バンガローの壁一面に、中年男の顔が浮かび上がった話
怖さ:★★★
もうずいぶん以前の話ですが、私の通っていた高校の歴史の先生は怖い話がお好きな方で、授業中、よく怖い話をしてくださいました。例えば、山道を車で走っていて、たまたま大きな事故の現場の近くを通ったら急にエンジンの回転数が下がってしまった話とか。授業の内容はすっかり忘れてしまったのに、、、先生には申し訳ない気もします。
さて、その先生の数あるお話の中でも、最も怖いというか、強く記憶に残っているのが、先生がお子さんやほかのご家族と一緒に旅行に行った時のお話です。
当時、先生には小さなお子さんがいたのですが、お友達のご家族と一緒に旅行に行こうということになり、湖の近くのバンガローを借りたそうです。二間あって、ふすまで仕切っているような造りだったとおっしゃっていたと思います。
一日遊んで、夜、子どもたちを布団に寝かせて、さあ、これから大人が楽しむ時間!ともう一つの部屋で親たちがくつろごうとしたその時、突然、子どもたちの悲鳴が聞こえてきました。
びっくりして「どうしたの?」とふすまを開け、子どもたちが寝ている部屋に入ると「壁に人の顔が……」と子どもたちが騒いでいます。何をバカなことを!?と壁を見ると、薄明りの中、本当に壁に大きな男の人の顔(おじさんの顔)が浮かんでいたそうです。顔はすぐに消えたけれど、その後は大人の時間どころではなく、大人も子どもも一緒になって夜を過ごしたそうです。
でも、怖い話そのものより、お話の後に「こういう時、男性は『ギャー』って目をつぶってしまうけれど、女性は『キャー』って悲鳴を上げて、手で目を覆っておきながら、指の間からしっかりと見ているものなのよ」とおっしゃってたことの方が、より鮮明に記憶に残っています。幽霊やお化けが出た時は、男性より女性の方が頼りになるのかもしれません。
話し手:高校の先生
採取時期:1990年代
採取場所:埼玉県
「旅先」の、なんか怖い話
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