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寝てると、部屋を横切る落ち武者たちにお腹を踏まれる話

怖さ:★★☆

仕事でお世話になった先輩から伺った話です。

先輩の母方のおばあさんは明治生まれ。普段から不思議な体験をいろいろとされていたそうです。88歳の時に一度、危篤?状態に陥りました(心臓も止まったそうなので、危篤という表現は適切ではないかもしれません)。お葬式の準備をしていたら「まだ早いから」と生き返って、その後20年近くお元気に過ごされました。今回は先輩と、そのおばあさんの仏壇にまつわるお話です。

さて先輩が高校生の時、ご両親は離婚されていて、先輩はお父さんと二人で東京の下町エリアにあるマンションで暮らしていました。ある日、先輩はお母さんに呼ばれて、おばあさんに会いにいきました。そしておばあさんの家にあった大きくて立派な仏壇を託されることになりました。

ところが、その立派な仏壇を自分の部屋に置いたところ、当時高校生だった先輩は、夜な夜な、金縛りに遭うようになってしまったのです。夜中の2時から3時くらいの時間になると、マンションの廊下のほうから先輩の部屋に次々と人が入ってきて、仏壇の中に消えていくのです。

先輩の部屋はマンションの11階で、玄関以外に出入り口はないのに、どこからか入ってきて、仏壇に消える。しかも、みんな鎧のようなものを身にまとっていて、痛そうに、何かにすがるように歩いているそうです。

先輩の部屋を通る幽霊?は十三人とおっしゃっていました。時間にして数分のことですが、厄介なのはなぜか皆、先輩のお腹の上を踏んでいくこと。先輩も、重くて苦しくて息ができずに困ったそうです。でも、顔を踏まれることはなかったとおっしゃっていました。

この時間に先輩が寝ないで起きているとそういうことは起きなかったそうです。また、お腹を踏まれているときに、一緒に暮らしていたお父さんが「どうかしたか?」と部屋をのぞいたこともあったのですが、先輩は声が出せなくて、お父さんも、まさか息子が落ち武者のような幽霊に踏まれているとは、まるで気が付かなかったそうです。

この現象は3年ほど、先輩が高校を出てお父さんの家を出るまで続きましたが、家を出てからは夜中に幽霊にお腹を踏まれることはなくなりました。

その仏壇はお父さんの家に置いたままにしていたそうですが、どこかのタイミングで「親父が処分したんじゃない?」とおっしゃっていました。

話し手:50代 男性
採取時期:2019年9月
採取場所:東京都内の居酒屋

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