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「彼女の面影」の感想(ネタバレあり)

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デイブ・フランコ監督作品

監督は俳優としてはお馴染みのデイブ・フランコ、今回主演であるアリソン・ブリーの旦那で、脚本はアリソン・ブリーとデイブ・フランコの2人で完成させたという夫婦製作映画。

主演のアリソン・ブリーも好きだし、デイブ・フランコの監督としての手腕とかも興味があったので鑑賞。

なんとなくデイブ・フランコがコメディ映画での印象が強かったので、今作もコメディメインの作品なのかと思っていたけど、どちらかというとドラマがメインでそこにコミカル描写が入ってくる感じだった。
軽すぎず、重すぎずなドラマのバランス感覚が絶妙だし、合間合間に入るコミカルなシーンとかもしっかり笑えたし、監督としての手腕は結構良かったと思う。

主人公の過去との向き合い方

最初主人公は結婚をやめさせて自分に振り向いてもらうというのが目的だったと思うのだけど、割と早い段階から迷いが出てくる感じで、本人も自分が何をやりたくて今ここにいるのか?というのを分かっていないまま、その場その場で立ち振る舞っているのが、面白いと思う。
大体こういうラブコメだと、もうちょっと主人公がやりたい事が明確になっている事が多い気がするけど、今作の主人公はとりあえずアクションを起こした後どうするか考えていく様な感じで、劇中で彼女が言ってた通り、どうなるかは分からないけど、何か行動を起こす事自体が目的化しているのが未練との向き合い方としてリアルな感じもした。

その果てにそれまでずっと話せていなかった母親との会話が凄く良かった。
そこに至るまでは大体セックスを覗かれるコミカル要員みたいな扱いだったけど、彼女の背中を押す言葉はグッときた。
彼女の大学入試の時の行為とかコミカルさもありつつ、しっかり感動的でもあるバランスでこの辺の母娘の関係性の回収の仕方とかも好き。

ラストのヌーディストのドキュメンタリーシリーズを撮り始める所で終わっていくのも、自分の素のままで生きるすべての人々を応援するような爽やかさで、素敵な終わり方だった。

中盤に胸出しすぎな服で誘惑しようとするシーンとかがあるのだけど、映画の最後に彼女が胸を出すというのがどういう意味あいに変わっているのか?というくだりとかは結構上手いと思う。さりげないけど感動的。

それぞれへの優しい目線

主人公アリーと三角関係になっていく元カレのショーンと彼と結婚予定のキャシディのキャラクターもそれぞれ味わい深いキャラクターになっていたと思う。

アリーもそうだったけどショーンもアリーが帰ってきたことで過去の未練等で、明確にどうしたいかは分からないけど彼女に接触しようとしている感じがしたし、キャシディも明確に何がしたいか分からないアリーや煮え切らなない態度のショーンに対してどう接するのか探り探りな感じで、その微妙な関係性が結構生々しい感じ。

中盤キャシディとアリーが意気投合をしてより複雑になっていき、アリーがキャシディに過去の自分を投影していく様な展開になるのだけど、キャシディを話す事が彼女自身のセラピー的な効果になっていき、キャシディが夢も結婚も両方を選ぶ様な選択を導いていく感じがとても良い着地だと思った。

キャシディとアリーが結託する事でショーンを敵にしていく様な展開になったら嫌だなぁと思っていたけど、彼にとっても悔いがあったアリーとの関係にケリをつけて前に進む様なラストになっているのも良くて、ちゃんと登場人物それぞれに優しい結末を用意しているのが作り手の真摯さを感じる。

おそらく主演のアリソン・ブリーも製作に入ってきている感じで夫婦で製作した映画って感じがしてちょっと特殊な感じもするけど、演出とかもしっかりしてたしデイブ・フランコの監督としての手腕は結構良かったと思う。

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