見出し画像

二軒長屋の隣に住む人が亡くなっているのを発見した時の話

怖さ:★★★ 

日頃お世話になっている経営者の方から、お電話で伺ったお話です。

今から20年以上前、その方は大学に通うため、仙台で部屋を借りて住んでいたそうです。二軒長屋といって、一つの家が真中で左右に分かれているような、そんな古い建物で、隣には同じ大学の大学院に通う院生が住んでいました。

隣人とは接点もなく、ただ隣に暮らしている人くらいの関係で、特に交流もありませんでした。

その方が大学4年生のことです。10月末のある日曜日、その日は朝から部屋でのんびりとすごしていました。

9時を回ったころ、友達が貸してくれたクラシックのレコードを聴きながら、ふと庭の方を見ると、日が照っているのに雨が降っていました。

「天気雨だ」

と思ったそうです。

その時、庭に人が立っているのに気が付きました。

よく見ると、倒れたスクーターの上に立っています。そして首は、庭の木にひもでつながっていました。

自死した遺体の第一発見者となってしまったその方は、警察から事情聴取を受けました。亡くなったのは同じ長屋に住む、隣人の大学院生でした。

亡くなった方の部屋は天井が壊れていて、その日の明け方、一度自殺を試みたけれど失敗していたようです。梁が折れていて、かなり大きな音がしたはずなのですが、その音には全く気が付かなかったそうです。

ただ、庭の人影に気が付いた時にかけていたクラシックのレコードが、モーツァルトの「フリーメイソンのための葬送音楽」で、曲名というか、タイミングが良すぎるなと思ったそうです。

話し手:日頃お世話になっている方
採取時期:2020年6月
採取場所:自宅(電話)

「家」の、なんか怖い話


怖い話がお好きな方も、あんまり得意ではないという方も、楽しんでいただけるよう、取材しています。 よろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。