全社組織サーベイ "Astrolabe"で振り返る 2021年のfreeeのカルチャーと組織課題
こんにちは。freeeの西村です。
freeeの人・組織・カルチャーに関するあれこれを担当しています。
コロナとの闘いが始まってから丸2年。収束の兆しも見えてきているようですが、予断を許さない状況ですね。そんな中、この1年皆さんはどのように組織づくりに取り組まれてきたでしょうか。
freee のこの一年も昨年に輪をかけていろんな事にチャレンジがありました。(以下昨年の記事)
1年経ってみて、果たして組織にどんな変化があったのか?
今年も、Astrolabe(アストロラ―ベ)という毎年秋に実施している組織調査の結果をご紹介しながら、特にムーブメント研究所のカルチャーについての1年の取り組みとその結果をレポートしたいと思います。
Astrolabe とは
freee では Astrolabe というオリジナル53問の全社サーベイを用いて、(1) 課題領域に対する過去一年の取り組みを経営陣と共に振り返り、(2) 組織の健康状態を確認し、(3) 向こう一年間の組織課題を大掴みで特定する、そして1年かけて取り組む、というサイクルを回しています。
余談ですが、大航海時代の測量器具をモチーフにしています。どちらも大航海時代に簿記・会計とともに遠洋航海の要として発展したツールであり、まさにfreee という船が未知なる世界を切り開いていく舵取りの貴重な道標となってくれているツールだと思います。次のサーベイが開発されるときは、六分儀かクロノメーターが名前の候補に挙がる事でしょうw
回答率はなんと 7 年連続で 100%(!)。100%に満たない場合「この数字は回答していない人がいるので本当はもっとxxxだよね・・」というような会話が起こり、結果に正面から向き合えないことがある、ということでこのサーベイについては毎年常に 100%にこだわってきました。
これだけのコストをかけて集めている情報ですので、当然ですが毎年調査結果を丸2週間かけて分析、必要に応じて追加調査を行い、docで30ページ程の長大なレポートにまとめて経営・社内に共有しています(過去にCFOに組織の人間ドックのようだと言われましたw)。今回はその一端をご紹介しながら、この1年を振り返りたいと思います。
サーベイ結果の全体感
では早速、結果全体の概観からご紹介しましょう。
Astrolabe は各設問やカテゴリについて、 Favorable% と呼ばれる5段階で5,4に回答した人の割合に着目して分析をしています。freeeでは、基本的に70%以上を良好値の目安として、基本的には各数値がそれ以上になるようマネジメントしています。
以下はYoY(Year over Year, 昨年対比)と、70%以上・以下の2軸4象限で Astrolabeのカテゴリ別の平均値をプロットしたマトリクスです。
各項目の詳細は割愛しますが、今年も総合指標である「ワクワク感」は80%程度の高水準を維持しており、freeeの強みとも言えるカテゴリも変わらず、ミッション・経営戦略と、カルチャー共感でした。
特に[G001]私はfreeeのミッションに共感している は94%を誇り、残り6%も入社直後などでまだよく理解できていない、ということでニュートラルにつけているケースが大半です。
一方、惜しくも70%を下回っている「組織環境」はオフィスや制度の課題です。今年はオフィス移転を目前に控えているということもあり、期待感から特にオフィス環境に課題感が強く出る結果となりました(詳細は後述します)。
カルチャーの変化
では、数ある組織の分析切り口の中から、ご紹介しやすいカルチャー面に着目して、もう少し深堀りをした結果をご紹介しましょう。一昨年から引き続き価値基準の体現の日常化に取り組んだ一年。昨年もたくさんの取り組みが(チームで)ありました。
その中でも、特に昨年 2021年の大きなテーマを一言でいえば、ムーブメントのような、自律的に立ち上がるプロジェクトチームの土壌づくりだったと言えるでしょう。部署名「ムーブメント研究所」の名の通り、まさに研究活動をしたような一年でした。
