三途の川

三途の川の渡し賃をぼったくられそうになった話

怖さ:★☆☆ 

職場の同僚から聞いた、臨死体験の話です。経験したのは本人ではなく、彼女の親友のおじさんです。直接ご本人に伺ったわけではないので、叔父さんか伯父さんか?とか、どのような理由で危篤になられたのかといったところまではわかりません。

さて、危篤状態に陥いったおじさんは、三途の川にたどり着いたそうです。目の前に川があって、船頭さんらしき人がいて、亡くなっているであろう人たちが次々と舟に乗り込んでいました。

先に舟に乗った人を見ていると、舟に乗る際に皆、船頭さんに六文銭を渡していました。しかし、自分の番になってそのおじさんは、六文銭はおろか、お金を一円も持っていないことに気が付きました。

ところが「六文銭がない」ということを船頭さんに正直に伝えると、船頭さんは「お前は100万円だ」と言いました。

それを聞いておじさんは「なんでほかの人は皆六文銭なのに、自分だけ100万円も払わなくてはいけないのか?」と抗議をしたそうです。それでも船頭さんは「100万円」の一点張り。舟には乗せてくれません。

「どうして俺だけそんなに高いんだ?」と言い争っているうちに、気が付いたら病院のベッドだったそうです。

ちなみに、お葬式の風習を調べてみると、亡くなった方に着せる死装束に頭陀袋(ずだぶくろ)という肩掛けカバンのようなものがあって、今はそこに本当のお金ではなく、六文銭のイラストなどを印刷した紙を入れたりするそうです。

さらに、東北など地域によっては六文銭の代わりに「100万円」と書いた紙を入れることもあるようですが、この臨死体験をされた方は、東京の方です。

話し手:職場の同僚
採取時期:2019年10月
採取場所:東京都内

「臨死体験」の、なんか怖い話


怖い話がお好きな方も、あんまり得意ではないという方も、楽しんでいただけるよう、取材しています。 よろしければ、サポートしていただけると嬉しいです。