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入社式の"あたり前"を覆したら、桜は満開に咲かせたし、船まで出せた

遡るは1月下旬。

「リモートワークももうすぐで1年だなぁ...」なんて頃。まだまだ続く寒さに凍えながら、部屋の片隅でカタカタとパソコンを叩いていた。

そんなとき社内SNSの「新卒入社メンバー部屋」で、こんな投稿を目にした。

\入社式運営メンバーWANTED!/

まだまだ季節は冬だったが、その言葉を見た瞬間、昨年自宅で迎えた「自分たちの春」を思い出した。

そう、昨年2020年4月こそコロナ禍の真っ只中。当たり前がどんどん崩され、誰しもが先の見えない日々に戸惑っていた。

そんな中で、私たち20卒もオンラインで入社を迎えた。

そんな昨年の入社式を私は鮮明に覚えていた。なんてったってfreeeの入社式は、純粋に面白くて、楽しかったからだ。


それもオンライン上で、家で。


2021年度の入社式はあらかじめオンラインと決まっていたからこそ、純粋に同じようなことを同じような環境下で入社する21新卒のメンバーにも味わって欲しいと思った。そして同じように、来年の今頃になったらふと思い出してもらえるようなイベントにしたいと。

思い立ってからの行動は思ったより早く、気づいたときには企画メンバーとして参加する意向を示していた。


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2月。さぁ入社式の準備だ。

どうしよう!と考えても基本的には準備も議論もフルリモート。実際、入社式直前の準備を除いて全部リモートだった。各々の家から毎週水曜19:00になったらGoogle meetsに集合だ。

入社式の企画メンバーは、募集にもあったようにfreeeに新卒で入社した9名。まず最初に入社式で果たすべき目的を全員で整理した。九人寄れば文殊の知恵、「これかなーあれかなー」と考えがどんどんドキュメントに埋まっていく。

様々な議論を重ねた結果、

21新卒のメンバーが既存メンバーからのウェルカム感を感じられている

これを主要な目的とした。入社式は、新しく入社してくれる新卒メンバーが主役だ。彼・彼女たちが社会人としての扉を開くはじめの一歩であり、不安を抱きつつも待ち受ける未来にワクワクするきっかけとなってほしい。

では肝心のウェルカム感はどう感じてもらえるだろうか?

オンラインは「目の前に人がいる」という特性は担保できない。よって従来の入社式の形である「目の前に既存メンバーがたくさんいて、表情やリアクションから感じ取れるウェルカム感」の醸成は難しい。

だからこそコンセプトが重要だ。どうあればウェルカム感、迎え入れてもらっている感を感じてもらえるだろうか……。エモい話をする?同じ釜の飯を食う?じゃあ寿司でも送る?同じ方向を向く?同じ何かに乗り込む?仲間感?乗り込む……乗り込む………??

乗船式だ!!!!


…というのもfreeeは、社内での組織名を大航海モチーフで表現している。「〇〇部=〇〇船」「部長=船長」だったり、「本部=船団」「本部長=船団長」といった感じだ。

つまりfreeeへ新しくジョインした時点で、freeeが掲げるミッションに向けて突き進む既存メンバーが待っている船に乗り込む、ともいえる。

ならばそれを乗船式モチーフとして入社式へ落とし込めば、コンセプトからウェルカム感を醸成できそうだ…!満場一致でコンセプト決定してからは、配信のスタジオ側の構成はどうしようか動画や細かいコンテンツはどうしようかなどなど…。着々と準備を進めていった。


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突き進んではばかりでは何かを見落としてしまうこともある。ここでちょっと立ち止まってみよう。

入社式はたしかにその年に入社してくれる新卒メンバーが主役だ。ただし新卒メンバーがウェルカム感を感じるには、大前提として既存メンバーにも迎え入れる気持ち=ウェルカム感が醸成されている必要がある。どうにか入社式当日以外でも、醸成できないだろうか…。

