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「ロードハウス/孤独の街」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオにて配信限定作品。
元々1989年に公開された同タイトルの映画のリメイクらしいけどそちらは未見。
というか、せっかく限定配信してるんだからAmazonプライム・ビデオでリメイク元も配信してくれたら良くない?とは思う。

荒くれ者達が嫌がらせにくるお店を救う為に何やら訳ありな強い男が用心棒として雇われる、という劇中でも例えられる通り今どき珍しい「西部劇」的な設定のお話。

最初にチンピラ達を追い払うシーンで、病院の場所を確認し、丁寧に保険に入っているのか?本当に良いのか?等聞き取りをした後、ボコボコにして車で病院まで送ったあげるくだりが、殴る事しか出来ないけど出来れば傷つけたくないという彼の矛盾したスタイルを示すコミカルで良い場面だと思った。

そこからどんどんお話の暴力性が増していくのだけど、冒頭で簡単に自殺しようとしている怖いもの知らずに見える主人公が実は一番恐れているモノが自分の暴力性なのとか、少年マンガ的で面白い。
人を傷つけてはいるがギリギリ暴力性は抑えていた彼が、最終的に殺し合いまで暴力がエスカレートした時に殺人マシーン化していく展開が熱い。

主人公ダルトンを演じたジェイク・ギレンホールの魅力は見た感じの信用ならなさだと思うのだけど今作でも実は本心が見えない佇まいが絶妙だったと思う。
今回も大きい目を見開きながら本来持っている暴力性を爆発させながら闘う姿はカッコよくて上がるけど、最後のヒロインと同じく引いてしまう狂気も含めている感じだった。

あと今作の登場人物の中で何と言っても一番華があったのは悪役のノックスというキャラクターだったと思う。
彼が出てきて映画の温度がグッと上がる様な感じで、街を裸で練り歩き、服を奪って火をつけるめちゃくちゃな初登場シーンから最高で笑った。

アクション映画として格闘シーンの撮り方はなかなか上手い気がした。
引きで見やすいカットと、表情が分かる様にグッと寄るカット、グルグルカメラが回ってる様な臨場感のあるカット等、アクションの緩急の付け方が巧みだった。

笑える所と絶妙に入ってるのも良かった。というか、どのシーンもちょっと笑える間抜けさも込みで撮られた作品な気がする。
後半の人が死にまくる展開とかも何処か不謹慎さが漂う感じでなんかそこまで緊迫感は無い。
警官から金を奪うくだりで「あ、これは結構残酷な方法で殺すのかな?」と思っていたら、脳震盪を起こすと記憶が数分消えるからお前はこの会話の記憶は無いと木の棒でぶん殴るのだけど、しっかり覚えているシーンとか、観ながら「マジでこのゆるさ何なの?」と戸惑いながら笑ってしまった。
あと娘攫ったの?攫ってないの?のくだりも敵ながらグズグズで笑う。

あと印象的だったのが、画的に海辺の街のロケーションも本当に素晴らしい。
起こる事は暴力的な事件ばかりなのに、空と海の美しさが本当に爽やか。
そんな美しい景色に、対してそこに住む住人達が基本的にみんな気性が荒くて口が悪いというギャップがまた面白い。

ただ気になった所も多くて、前半で何故ロードハウスが敵から狙われているのか?というのをミステリー的に引っぱるくだりがあるのだけど、後半リゾート計画の為だったという、めちゃくちゃ普通の理由が割とあっさり明らかになるのは、肩透かしを喰らった。この辺は語り口が上手く無い気がする。

あと親玉と一番ヤバい敵をやっつけてハッピーエンドになった様に見えるけど、親玉の父親が普通にまだあの場所狙っているのでは?という気持ちになってしまいこの後の報復がヤバい気がする。
フリーザは倒したけどまだコルド大王みたいのがいる状態で主人公が去ってしまうのはなんだか不安な気持ちになってしまった。

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