死んだお祖父さんの家で、黒い影に懐中電灯を取り上げられた話
怖さ:★★☆
中国人の友人が子どものころ、近くに住んでいたお祖父さんが亡くなりました。これはその時、彼女のお母さんが体験したお話です。
お祖父さんが亡くなった後、誰も住む人がいなくなったお祖父さんの家は、しばらくの間そのままの状態になっていました。その家は近所にあったので、物置のようにして使っていたそうです。
ある夜、友人のお母さんが何か荷物を探しに、亡くなったお祖父さんの家に行きました。明かりがなかったので、懐中電灯を持っていきました。
お祖父さんの家で探し物を終えて、帰ろうとしていると、黒い影が見えました。友人のお母さんは泥棒が入ってきたのかもしれないと驚いて、その黒い影に向かって懐中電灯を投げつけました。懐中電灯が落ちる音がしましたが、明かりが消えて、どこに落ちているか分からなくなりました。友人のお母さんは怖くなって、懐中電灯はそのままに、急いで家に帰りました。夜の8時くらいだったそうです。
翌朝、友人のお母さんは懐中電灯を探しにお祖父さんの家に行きましたが、懐中電灯は見つかりません。そうして2、3日お祖父さんの家に通って懐中電灯を探したのですが、やはり見つかりませんでした。
そんなある夜、友人のお母さんの夢に、一人のおばさんが出てきて、「懐中電灯を投げつけられた」と、とても怒っていました。けれども「お父さん(友人にとってはお祖父さんですが、お母さんにとってはお父さんです)と知り合いだから、お父さんの顔に免じて、今回は赦してあげる。懐中電灯も返してあげます」と言ってくれたそうです。ただし、「次に同じことをしたら……」と、しっかりくぎを刺されたそうです。
翌朝、目が覚めてお祖父さんの家に行ったところ、あれだけ探しても見つからなかった懐中電灯が、ちょうど黒い影が見えたところに落ちていたそうです。
「懐中電灯って、そんなに何日も探すもの?必要だったら新しいのを買えば?」と尋ねたところ、「今はそうでもないけれど、当時の中国では、懐中電灯は安いものではなかったので、とても大切に使ってた」のだそうです。
話し手:30代 女性
採取時期:2019年11月
採取場所:東京都内
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