「ひじで軽く突いて!環境をよくできるから!」#29 〜みんなに知って欲しい環境対策のこと〜
心理学と行動経済学の記事 第29回
一見意味不明なタイトルですが、詳しい人なら人なら、今回のタイトルから話の内容が分かると思います!
「ひじで軽く突く」のもともとの意味は、「ナッジ」からきています。
そう!今回は、あのリチャード・セイラーさんとサンスティーンさんが提唱したしたナッジ理論の話です。
といっても、ナッジ理論を詳しく説明するわけではなく、今回はナッジ理論を使った日本の地球温暖化対策のお話です。
2016年の地球温暖化対策計画
日本では、国民の役割として「日常生活に起因する温室効果ガスの排出の抑制」と「地球温暖化対策活動への参加」を挙げ、地球に優しい賢い選択肢「COOL CHOICE」を推奨しています。
このことは、2016年の地球温暖化対策計画に記載されており、各地で展開されています。
その中の「普及啓発」の中に、行動経済学が使われており、それがナッジ理論です。
まず、ナッジとは何か?簡単に説明します。
人間の判断には、2パターンあります。最初にくるパターンは、直感的判断であるシステム1と、十分に考えて判断するシステム2があります。
ナッジは、このシステム1を利用して、「良く考えれば正しく選択できるが、ついついそれを適当にしてしまうと、無意識に決めてしまう」というように促すこと。
このナッジを使って、国民自身が環境問題に対処することを望んでいる。
「COOL CHOICE 」におけるナッジの六原則とその応用例
私が、今回参考にした論文をもとに説明していく。
第1原則 インセンティブ
・選択する際の(費用と便益を比較するなどの)意思決定を変化させる誘因を付加する
応用例:「COOL CHOICE」の行動結果に対して、地域のエコポイントを発行する
第2原則 対応付けの理解
・なじみがなく把握しづらい選択肢情報を直感的に理解できる表現に対応させて提供する
応用例:省エネ機器による二酸化炭素削減量を植樹本数に対応させて表示する
第3原則 デフォルト
・複数の選択肢のうち、誘導したい選択肢をあらかじめ推奨設定し選択を促す。
応用例:web登録時にあらかじめ登録ボタンにチェックを入れておく(外すことが可能にして選択権は確保)
第4原則 フィードバックの提供
・行動結果を伝えることで、行動者が確認し、必要に応じてさらなる行動を促す
応用例:省エネの結果として電気量のグラフを行動者にフィードバックする
第5原則 間違いを予見する
・人が間違いを犯すことを前提として、エラーを防いだり、警告を発する工夫を組み込む
応用例:事務所の出口に「最後に出る人は必ず衝動」の貼付上、通常の蛍光灯に個別スイッチとして名札をつける
第6原則 複雑な選択の構造化
・多くの複雑な選択肢を理解しやすい構造に整理して提示する
応用例:多くの「COOL CHOICE」行動の中から、当事者の生活場面に沿った体系的メニューを提示する(台所の省エネメニューは○○と△△、その次に× ×、等)
論文では、その後の研究論文で、普及デザインを分析して、より詳しく応用例を出したものがある。詳しくは、原ら(2020)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahes/36/1/36_3/_pdf
ナッジをもっと日常に
過去の私の記事でも、ナッジ理論を生かした施策を紹介している。
日常生活には、ナッジを使って、より良い課題解決をする方法がたくさん利用されている。今回紹介したものも、例外ではないし、過去の私の記事をその一つの例だ。
ただ、私たちが気づかないところで、頭の良い人たちに操られるようなこともたくさんある。(詐欺の手口がその例となる)
ナッジに限らず、その中で人の心理を利用しているお店やサービス、またその人などに注目すると、面白い世界が見えるだろう。
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