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ミラノ フオーリ・サローネ2019 レポート(21):Smeg-Dolce &Gabbana


今回のサローネの期間、ドルチェ&ガッバーナは、イタリアの家電メーカーであるスメッグ(Smeg)とコラボレーションして、オリジナルデザインのキッチン用品を中心に展示を行った。

スメッグは、レトロでお洒落なデザインが評判のイタリアの老舗メーカーである。


2016年、ドルチェ&ガッバーナは、スメッグとタッグを組んだ。

スメッグの冷蔵庫は、シチリアの伝統を守るシチリアのアーティストたちによって装飾された。

この冷蔵庫は、限定100台が製造されることとなった。

今回のサローネの展示では、冷蔵庫の他に、オーブン、コーヒーメーカー、ミキサー、トースター、ガス台(これが一番大きい)と共に、赤や青が目立つ衣装、小物、アクセサリーが公開されている。

いずれも「美しい」の一言に尽きる、イタリアの技術とセンスの結晶と言えるものばかりである。

スメッグとタッグを組んだドルチェ&ガッバーナは、ハイセンスなブランドであることに満足しない。


ドルガバは、唯一無二の「ライフスタイル」のアイコンとなることを目指しているとのことであった。


一つ一つのデザインを紐解いてみると、まずシチリアの特産物のオレンジ、シチリアの太陽と海、2019年の大河ドラマ『いだてん』のロゴにも採用されている三脚巴(トリスケリオン:triskelion、τρισκέλιον)。

またエキゾチックな髭の男性の絵が目立つ。

明らかにイタリアのカトリック世界のモチーフとは異なるこれらの絵は、どのようなものなのであろうか。


それは、シチリアの多様な民族・宗教が入り混じったシチリアの歴史に鍵がある。

特に12-13世紀に繁栄したノルマン・シチリア王国期のシチリアには、イスラーム教のアラブ人、ギリシア正教のギリシア人、カトリック教徒と、大きく分けて3つの異なるアイデンティティを持つ人々が並存していた。

(あえて「共存」という言葉は使わない。なぜならば文化の邂逅・融合と言いつつも争いはあったのだから。)

シチリアのエキゾチックな雰囲気は、アラブ世界の影響を大きく受けたものだとも言えよう。


また、サローネ期間中の2019年4月13日、「シチリア祭り」(Sicilian Festa)と称して、衣装を着た人々によって披露された。

またシチリアの伝統料理アランチーニ(arancini:ライスコロッケのこと)が振る舞われた。

ドルチェ&ガッバーナなの煌びやかなセンスとシチリアの明るき陽気な風土が、見事にマッチしたと言えよう。

住所:Metropol/ Viale Piave 24

会期:2019年4月9-14日(16:00-21:00)

※9日は関係者のみ

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