社内で「これはまさに社会運動、ムーブメントのようなプロジェクトだった」というものを4つ選定し、それがどのように生まれたのか、そして成功に至ったのかをリサーチ。そこから導き出したのは下図のプロセスでした。
この表はイベントの企画実施に内発的動機で人を巻き込み、圧倒的な成果を出すためのポイントを我々なりにまとめたものです。
そしてAstrolabe の結果も、「ムーブメント型チーム」の数値が劇的に向上。空気のように見えない文化の変化が、こうやって数値の変化に現れると嬉しいものですね。
その他の要素もほぼ70%、4象限の右上に固まってきており、まだまだ課題もありますが、コロナ禍の中一定、freeeのカルチャーはまた1つ盤石になったと自信を深めた一年となりました。
出社とムーブメントの関係
しかし何故、ここまで「ムーブメント型チーム」共感が高まったのでしょうか。社内インタビューによる深堀りの結果は意外なものでした。
様々な活動を経てムーブメントという言葉や、その起こし方が一定社内に定着したこともありますが、意外なことに物理的に顔をあわせて仕事をしたり、オフサイトをしたこと、という意見も多数上がってきたのです。
freeeは2021年秋、緊急事態宣言が明けてから、今年蔓延防止重点措置が出るまでの間は、あえて出社の機会やオフサイトで物理的に顔を合わせる取り組みを増やしていました(ex. shall we ランチ?)。
それがムーブメントを起こしやすくする(内発的動機で動く自律的なプロジェクト・チームが生まれやすい土壌を作る)のに効くという仮説はもって取り組んではいましたが、ここまで明確に結果に表れるとは思っていませんでした。
「出社はムーブメントに(チームビルディングに)効く」これからオフィスを移転し、ニューノーマル時代の働き方をつくっていく我々にとってこれは貴重な学びとなりました。今後のオフィスの扱いについて、企業によって様々な立場があると思いますが、少なくとも freeeは、移転によってオフィススペースをむしろ拡張し、出社する、集まるというオプションを積極的に活用しようとしています。
freeeは今年もまた、劇的に進化する!
さて、カルチャーはまた1つ進化を遂げましたが、一方で働く環境はこの一年どう変わっていくのでしょうか。なんといっても、freeeの今年の一大イベントの1つはオフィスの移転です。
冒頭で Astrolabe の結果概観で触れた通り、「組織環境」カテゴリは唯一70%を下回る課題領域となっており、特に「オフィスは働きやすいか」という設問の数値は今回大きく低下。実をいえば、Astrolabe 2022において、YoYで最も低下したTOP3の設問がすべて働く環境に関するものなのです。
Favorable 60%~70%というのは絶対値として決して低い数値ではありませんが、数年前は80%を超えていましたので、そこからすると大幅な低下です。オフィス移転を社内で発表した後の調査であることもあり、みんなの期待が高まっていることがわかります。もはや課題は明白。
そんなわけで今年の組織課題(あくまでAstrolabeから見えたものに限りますが)のTOPは、「freeersの生産性を高めながら、ムーブメントを醸成するためのワークプレイス作り」です!
加えて、新オフィスによってコミュニケーションとカルチャーもまた新たな日常状態に辿り着くことができるでしょう。「freeers 同士が自然と繋がり、カルチャーを表現していく日常体験のデザイン」にも取り組んでいきます。
また、今回は詳細に触れていませんが長期的な人材育成も重要な組織領域の1つとなっており、「自律的な成長・変化を支える支援の裾野を広げ、更に層の厚い人材基盤を構築」にも取り組んでいく予定です。
まとめ
今回は昨年同様、組織調査 Astrolabeの結果からfreeeの組織状態を振り返り、特にカルチャー面の変化について詳細にご紹介をしました。
本年は freeeの大きなターニングポイントとなりそうです。freeeに一体何が起こるのか!?!?これから楽しみです!