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「ブリス」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオで鑑賞。

自堕落な生活をしている画家である主人公が変な薬とかセックスをしていたら、どえらい事になっていく様子を描いた作品。
画面が常に暗くて色合いがキマリまくっている雰囲気なので、時代性みたいのが読めなくていつ頃に撮られた映画なのか全然分からない感じだったけど、観終わって調べたら2021年で最近の映画なのはちょっと驚いた。

見せ場はドラッグをやっている様子を、主人公の主観的な毒々しい映像で見せつけてくるシーンの数々で、まさに分かりやすくドラッグ映画なのだけど、主人公の体が吸血鬼に変容していく「ヴァンパイアモノ」のホラー要素も絡んでくるのが、この映画独自の魅力を出していると思った。
まあその吸血鬼が血を吸うシーンもドラッグをキメているのと大差ないのでやっぱりドラッグ映画だと思う。

主人公の性格があまりに悪くて、全く感情移入出来なくて、それが逆に面白かった。
平気で人に嘘ばかりつくし、自分以外の人間は見下しているし、自分のファンにすら暴言を吐き、画家としてのスタンスもグラグラなのだけど、何としても自分の作品を完成させ残したいという意志みたいモノは強い。
「あんたみたいな負け犬たちにバーで酒出してるだけの人間と一緒にすんな!」みたいなことを彼氏に言ったりして自分の事を棚に上げて人の事を馬鹿にするマジでダメ人間だと思うのだけど、精神状態がぐちゃぐちゃな中でも命懸けで「死んでも良いから描きたい」という点は、どんなに堕ちても彼女の自分がアーティストである意地みたいなモノを示している様でちょっとグッと来てしまった。

元々ドラッグで創作へのモチベーションを上げていた感じなのだけど、吸血鬼へと体が変容していき血を吸いハイになるまでの禁断症状すらも自分の作品を作る糧にしている感じが、まさに芸術の為に悪魔に心を売っているみたいだった。

そして大殺戮に大殺戮を重ねた後、最終的に人間性を捨てた代償を得る様に散っていき(めちゃくちゃ汚い花火みたいな死に方で笑ってはしまったけど)、それでも自分の作りたかった作品だけは残っていく。
出てきた主要登場人物の殆どが死んで、血みどろのぐちゃぐちゃの映画なのに、なんか不思議とハッピーエンドっぽくも見えるのが面白かった。
まあその残った絵がめちゃくちゃ毒々しいので爽やかさは皆無なのだけど。

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