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「哭悲 THE SADNESS」の感想(ネタバレあり)

夏休み期間にNetflixで今更鑑賞。
公開時気になっていたのに、時間が合わず観れてなかった作品。
期待してたけど予想以上に嫌な気持ちになる素晴らしいホラー作品だった。
改めてこの機会に観れて良かった。

Amazonプライム・ビデオでも観れるけど、そちらは途中でぼかしが入って冷めるので個人的には、ぼかし無しのNetflixでの鑑賞をオススメ。

ウィルスによって、誰もが暴力衝動の赴くままに半端じゃない残虐行為を行い、街中で地獄絵図が繰り広げられる。
しかも暴力行為を行う感染者自身も正気は残っていて、自分がやっている殺戮行為を理解が出来ているから、涙が止まらないというこれまた鬼の様な残酷な設定。
その最悪な設定に恥じないゴア描写の数々もかなり本気で、血糊の量や肉体欠損描写も凄まじかった。

感染者は噛んだりして、体液から感染が拡がっていくのはゾンビ映画と同じだけど、今作が嫌なのは、感染者の知能は残っているのでゾンビと違って道具や武器も使えるし、普通に喋るので悍ましく汚い言葉で脅してきたりする。

そんな「拷問ゾンビ」的な存在が街中にいる絶望感が凄いし、物語自体もめちゃくちゃ希望が無い。
主人公の恋人が街中をスクーターで走るシーンがあるのだけど、日常の違和感が段々と大きくなりもう街全体が完全に狂ってしまったのを画で示しているみたいでゾクゾクした。

今回の映画のボス的な存在になる電車で主人公に話しかけてきたオヤジのキャラが本当に最悪で、観た誰もが印象に残ると思う。

感染前から主人公に話しかけてくる様子が既に気持ちが悪いし、普段から欲望を溜め込んで生きていたのが伺える。
それ故にウィルスに感染して大暴れ出来るのを待っていた様にも見えるくらいの鬼畜っぷりで、電車で無視されたのを口実に主人公を執拗に追いかけてくる。
普通のゾンビ映画は目の前の動くものを襲うだけだけど、何度逃げても狙った相手を「残酷な方法で殺したい」というこの執着が、他のホラー作品に無い独特な気持ち悪さだと思う。
「ストーカー」と「ゾンビ」のハイブリッド。

主人公と一緒にいた女性への病院での暴力描写が、マジで吐き気を覚える非道っぷりで、そこからの感染の仕方も本当に最悪。

その気持ち悪いおじさんを倒した後わ病院にてウィルスを研究している男がどうやらワクチンを作ろうとしているのが分かり、お話しが良い方向に好転しそうな兆しが見えた直後に鬼畜の所業が明らかになり「こいつもめちゃくちゃクズじゃん・・・」と判明する。
ここで登場した客観的に見れる感染してない人間すら狂っているのが物語的により絶望を感じた。

最終的に主人公は恋人と再会は出来るのだけど、残念ながら恋人は既にウィルスに感染しており、主人公への行いたい残虐行為の欲望を口にするのだけど、なかなかキツい。
しかも変わってしまった恋人を後に、泣きながら救助のヘリに乗り込もうとする主人公へ撃たれたと思われる銃声シーンで映画は終わっていく。

個人的にはどうしたってバッドエンドみたいな終わり方になるホラー映画は大好きなので、ぼやかしてはいるけど、ラストの切れ味に痺れた。

また上手いのが、公開当時はコロナが猛威を振るっていた時期で、ウィルスが感染する事の恐怖が世界的に過敏だったと思うし狂気が伝染していくのを、より切実に嫌悪を抱く印象で、リアルタイムで映画館で観たらもっと嫌な気持ちになっただろうなぁ・・・。

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