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「赤と白とロイヤルブルー」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオオリジナル配信限定作品。
アマプラオリジナルでは久しぶりの話題作でかなり楽しみにしていた。

映画が始まって前半はいかにもラブコメディ的な雰囲気になっていて、ベタに最初の印象は最悪だった2人が心を通わせいくのだけど、その最悪の出会いの最悪具合が本当に笑っちゃう位酷くて、「この状況からどうやって仲良くなっていくんだろうか?」という所にまず引き込まれた。

最初から何故かお互いを毛嫌いしてる主人公2人の様子が描かれて、でもその確執の理由がとても些細な事だと明らかになるのだけど、裏を返せば仲良くなりたがった故の気持ちのすれ違いで、だからこそそれを理解し合ったからこそどんどん仲良くなっていく流れが観ていてとても気持ちが良かった。

同性愛をテーマとして扱っているのだけど、アレックス側のエピソードは最近の主流のアメリカ映画と同じく、それを当たり前のラブストーリーとして描きつつも、それを当たり前に出来ないヘンリー側の人生とをどう折り合いをつけていくのか?という部分がラブストーリーとしてスリリングだし、現代のロミオとジュリエット的な許されざる恋物語として説得力があった。

アメリカのチャキチャキパーティ息子とイギリス王室のエリート王子の価値観の違いで噛み合わない会話劇がとても楽しい。

セックスシーンの後とかに必ず今2人がいる国を象徴する塔が出てくるのだけど、そのカットの繋ぎ方とかが馬鹿馬鹿しくて笑っちゃう。

ただ2人の関係の切実さを増す毎に、セックスシーンもちゃんと美しい瞬間として切り取ろうと演出していくので、後半にいくにつれ世界観に明るさはありつつも2人の時間のかけがえの無さもどんどん感じていった。

特に素敵なラブシーンでいうと、電気も付いていない誰も居ない美術館の中で2人でスマホから流れる音楽に合わせてダンスをするシーンが本当に素晴らしい時間の表現だったと思う。

キャスト的には主演2人が本当に素晴らしい存在感だったと思う。

アメリカのいかにもチャラチャラしたボンボンという感じのアレックスの馬鹿なんだけど憎めない人の良さとか冒頭から周りの登場人物もそうだし映画を見てるこちらをも惹きつける華があった。
そんな彼が大統領である母の役に立って、国に尽くしたいという想いがちゃんと本物であるというのが分かってくる後半の流れとかもグッときた。

それに対して英国の王室で厳しく育ったヘンリー王子もアレックスと真逆でお堅さの中から見える人間味みたいな部分が素晴らしかった。
正しくあろうとしてるけど、性の部分が自分が歩むべき人生と折り合いがつかなくて、それ故に諦めないといけないモノが多い感じがいっぱいいっぱいという感じで、中盤のアレックスを拒否しようとする展開が切ない。

この2人がドタバタしたり、真剣に恋をしたり、運命を乗り越えようとしていく様子が引き込まれる感じで演者の魅力もあるし、良い化学変化が起きていたと思う。

その脇を固めるキャストも良かった。
アレックスの母親で大統領役のユマ・サーマンも貫禄があって凄く良かった。
中盤の恋愛相談のくだりとかも母親と息子の信頼度を示す良い場面だったと思う。

あとアレックスの子守役のザハラって言う女性も凄く良かった。
もう1人の母親みたいな役割なのだけど、実の母親より結構暴力的なのだけど、アレックスの軽い性格的にこの2人に怒られてやっとちょっと反省する様な感じなのでこのバランスがちょうど良い感じ。

ラストのイギリスで国民から拍手で祝福される場面や、アメリカ大統領選挙の結果等、映画だからこそ出来る希望の提示もとても感動的だった。

そんな感じで今だからこそ描く意義も感じる素晴らしいラブコメディ映画だったと思う。

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