見出し画像

亡くなったお父さんと相席した話

怖さ:☆☆☆ 

会社の同僚が、お父さんが亡くなった時に体験したことを話してくれました。

彼のお父さんが亡くなったのは1月、冬の寒い時期でした。ご遺体を病院から連れて帰って家で安置していた時のことです。気が付くと、どこから迷い込んだのか、部屋の中に大きな蜂が飛んでいました。

真冬の寒い時期に蜂が飛んでいるという意外さもさることながら、その蜂はびっくりするくらいの大きさで、同僚も「これは普通の蜂ではない」と思ったそうです。ただ、怖いとかそういった気持ちはありませんでした。

蜂を見ていたお母さんが「あ、お父さんだね」と言ったのを聞いて「ああ、父が帰ってきたんだな」と思ったそうです。

さて、彼がそのお父さんのお葬式を終えた後の日のことです。

お父さんのお葬式では、彼の当時の仕事仲間が、訃報の連絡をはじめ準備から当日のことまで、もろもろ手伝ってくれました。そこでお葬式の後、少し落ち着いたころに、お礼も兼ねて一緒に食事に行きました。今はもう閉館となった日劇の近くのお店です。

その人と向かい合って座って食事をしていた時のことです。突然、「お父さんがいらしてるよ」と言い出しました。

「お葬式の時、お棺に入っていた時に着ていたのと同じジャケットを着て、隣に座ってるよ。お前のこと心配してるみたい」と、その人は普段、幽霊の話とかそんなことは一切言わない方なのだそうですが、すごく普通な感じで話していたそうです。

彼も、亡くなったはずの人が隣にいると言われても、身内だからか怖いとか、気味が悪いとかいうことは一切なく、むしろ生前、あまりゆっくりと話をしたこともなかったお父さんと一緒に食事ができて嬉しかったそうです。

話し手:50代 男性
採取時期:2020年5月
採取場所:東京都内(Google meetにて)

「動画」で、なんか怖い話

「食事中」の、なんか怖い話

「お父さん」の、なんか怖い話



怖い話がお好きな方も、あんまり得意ではないという方も、楽しんでいただけるよう、取材しています。 よろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。