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ミラノで食べるジェラート10選 vol. 1 ドゥオーモ周辺


0. イタリアのジェラートとは何か

イタリアの定番デザートはと聞かれて、一番に思い浮かぶのはジェラートかもしれない。

実際に、イタリアにはジェラートを扱うバールあるいはジェラート専門店がとても多く、街中ではジェラート片手に歩く観光客の方々や地元の人々をよく見かける。

特に、子供だけではなく、午後のオフィスに戻る前にジェラート食べるスーツを着たサラリーマンというのは、なかなか日本では目にしない光景である。

そもそもイタリアのジェラートと日本のアイスクリームの違いとは、第一に乳脂肪の含有量である。

日本の厚生省が定めるアイスクリームの種類別の名前によると、

・アイスクリーム:乳固形分15.0%以上、そのうち乳脂肪分8.0%以上
・アイスミルク:乳固形分10.0%以上、そのうち乳脂肪分3.0%以上
・ラクトアイス:乳固形分3.0%以上

であるのに対し、イタリアのジェラートは、5%前後の乳脂肪で製造される。

そのために、フルーツやチョコレート、ナッツといった素材の味を生かした味、低い乳脂肪分、滑らかな口触り、さっぱりとした口当たりというのが、ジェラートの特徴となっている。

(参考:日本ジェラート協会/ 江崎グリコ

ここでは、ミラノに数あるジェラート屋さんの中でも、特に街の中心ドゥオーモ周辺で食べることができるジェラート屋さんを紹介していきたい。

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※共有マップはこちら→



1. サヴィーニ(Savini)

1867年創業、ガレリア内の老舗レストラン・バールのサヴィーニには、ジェラート販売ブースがある。

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ちょうどガレリアの中心に当たるドームの下の一角にあるため、観光客の足も途絶えず、常に賑わっている。

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値段は、小(piccolo/ small)3.3ユーロ(2種類)、中(medio/ medium)4.3ユーロ(3種類)、大(grande/ large)5ユーロ(4種類)(2019年7月現在)。

なお、ジェラート屋さんでは、この3つのサイズを展開しているところが多く、以下、この記事では、小中大という表記を用いる。

また、コーンのことは"Cono"(コーノ)、紙カップのことは"Coppetta"(コペッタ)と言い、オーダーする際に希望の方を伝えれば良い。

たまに、コーンと紙カップの値段の差を設けている店があるが、大抵の店ではコーンと紙カップのジェラートの値段は同じである。

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ミルク、チョコレート、フルーツなど定番フレーバーが約16種類ほど並んでいるが、フルーツ系より、ミルクやチョコレートを使ったジェラートが多いように感じた。

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葡萄と苺、さっぱりとしたフルーツのフレーバーを選択。

《店舗情報》
住所:Via Ugo Foscolo 5 | Galleria Vittorio Emanuele II, 20121 Milan, Italy
営業時間(バール):年中無休 (8:00〜23:00)
営業時間(レストラン):年中無休(12:00〜14:30/ 19:00〜22:30)

公式ホームページ: savinimilano.it



2. マルケージ(Marchesi)

1824年創業の老舗パスティチェリア・マルケージのガレリア店でも、夏になると店先でジェラートを販売している。

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フレーバーは、さっぱりフルーツ系と定番のピスタチオやチョコなどが約6種類ほど。

種類は少ないけれど、緑の制服を着たマルケージの店員が、レトロな販売ブースでサーブしてくれる。

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値段は、紙カップとコーン共に、小 4ユーロ(2種類)、中 6ユーロ(3種類)、大 7ユーロ(3種類)(2019年7月現在)相場より少し高めな印象。

またジェラートに添えるビスコッティは、薄いワッフル型クッキーであることが多いが、こちらではサクサクとしたラングドシャが添えらえる。

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《店舗情報》

公式ホームページ: Marchesi 1824

住所:Galleria Vittorio Emanuele II | In Galleria da Prada, 20121 Milan.

