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ピルはどうしてニキビに効くのか?

生理前。
あまり嬉しい時期ではないでしょう。
やたら眠いし、イライラするし、食欲は増えてめちゃくちゃ食べてしまうし…
そんな生理前にまつわる嫌なエピソードを抱えている方は少なくないと思います。
私たちの業界では特に「生理前にニキビが増えるんです!」と相談を受けることが多いです。
ニキビは様々な要素が絡み合ってできる非常にややこしい疾患ですが、その中でも重要なのがホルモンバランスです。
ピルを飲み続けているとニキビがすごく良くなった!なんてこともあります。(もちろん、診察や検査を経てピルの適応と判断された方のみが対象となります)
月経前症候群やチョコレート嚢胞などピルが適応になる疾患は多いですが、今回は美容皮膚科医の目線から"ニキビにどうしてピルは効くのか?"を説明させていただきます。


そもそもピルって?


ピルの中にはエストロゲンプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが入っています。それぞれ働きの異なるホルモンです。
いわゆるピルと呼ばれているのは”低用量ピル”のことです。これはエストロゲンの含有量が少ないピルを指します。

エストロゲンとは

子宮内膜を厚くして妊娠に備える働きのあるホルモンです。
乳房の発達や丸みのある体を作ったり、コラーゲン産生を促す作用もあります。
また、血管や骨を健康に保つ作用もあるため閉経によってエストロゲンの量が激減すると骨粗鬆症や動脈硬化などのリスクも増えます。

プロゲステロンとは

エストロゲンの働きによって厚くなった子宮内膜を維持するホルモンです。
妊娠しやすい状態にするホルモンです。
体温の上昇や食欲亢進作用もあります。



どうしてピルはニキビに効果があるのか

①ホルモンのバランスを整える


ホルモンは増えたり減ったりを繰り返しています。
一日の中で増減があるものもありますが、性ホルモンに関しては一か月のスパンで増えたり減ったりを繰り返します。
エストロゲンは主に排卵前に増加し、プロゲステロンは主に排卵後~月経前にかけて増加します。プロゲステロンの急激な増加によってニキビが出来やすくなると言われています。

ピルを内服するとホルモンの増減は非常に緩やかになります。そのため、生理前の急激なニキビの悪化もかなりマシになります。

ピル内服中の女性ホルモン(イメージ)

②男性ホルモンの働きを弱める


男性ホルモンは皮脂分泌亢進作用があります。そのため、男性ホルモンはニキビの原因の一つと言われています。
ピルの種類によっては男性ホルモンの働きを抑えるものもあります。そのため、ピルによってはニキビが出来にくくしてくれます。



ニキビ治療にピルを試してみたいと思ったら

まずは医療機関で診察を受けましょう。
ピルだけで完璧にニキビが治る!とも限りません。本当に自分にピルが適応かどうか判断してもらうために病院の受診が必要です。
ひと口にピルと言っても様々種類があります。自分に合ったピルを自己判断するのでなく、きちんと医師の指導の下に服薬を行いましょう。
また、どんな薬にも副作用はつきものですがピルには血栓などの重大な副作用もあります。そのあたりもきちんと説明をしてくれる医療機関にかかるのをおすすめいたします。


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