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母。~はじめての付き添い~


本来の寒さがやっとやってきた日、わたしは初めて母に付き添って病院へ行ってきた。

大きな病院は自分であっても家族であっても緊張する。
母は私以上に緊張していた。
かかりつけ医に紹介状を書いてもらってから予約が取れたこの日がくるまで3週間、母は生きた心地がしなかっただろう。
それでなくても人一倍、いや千倍、万倍、怖がり&心配性な母。
私や妹が『大丈夫だって』と言っても、耳には入っていってなかったはず。

そんな母も仕事現役時代は「この仕事が天職だ!」っていうくらいバリバリキャリアウーマンで頭もキレキレの冴え冴えな人だったのだけど、退職して2年ほど前からだんだんと心身ともに変化が見えだした。
かかりつけ医に相談しながら2年間様子をみていたけど、母本人も不安になってきたので一度大きな病院で診てもらう運びとなった。

以前は気丈だった母も年齢と精神的なものもあってか一人で行くのは不安だということと、私も一人行かせるには不安もあったので、今回付き添うことにした。
母に付き添って病院へ行くのは初めてのことだった。

付き添いが初めてなのだから、母と医師とのやりとりを見るのも初めて。
普段の会話でもいろいろと修飾語が多い話し方をする母なのだが、医師相手でもそれは健在だった。穏やかそうな医師ではあったが、やはり大きな病院の医師、かかりつけ医の医師のように聞いてくれるはずもない。(だけど丁寧に聞いてくれた方だとは思う。)
そんな母と医師の様子を私は母の真後ろにある丸椅子に座って見ていた。
時折医師が私の方を見て確認する時は私も話したが、なるべく母の言葉で母の話したいように伝えたら良いと思っていたので、母を遮る事はしなかった。全部私が簡潔に回答した方が時間は半分以下で終わるが、それでは意味がないような気がしたから。
だけど、真後ろから見る母の姿に改めて老いを感じた。

この日の診察の結果はしばらく様子をみていこうということになった。
母が恐れていた結果にならなくて、母は診察中にもかかわらず安堵の涙を流した。
医師の説明の言葉に私もひとまずホッとしたが、ちょっとひっかかるというか怖いなと思うことも言っていて私としては不安も残った結果になったが、母が安心してやっと心落ち着かせることができているので私の不安部分は言わないでおこうと心に決めて病院を後にした。

これから通院はすることになっていく。
どれくらいの期間になるかはわからないけれど、母には心身ともに元気になってほしい。

母の老いの部分を目の当たりにすると、解っていてもショックというか何か寂しいような、心に小さな穴が開いたような感じになってしまう。
だけど、クヨクヨしてる暇はない。

次の診察は2週間後。
さて2週間後はどうなるのだろうか。
しばらく記録的に日記にしていこうかな。


余談、
母のこの日のショックは、診察前に測った身長が母が自分で思っていたより4センチも低かったことだった。
数か月前から母は久々に会う人会う人に「痩せた?!」って言われるらしく、あまりにも言われるので痩せたことが心配になっていた。
不安がる度に「その身長でその体重はBESTやと思うよ!」と言い続けていた。
初めて母の正確な身長の数字を見たのだけど、やっぱりその身長ならその体重でちょうど良いんだよ!前がまん丸だったんやで!(まん丸街道まっしぐらな私が言うなって話しだけど)
と、帰り道の車の中で笑いながら話した。
後日妹にこの話をしたら、母は同じように妹にも心配だと話していたらしい。
妹も「今がちょうど良いんだよ!」と言っていたみたい。

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