ということがきっかけで、予告動画を作成しオンラインの全社ミーティングで放映した。テンション上がってくれている、反応はなかなか良いぞ。

入社式予告動画の4場面を、タイル敷きに合成したもの。左上が「さらなる航海へ」の文字、右上が21新卒メンバーのタイル敷きになった写真、右下が入社式の告知、左下が海を突き進む大型客船の映像と空飛ぶマスコットキャラのわカル君。

さらには当日は全freeeメンバーがいる社内SNSの場所で配信予定だったため、さすがに既存メンバー全員の顔は写せない。当日のリアルなリアクションはコメントのみだ。ここもどうにかして、より濃いウェルカム感にできないか…。

ならば事前に写真を募って、"手を振ってる風"で待ってました感を出そうじゃないか。それをタイル敷きにしてエンドロールで流そう!

エンドロールをイメージしたときに作成した手書きのラフ画。

こんな感じのラフ画を添付して、社内SNSで「手を振ってる風」の写真を募った。自撮りやソロ写は抵抗ある人もいたであろうが、たくさんの温かいご協力を得て200名近くの写真を集めることができた。本当にありがたかった。

(これは余談だが、どんどん集まっていく写真を見て、迎え入れる企画をしている私までもがウェルカム感を感じて嬉しくなった。)

このように、企画メンバーでガンガン突き進みながらときには一旦立ち止まって議論し、ときには途中まで進めて採用を辞めた案もあったりなんかして、どんどんコンテンツを詰めていった。


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気づいたら3月末。時間がすぎるのは異常に早く感じる。

入社式2日前くらいになると、配信で使うスタジオ設計の準備に取り掛かる必要がある。そのためにここで企画メンバーも初めて対面した。私は出社自体も2021年初だった。

さぁ。ラストスパートだ。

当日のMC等登壇メンバー同士の距離が保てるか・配信の枠にきちんと収まるか確認、それに合わせて台本も再構築したりして

スタジオ配置の準備の様子

裏側の配線もいちから構築して、リハーサルもして、

スタジオの裏側の配線の画像。モニターが4つほど並び、音響ミキサーなどが机の上に並んでいる。


あとは当日を迎えるのみだ。


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来る4月1日、入社式当日。21新卒メンバーはもちろん、既存メンバーもほとんどが在宅勤務だ。全員が対面で同じ空間にいるあたり前の入社式は、もうあたり前じゃなくなる。

直前リハーサルもして、配信までのカウントダウン。

3,


2,


1



ジャジャーーーーーーーーーーン!!!

入社式当日映像の一コマ。GIFなので動いている。画面の中央に、Google meetsでタイル敷きになっている新卒メンバーが手を振っている。その下にスタジオが映っていて、MCたちも手を振っている。

そこには自宅から参加する21新卒メンバーが!

右下のコメント欄にも「待ってました!!!」「すごい!」「ようこそ!!!!」といった既存メンバーからのコメントはもちろん、21新卒メンバーからのコメントも続々と。

そしておわかりいただけるだろうか。21新卒メンバーのコメントには桜色が色づく仕組みになっている。これも「新卒メンバーのコメントを目立たせてあげたい、既存メンバーも新卒のコメントに反応しやすくしたい」との想いから、企画メンバーが試行錯誤して仕込んだものだ。

新卒メンバーがコメントをすればするほど既存メンバーが反応し、既存メンバーが反応すればするほどさらに新卒メンバーがコメントをするという好循環が生まれる。


そしてコメント欄は春の暦に負けない暖かさと桜で満開になる。


入社式当日に実施された各コンテンツの詳細は、素敵に執筆していただいたWantedlyの記事をぜひ見ていただきたい。

そして最後には、スタジオメンバーの「出航〜〜〜!」の合図とともに、事前に既存メンバーに依頼し集めた”手を振ってる風”写真を寄せ集めたエンドロールへ切り替わり、イメージ通り写真でできる最大限のウェルカム感で締めくくった。

エンドロールの映像の一コマ。GIFなので動いている。手を振っているような写真がタイル敷きになっており、右下のコメント欄には「出航!」のコメントが続々と来ている。

右下コメント欄も「出航!」で溢れかえっている。

紛れもなく全freeeメンバーで大航海へ向けて船を出航できた、そう言えるのではないだろうか。


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入社式後、対21新卒メンバーと対既存メンバーに分けて5ポイント尺度で事後アンケートを実施した。結果は下記のとおりだった。

To 21新卒メンバー
New社式を通して、ウェルカム感(迎入れられてる感)を感じましたか?