営業時間:年中無休 7:30-21:00(メーデー5月1日のみ20:00までの営業)



3. リナルディーニ(Rinaldini)

こちら、ピンクが基調の内装がお洒落なリナルディーニ

リナルディーニを経営するロベルト・リナルディーニ(Roberto Rinaldini; 1979-)は、2006年と2008年の世界ジェラテリア優勝杯(Coppa del mondo della gelateria)の優勝者。

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値段は、小 2.6ユーロ(1種類)、中 3.2ユーロ(コーン)/3.5ユーロ(紙カップ)(2種類)、大 3.8ユーロ(コーン)/ 4.5ユーロ(紙カップ)(3種類)の他、カップは特大サイズ 6.5ユーロもある(2019年7月現在)。

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なお、イタリアでは、小サイズは2種類、中サイズは3種類、大サイズは4種類のフレーバーを選択できるジェラート屋さんが多い印象を受けるが、この店に限っては、小サイズは1種類のフレーバーしか選択できないことに注意。

私が、"Coppetta Piccola"(小さいカップで)というと、「1種類しか選べないけどいい?」と、親切な店員さんが確認してくれた。

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定番のミルクベースのフレーバーからさっぱりとしたフルーツのフレーバまで、華やかなディスプレイが美しい。

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苺の甘酸っぱいフレーバー。


《店舗情報》

住所:Milano, Via Santa Margherita 16

営業時間:8: 00-20:00 (月曜から金曜)/ 8.30 - 20.00 (土曜)/

9:00 – 20:00(日曜)

公式ホームページ:rinaldinipastry




4. アルティーコ(Artico Gelateria Tradizionale)

チョコレートやフルーツ、新鮮なミルクなどを使った定番のジェラートを味わえる名店。

こちらはミルクを使っていないチョコレートとオレンジのフレーバー。

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値段は、小 2.7ユーロ(2種類)、中 3.2ユーロ(3種類)、大4ユーロ(4種類)(2019年7月現在)とリーズナブルながらも、小サイズでも2種類選べるのが嬉しい。

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また、メニュー別のアレルギー食材について記した表もある。

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嬉しいことに、店内にも小さいけれどもゆっくり座れる席があり、ドゥオーモ周辺では貴重な存在。

街の喧騒を離れてのんびりしたい時にぴったり、内装がおしゃれなジェラート店である。

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《店舗情報》

住所:Via Dogana, 1, 20123, Milano

営業時間:12:00-22:00

公式ホームページ:articogeleteria.com



5. ペック(Peck)

日本の高島屋にも店舗があるため、お馴染みの高級食材店ペック。

ミラノのこちらの店舗は、1階のお惣菜売り場やお土産売り場の中に、ジェラートブースがある。

こちらは、パッションフルーツと苺のフレーバー。

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フルーツを使ったさっぱり系と、ピスタチオなどのミルク系、約10種類が並んでいた。

値段は小3.5ユーロ、大 6ユーロと高めながらも、量が多い。

中サイズがない代わりに、通常のジェラート店の小サイズと中サイズの間が、ペックの小サイズという感じ。

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なお、ジェラートを座って食べれる席はないが、小さなカウンターで立って食べることは可能。

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《店舗情報》

住所:Via Spadari, 9, 20135, Milano

営業時間:15:00-20:00(月曜)/ 9:00-20:00(火曜から土曜)

※6月2日から9月1日までの日曜は休み。

公式ホームページ:peck.it




6. チャッコ(Ciacco)

街の一番の観光スポットのドゥオーモでも、少し違う道に入り歩くだけでビジネス街に行き着く。

そのために、スーツを着た人で賑わうジェラトリアもある。

こちらの店は、ドゥオーモから歩いてほんの2、3分のはずなのに、昼時に行ったせいか、休憩中のスーツの人の割合が本当に多かった。

こちらは、ラクトースフリーのピスタチオといちじくのフレーバー。

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ヴィーガン、ラクトースフリー、DGP(Denominazione di Origine Protetta)やIGP(Indicazione Geografica Protetta)と認定された食材などの記載がメニューにあり、素材にこだわったフレーバーが揃う。

