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4. 超遊戯主義を取り入れた今後の活動

超遊戯主義を通じて、現代社会に対する新しいアプローチや価値観を提案することが、自分のアーティストとしての活動の中核になっていくと考えている。具体的には、伝統的な日本の遊びや身体性を活用し、身体の感覚を蘇らせ、他者と共感するための場や体験を提供するようなプロジェクトやパフォーマンスを構想している。これによって、現代の「ながら身体」や「テックトリップラー」として日々の忙しさに流される人々に、身体と心がつながりあうことの可能性を示していきたい。
たとえば、実際に観客や参加者が体験できるインスタレーションやワークショップを企画し、遊びを通して他者と身体で共鳴する場を作ることが考えられる。参加者は、子供の頃に夢中で遊んだような感覚を再び体験し、そこから自身の身体性や感覚に対する意識を再発見できるだろう。こうした取り組みは、ダンスの舞台作品に限らず、さまざまな場やメディアで実現可能だと感じている。場所や空間に応じて、異なる遊びや身体表現を取り入れ、参加者の感覚や反応によって作品が変化するようなインタラクティブな要素を組み込みたい。
また、超遊戯主義を基盤に、リハーサルやトレーニングの手法も新たに設計することを検討している。ダンサーたちが日常のルーティンや固定観念から解放され、より自由に身体を使い、自己の感覚を研ぎ澄ませる訓練法を開発することで、「マルチタスクゾンビ」から抜け出し、身体の可能性を最大限に引き出すことを目指す。ダンスのトレーニングにおいても、単なる技術向上にとどまらず、身体そのものが持つ「遊び」の感覚を育み、踊ることそのものが自分や他者、そして社会とつながる行為であることを再確認する場にしていきたい。
さらに、「Chapter」というダンスグループの活動にも、超遊戯主義を導入することで、ダンスと哲学が一体となった作品作りに挑戦したいと考えている。Chapterでは、身体を通じた表現を通して「私 - 汝」の関係を築くことを目指しており、この考えと超遊戯主義は深く共鳴している。遊びを通して身体の感覚を引き出し、他者との対話を促すことで、作品全体が共感の場として機能するように演出したい。こうした試みは、単に「観る」ことではなく、「体験し共鳴する」ダンスの新しいかたちを提示できるのではないかと感じている。

今後、超遊戯主義を核とした活動を通じて、現代社会が抱える孤立感や疎外感にアプローチし、芸術を通じた新しいつながりや感覚の回復を目指したい。遊びと身体性を通じて他者や環境と深く関わることができるような場や作品を作り出すことで、人々が自分の内面と向き合い、他者との関係性を豊かにするきっかけを提供することを目指している。こうした活動を通じて、「限界芸術」との対比においても明確なアイデンティティを持つ新しい表現の道が見えてくると確信している。

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