・とても感じた - 90.3%
・やや感じた - 9.7%
To 既存メンバー
New社式を通して、ウェルカム感(21新卒メンバーを迎入れてる感)を感じましたか?

・とても感じた - 71.4%
・やや感じた - 28.6%

21新卒メンバー・既存メンバーともに、「ウェルカム感を感じられた」と言い切れる結果が得られた。

自由記述のコメントも一部抜粋すると、

社員の方がみなさんあたたかくてよかったです。多くの方が配信をみていることも新卒に関わってくれようとしている人がこんなにいるのだと思い嬉しかったです。
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「コメントのしやすさ」が、対面よりもコメントのしやすさがあって、いろんな人の反応をみれたのがよかった。
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入社式めちゃめちゃ感動しました!!!コメントの色付けや既存メンバーが手を振ってくれるシーンなど随所にアソビゴコロやウェルカム感を感じてよかったです!

 by 21新卒メンバー
出来る限りのウェルカムをしていて素敵でした!!!!!!
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事前告知の動画やコメント欄の桜色など、随所に気合いが入っていてすごいなと思っていました。当日もとても盛り上がっていて、ウェルカム感は十分伝わったのではないでしょうか。準備、運営、本当にお疲れさまでした。
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中途で入ってから初めて見た入社式なのですが、こちらとしても非常に楽しかったです。皆さんお疲れさまでした!ありがとうございます。

by 既存メンバー

ウェルカム感はさることながら、「コメント」が実は対面よりも新卒メンバーが自発的に楽しむハードルをいい意味で下げていたり、リモートで入社した中途メンバーにも”freeeらしさ”が届けられていたのは予想外の結果だった。こんな部分にも影響を与えられたのかと、非常に嬉しかった。

一方で、オンライン開催の壁を超えられず断念した箇所や、まさにその諦めた点をさらに期待してもらっているようなFBも見受けられた。それこそあたり前をさらにパワーアップできる伸びしろであるから、来年のコンテンツでリベンジしたい。


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誰もがこの未曾有の状況下で痛いほど理解していること。それはあたり前だったことは、いとも簡単にあたり前ではなくなってしまうということ。でもそれは同時に、あたり前じゃなかったことでも、やり方次第であたり前にできてしまうということでもある。

私は昨年の入社式で迎えてもらう側、今年の入社式で迎え入れる側の両方を新しい形で経験して、さらに強く感じた。

以前と同じ行動ができなくなったことで、失われることも正直たくさんあるだろう。でもその分、以前だったら見つけられなかったこと・できなかった新しいことも同じくらいあるはずだ。

それをこれからのあたり前にしてアップデートしていけばいいのだな、と思う。


アップデートすれば、薄くて軽い画面の先で人とも繋がれるし入社式だってできる。全員で船出にも出れたし、桜も咲かせられたのだから。


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改めてfreeeの21年新卒メンバー、そして全ての新社会人のみなさま、入社おめでとうございます。みなさまのご活躍をお祈りしています。

「あたり前をアップデートするのは、私たち世代だ」

そんな気概を持って、社会人生活をともに歩んでいこう。たった1年しか先輩でない私からの一言はこんなもんだ。


おわり

当日のスタジオの背景においた本物の桜のドアップ写真。満開である。

おまけ:この桜は登壇メンバーの背後で咲き誇っていた本物の桜。(スタジオの画像を改めて見て欲しい)本当に偶然だが、4月1日に満開を迎えた。

こっちの桜だって咲かせられたぞ。