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値段は、小 2.5ユーロ(2種類)、中3ユーロ(3種類)、大3.5ユーロ(4種類)、特大4ユーロ(5種類)ど、リーズナブルな値段(2019年7月現在)。

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また店内は常に満員であるが、座ることができる席もある。

《店舗情報》

住所:Via Spadari 13, 20123, Milano

営業時間:8:00-21:00(月曜から土曜)/ 14:00-21:00(日曜)

公式ホームページ:ciaccolab.it



7. ヴァニッラ(Vanilla Gelati Italiani)

こちらは、百貨店リナシェンテ近くのジェラート屋さん。

場所柄、地元の人よりも観光客の方々が多い印象。

いちじくとヴィーガンのピスタチオの組み合わせ。

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値段は、小 3ユーロ(2種類)、中3.6ユーロ(3種類)、大5.5ユーロ(4種類)(2019年7月現在)。

小サイズでも量が多いように感じた。

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砂糖を使っていない、ヴィーガン(おそらく牛乳の代わりに豆乳かアーモンドミルクを使用)のジェラートも6種類揃っている。

牛乳を使っていないジェラートとなると、フルーツ系の味に限られてくるのだが、ピスタチオやヘーゼルナッツ、チョコレートといったミルク系のジェラートの定番もヴィーガン対応しているのは嬉しい。

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また、パンにジェラートを挟んでくれるパンジェラート(Brioches gelato aggiunta panna o nutella)もあり、お腹に余裕がある時にはこちらでも良いかも。

さらに生クリーム(panna)を添えるか、ヌテッラ(nutella)を添えるか選べるらしく、かなりボリュームがありそうである。

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《店舗情報》

住所:Via Pattari 2, 20122, Milano

営業時間:11:00-23:00

公式ホームページ:vanilla-gelati-italiani.it




8. グラナイオ(Granaio)

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値段は、小 3.3ユーロ(1種類)、中 4.3ユーロ(2種類)、大 5ユーロ(3種類)(2019年7月現在)。

こちらのお店では、小サイズは、1種類のジェラートしか選べないため注意である。

それでも、紫芋に見えるこちらは、葡萄のジェラートであり、味はとても美味しい。

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また、外にテラス席が出ているが、それはこのカフェレストラン用の席であり、ジェラートのお客さんには席はない。

そのため、食べ歩き用に買うのがおすすめ。

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グラナイオの店内。

パニーニやブリオッシュ、パスティチーノなどのフードの他、お土産用のパスタなども扱っており、また席数も多いため、ドゥオーモ近くの休憩スポットに使える。

《店舗情報》

住所:Via Torino, 20123, Milano(トリノ通り店)

           / Via Tomasso Grossi, 3, 21021, Milano(ドゥオーモ店)

   ※他コルドゥーシオ(Cordusio)、モンツァ(Monza)に店舗あり。

公式ホームページ:ristorantegranaio.it

営業時間:7:00-24:00




9. パヴェ ジェラート&グラニテ(Pavé GELATI & GRANITE)

お洒落なデザインのコンセプトカフェ、パヴェが展開するジェラート専門店。

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ここで紹介した他の店舗に比べて少し歩くがドゥオーモから徒歩圏内である。

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値段は小 2.5ユーロ(2種類)、中 3ユーロ(3種類)、大 4ユーロ(4種類)と、リーズナブル。

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素材の味を生かした店内で手作りのジェラートにデザイン性溢れるカップ。

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また店内にも小さなイートインスペースがあるのも嬉しい。

《店舗情報》

住所:Via Cesare Battisti 21, Milano

営業時間:12.00-22.00(月曜から日曜まで)

公式ホームページ:pavemilano




10. ジョヴァンニ・ガッリ(giovanni galli)

