「アクアマン/失われた王国」の感想(ネタバレあり)
「アクアマン」の続編にして「マン・オブ・スティール」から始まったDCエクステンドユニバースの最終作。
この先はジェームズ・ガンプロデュースによりDCユニバースとして仕切り直しになる訳だけど、今作はこれまでのDCEU映画をまとめる要素とかはほぼ無いので、観終わっても特にこれまでの感慨とかも感じず、最後がパトリック・ウィルソンがゴキブリ食って終わるラストシーンで笑った。
冒頭の海賊が巨大コンテナ船を襲っている所を助けに入るザ・ヒーロー的な場面から楽しい。
船の中から船員達が「イェーイ!やっちまえ!」と応援してるシーンが挟み込まれるのがまた良い。そしてそれを息子に話してはしゃいでる感じがアクアマンらしくて陽気。相変わらずジェイソン・モモアのイメージそのままの雰囲気で今作もカラッとしたヒーロー感。
前作の闘いの後、王になったり父親になったりしていて悪戦苦闘している描写が入るのだけど、慣れない仕事や育児の大変さがコミカルだけどなかなか人間臭くて面白い。
そんな中、前作で中ボス位の扱いだったブラックマンタが父親を殺された恨みからアクアマンを殺すために暗黒海底王国の王と契約してスーパーパワーを得て闘いを挑んでくる訳だけど、地球を温暖化でめちゃくちゃにしながら、ただただ捨て身でアクアマンを苦しめて殺すだけの存在と化していくのが結構かっこいい。
演じたヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世は個人的には2021年の「キャンディマン」の名演で株が上がりまくって期待して観たけど、なかなか良い存在感だったと思う。
そんな強力な敵に対しての対抗策が前作の悪役であるパトリック・ウィルソン演じるオームとタッグを組んで闘うという、続編モノとして王道な展開で迎え撃つ。
個人的には今作の最大の魅力はこのオームの活躍だったと思う。監督のジェームズ・ワンの死霊館等でもタッグを組んでたパトリック・ウィルソンに対する愛を感じる扱いだった。
前作なかなかの悪事をしていた訳だけど、幽閉された後生存出来るギリギリの水だけ与えられおっかないビジュアルのゾンビ兵士にずっと拷問されているというなかなかハード毎日を過ごしている。最近のこういう映画では珍しくしっかり罪に対して罰を受ける描写があるのは好感が持てる。
マーベルでは同じ様な元王族でかなりの悪さをした主人公の弟でロキというキャラが居るけどめちゃくちゃ甘かったなぁと改めて思ったり。ソー2作目で幽閉の筈なのにオカンから普通に差し入れ貰ってたし。
この時点で可哀想過ぎて正直「前作の悪事はチャラにしてあげたら良いのでは?」という気持ちになるし、実際ロキと違いオームは真面目なので今作の最初から結構反省してる感じで、こういう映画にありがちな裏切る雰囲気があんまり無い。
ただガサツなアクアマンを兄として認めるのは嫌で、「二人が兄弟として仲良くなれるのか?」という部分をメインのドラマとして描いてる感じ。
この2人が協力したり、喧嘩したりするシーンはまあ楽しい。
「助けにきたよ」に対して、「いや、そもそもお前が幽閉したんじゃん!」の真っ当なツッコミを入れる再会シーンからいきなり笑えたし、走り方を知らない弟に教えてあげたらめっちゃ早くなる描写や(走り方を知らないパトリック・ウィルソンの演技が最高)、嘘ついてゴキブリを食わす酷すぎるイタズラ等、振り返ると笑みが溢れるシーンばかり。
ラスボスである暗黒海底王国の王がオームの立場と重なる様に兄弟喧嘩の末に堕ちた存在として設定されてるのも良くて、最後に同化しようと心を蝕んでくるのを兄弟2人で「お前とは違う」と乗り越えていく展開は割と感動してしまった。
一作目から引き続き海底王国のビジュアルとかも良くて、海底スターウォーズ的な世界観が今回も観てるだけで楽しい。
今回はブラックマンタチームの潜水戦艦などのデザインが好きだった。
特に陸上で戦闘も出来るタコみたいな小型潜水艦が鳥山明感もあって最高。
あと今回も面白生き物達のデザインも良かった。
今回登場のオシッコかけてたお手伝い擬態タコさんも可愛かったし、タツノコライダーもカッコ良くてフレッシュだった。
クジラやシャチの超音波で敵の船をぶっ飛ばすシーンは海の生き物を全て味方に出来るアクアマンらしいシーンで凄く良い。
ただ子供が乗ってる可能性があり普通に包囲攻撃が出来ないからあの方法を選んだ筈だけど、当たり前の様に木っ端微塵に爆破させているのは爆笑した。