門チャンネルACCNでは、"Nothing but Net"というバスケットボール関連番組の特別編として放送。
こちらも男女それぞれのトーナメント出場校を分析していました。こうしてみんな色々考えていきながら、3日後の水曜日にトーナメントに突入していきます。
March Madness開始
ついに全米トーナメントが開始です。まずは放送の大枠について。
放送局は地上波のCBS、有料チャンネルのTBS(東京放送ではありません)、TNT、truTVで全試合を生中継します。予備予選となるFirst FourはtruTV独占、1回戦と2回戦は全4チャンネルで一気に中継します。Sweet 16、Elite 8、そしてFinal FourとChampionshipはCBSとTBSで放送。
ここからは1回戦初日の様子をご紹介します。
Nissan Tip-Off
毎日最初のプレショーなど一部番組は”Nissan Tip-Off”として、TBS/TNTのスポーツ中継を運営するTurner Sportsのアトランタにあるスタジオから生放送。1回戦の初日は正午よりtruTVでオンエアされましたが今後TBSやTNTでも放送されます。
CBS - First Round
東部時間正午より始まった、CBSの1回戦初戦の中継。TBSやTNTとは異なり、EPG上ではプレショーの番組枠はなく試合中継枠の1コーナーとして展開されます。チャールズ・バークレーなどTNTのNBAチームがニューヨークのCBSから放送。
Road to the Final Four
TBSやTNTでのプレショーはRoad to the Final Fourという名前で放送。下記はTNTの1回戦初日のプレショー。最初はアトランタのチームが担当します。
試合開始直前になると、ニューヨークチームが引き継ぎます。
TBSやTNTは多い時には1日10時間以上生中継をするので、バスケにどっぷり浸かることができます。こうしてアップセットやブザービーターに大騒ぎしながら、Final Fourへ突き進んでいきます。
March Madnessに関するコネタ
最後にコネタを3つほど。
1: truTVが唯一注目を集める日
アメリカは裁判の様子をテレビ中継することがあります。日本でも有名な裁判というとO.J.シンプソンの裁判でしょうか。その裁判中継をメインに展開していたCourtTVというチャンネルが1991年からあります。2008年に現在のtruTVの名称に代わり総合エンタメチャンネルになりました。今は正直ほとんど話題に上らないチャンネルです。ドッキリ番組が多いというのが、私の勝手な印象です。
このtruTVが全国の注目を集める唯一の瞬間と言っていいのがMarch Madness中継です。2011年から開始し、予備予選となる最初の試合”First Four”から2回戦までを中継します。First Fourは下位の8チームが4枠をかけて戦います。
というわけで中継スケジュールが確定すると様々なアカウントで「今のうちにtruTVを探しておけ」と言われるのです。アメリカの有料放送はチャンネルがあまりに多くてすぐには見つからないのです。下記はtruTVで中継される南カリフォルニア大のアカウント。
ちなみに今もCourtTVというチャンネルがありますが、これは現在のtruTVからブランドを貸し出されて別会社が運営しているものです。主に地上波のサブチャンネルで放送されています。日本でも視聴でき、弁護士を目指す方にはオススメです。
2: 半端じゃない中継数
予備予選が終わると1回戦に入ります。その数32試合。CBS、TBS、TNTそしてtruTVが手分けして全試合を中継します。そのため1回戦が行われる日は何十分おきにどこかのチャンネルで試合が始まるという、目まぐるしい展開です。スケジュールはこちら。
プレショーやハーフタイムでもスケジュールを随時伝えています。
また、試合中でも他会場のスコアは常時リアルタイムで伝えられます。4チャンネルで中継している時はなかなかカオス。見た目はほとんど変わりはありませんが4チャンネル並べてみました。
ちなみに右上のスコアは同日に行われた試合の結果。そして左下のロゴでチャンネルを見分けます。
このリアルタイムスコアを見ながら、アップセットが起こりそうな時はついついチャンネルを変えてしまいます。
3: そして誰も当たらない予想
March Madnessでは”Bracket Challenge”という、全ての勝敗を当てるチャレンジがあります。NCAAが検証できる中で、2019年に49試合当てたのが最長とのこと。これはSweet 16(準々決勝)の途中まで当てたことになります。
ちなみに今年はESPNやYahooなどのサイトで合計2000万以上の予想がありましたが、1回戦初日を終えてまだ全て当たっているのはたったの192。なんと言ってもEast第2シードのケンタッキーが第15シードのセントピーターズに延長の末破れるという大波乱が大きかったのでしょう。これが”March Madness”と呼ばれる所以なのです。
ブラケットチャレンジは、全部当てるという果てしない目標もありますが、ああでもないこうでもないと色々考えるのが楽しいですね。果たして今年はどのような結果になるのでしょうか。
以上、March Madnessについてご紹介しました。トーナメントはこれからさらに盛り上がっていきます。今後の最新情報はTwitterでお届けしていますので、良かったらフォローしてください。
【追記:4/6】パート3を公開しました。最終決戦Final Fourについてご紹介しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?