マロングラッセが有名な1911年創業の洋菓子店。

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バールスペースはないが、夏の間はレトロな冷凍機が設置され、ジェラートが販売されているようである。

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小サイズで3ユーロ、味はクリームとフィオーレ・ディ・ラッテ(ミルク)の2種類しかないが、マロングラッセの蜜漬けをかけてくれる。

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広場に出ようと思ったら、小さなカップで柔らかい素材のせいか、溶けるのが早い。

マロングラッセのトッピングはこの店ならではだが、すぐに食べるのがオススメ。

《店舗情報》

住所:Via Victor Hugo 2, 20123, Milano, Italy

公式ホームページ:giovannigalli.com

営業時間:8:30-20.00(月曜から土曜)/ 9:00-13:30(日曜; 12月は8:30-20:00)




11. チョッコラーティタリアーニ(Cioccolatitaliani)

2009年に創業したこちらは、今やイタリアの主要都市だけではなく、クエートやサウジアラビアなど、中東諸国にも進出するチェーン店。

なお、ミラノには、ドゥオーモの近くの店の他、トリノ通りやカドルナ駅近く、マルペンサ空港内などに店舗がある。

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チョコレートが売りのお店であるが、フルーツ系のフレーバーもある。

値段は、小 2.7ユーロ(1種類)、中 3.2ユーロ(2種類)、大 3.7ユーロ(3種類)(2019年7月現在)。

さらにこの図の通り、プラス0.5ユーロでジェラートにメレンゲや生クリームを追加したり、ナッツ・チョコ付きのコーンに変更したりすることができるようである。

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ミルク不使用のカカオ70パーセントのダークチョコレートのフレーバー。

意外にも、ダークチョコレート(Cioccolato fondente)味のジェラートは、ミルク不使用(senza latte)であることが多く、カカオの味がとても濃厚である。

さらにこの店では、ワッフルクッキーに無料でチョコレートをかけてくれる。

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この右上の写真の蛇口のようなところからチョコレートが出る仕組みとなっており、店員さんが、さっとワッフルコーンを流れるチョコレートにくぐらせジェラートに添えてくれる。

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ジェラートだけではなく、チョコレートを使った色々なドーナツやマフィン、ミニケーキもバールスペースで扱っている。

《店舗情報》

住所:Via S. Raffaele 6, 20121, Milano(ドゥオーモ近くの店舗)、

          Via Torino 60, 20123, Milano(トリノ通りの店舗)、

     Piazzale Luigi Cadorna 10, 20123(カドルナ駅近くの店舗)

営業時間:7:30-23:00(月曜から金曜)、8:30-23:00(土曜日曜)

※こちらはドゥオーモ近くの店舗の営業時間。店舗によって営業時間が異なるため注意。

公式ホームページ:cioccolatitaliani.it




以上、11のドゥオーモ近くのジェラート店を紹介した。

余談だが、ガレリアを抜けたところにあり、中央にレオナルド・ダ・ヴィンチの像が立つスカラ広場(Piazza della Scala)には、小さな給水所がある。

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これは飲料水らしく、よく観光客の方々が水を汲んでいる。

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イタリアにはコンビニもなく、またショッピングセンターなどのトイレも気軽には使えない。

そのため、ジェラートを食べて、少し手を洗いたい時に、この水道はおすすめである。

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(夏の日差しの下では意外に溶けるのが早いジェラート、いつのまにか手についていたりする)

最後に、このミラノのドゥオーモ周辺には、本当にスリが多い。

ジェラートとスプーンを持って両手がふさがっている時、ジェラートの味を選んでいる時、ジェラートの写真を撮っている時など、少し気を緩めたら、スリに間違いなく狙われる。

美味しい思い出を悲しい思い出にしないように、しっかりスマートフォンと財布とパスポートを抱えつつ、ジェラートを楽しむようにしたい。


★参考:

Istituto del Gelato Italiano IGI

"La storia del gelato artigianale", (Fabbri 1905

日本ジェラート協会

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