周辺の状況や環境によって変化

今回は文脈効果についてご説明をします。

文脈効果はアメリカの心理学者ジェローム・ブルーナーが提唱した認知心理学の心理効果で、
知覚・言語・認知・記憶に関する概念で、その前後関係から対象となる刺激の知覚過程が影響を受ける効果です。

もう少し簡単に言うと、前後の刺激や環境によって対象の知覚に影響を与えることです。

下記の写真をみて下さい。
あなたは何に見えますか?

これはブルーナーが行った実験で、上の写真のような「崩れたB」の文字がどのように読まれるのかを検証しました。
その結果、「L・M・Y・A」をはじめに見たグループは「B」と読む人が多く、「16・17・10・12」をはじめに見たグループは「13」と読む人が多いという結果になりました。

このことから、人はあるものを認識するとき、対象そのものだけでなく周囲の情報を踏まえて判別していることが立証されました。

その後、「文脈効果」は「言語・文章・数字の知覚や認識の変化」だけではなく、「前後の文脈・情報による商品の見え方や顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の変化」というマーケティング理論にも応用されるようになったのです。

カスタマーエクスペリエンスとは、商品やサービスそのものだけではなく、それらを利用する際に得られる価値を含めた「顧客体験」です。

例えば、
大手カフェ・スターバックスの季節限定のフラペチーノは毎回行列ができるほど大量に売れますが、このフラペチーノは1杯約500~700円で飲み物としては高額です。

しかし、スタバのフラペチーノはオシャレ空間で「インスタ映え」する写真を撮りやすく、フレンドリー接客のサービス水準が高くて居心地の良い時間を過ごせる文脈効果があるので高くても売れるのです。

他にも、東京ディズニーランド(TDL)やユニバーサルスタジオジャパン(USJ)といったテーマパーク内ではドリンクは約500円、フードは簡単なホットドッグでも約1000円と外の世界と比べて高くなっています。

TDLなどのテーマパークには「連休に家族・恋人・友達と行く特別なハレのイベントという強力な文脈」があるので、ほとんど価格を気にせずに高い飲食物を購入してくれるのです。

TDLのような特別な施設でなくても「地域のお祭り・趣味のイベント・お土産屋さん(物産展)」という文脈で飲食物・グッズを売れば、文脈効果で市場価格よりもかなり高い値段で売れます。

「文脈効果」とは、商品・サービスの価値はそのものだけでは決まらず、商品・サービスが置かれている「周囲の状況・関連情報」によって大きく変わってくるという心理現象です。

「コンビニコーヒー」には1杯100円程度の価値しかないと感じますが、バリスタが丁寧に淹れてくれる文脈を持つ「カフェのコーヒー」なら1杯300円以上でも売れるのです。

広告コピー・ビジネスに、自社商品の価値を高めて売れやすくする「文脈効果」を積極的に取り入れてみませんか?