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自分はPdMになりきれているのか。

はじめに

キャリアのファーストステップである大手SIerに在籍していた頃は、そこまで強く感じることはなかったですが、事業会社のPdM、そして、現在のStartup StudioのPdMなど、マルチな業界・役割を担当した経験を背中に背負った上で、改めて「PdM」というロールで立ち回っているあらゆる方々と対峙した時に、場合によって違和感を感じる局面に出くわすことが出てきました。

「ユーザーエクスペリエンス(UX)よりもフィージビリティやテクノロジーばかりを気にしていないか?」

「チームメンバーを鼓舞する素晴らしいプロダクト戦略だが、これは着地まで見えているのか?」

「ユーザーの声を咀嚼し切れているのか、その顧客のためだけの要求になってはいないか?」

などなど。

実際の発話だけを拾い上げてみると、本当に三者三様(さんしゃさんよう)ですが、このPdMという役割を任せられているにも関わらずPdMになりきれていない(と私個人がそう解釈している)現象をもう少し抽象化して説明できないかと思い、整理した内容が以下の通りになります。

正直私も気を抜くと、同様なジレンマに陥っていることがあります。

理想的なPdM

度々持ち出すプロダクトマネジメントトライアングルなのですが、改めてこの図が非常に有用なものだなぁと感じました。

The Product Management Triangle |  Dan Schmidt

端的に説明すると、プロダクト(The Product)を取り巻くステークホルダー(Users、Developers、The Business)と各ステークホルダーの間に存在するタスクをプロットしたもので、タスクについてはプロジェクトの特性に応じて柔軟に変わっていくものですが、ステークホルダーについては基本この形に落ち着くのではないかと思います。そして、ここに役割をプロットすると、以下のような形になるかと思います。


文献によっては、Users(顧客)の部分をPdMやPOと定義(※参考「アジャイルサムライ」など)しているものもありますが、理想的な構図としては、Users(顧客)側にはCS(カスタマーサクセス)、Business(ビジネスサイド)側に経営、マーケ、BizDevなどのビジネス担当者、Developers(開発サイド)側にEngineer(エンジニア)の専門職が割り当てられていて、各々の視点を持ち合わせておりプロダクトの意思決定を行うのがPdM(プロダクトマネージャー)という形だと考えます。まとめると、状況に応じてフラットな判断ができることが、理想的なPdMとして求められるマインドセット、スキルであると理解しております。

マインドやスキルが偏ったPdM

前述において、理想的なPdMとは、マインドセットやスキルがプロダクトマネジメントトライアングルの中心にいる人だとお伝えしましたが、逆に一方の方向に偏っている場合にどのようなジレンマが生じてしまうのか、について考察してみたいと思います。

Developers(開発サイド)に偏ったPdM

Engineerを経験した後にPdMへロールを変えられた方やIT企業から転職をされて、PdMになられた方で起きがちなジレンマかと思います。

<起きうる障害>

  • ものは作れるが、ユーザーに受け入れられない。売り上げにつながらない。

  • 着地を意識しすぎて、インパクト(Wow)のあるロードマップを描けない。

Business(ビジネスサイド)に偏ったPdM

営業やBizDev、マーケからPdMにキャリアチェンジされた方やコンサルティング企業からPdMに転身された方に起きがちなジレンマかと思います。

<起きうる障害>

  • プロダクト戦略は素晴らしいが、細かい戦術まで見据えることができず、中々プロダクトが仕上がらない。

  • クライアントのグリップは素晴らしいが、チーム内のコミュニケーションが淡白でチーム全体として同じ方向を向いて進めることができない。

Users(顧客)に偏ったPdM

CSからPdMになった方やユーザー企業からドメインスペシャリストとしてPdMになった方に起きがちなジレンマかと思います。

<起きうる障害>

  • ユーザー要望が色濃く出てしまい、フィージビリティやプロダクトビジョンとの整合があまりできていないプロダクトバックログが出来上がる。

    ※ただ適度にユーザーに寄り添うのは悪いことではない。

偏りを解消するには

マインドセットやスキルの偏りを解消するために意識しておくべき要素を大きく2つにまとめてみました。

自分が見えていない視点があることを知る

まず1点目ですが、自分がPdMとして関わっているプロダクトを継続成長させる過程で、自分が見えている視点と見えていない視点を知る必要があります。なぜこれが偏りを解消する上で必要かと言うと、”相手への理解をより深めるため”です。業務の観点で言うと、自分が見えていない視点を知ることでプロダクト運営でPdMである自分自身がカバーできていない範疇で懸念を感じている人がいることを理解でき、より話を聞こうというマインドになると思います。(自分が歩いている道の先に落とし穴が潜んでいるとして、警告してくれる人がどこの馬の骨かわからない人だと疑い深いですが、この道を熟知している人だとわかれば、自ずと信じると思います。)見えている視点、見えていない視点に関わらず、プロダクト運営に関わるメンバーの過去の経歴などにも目を向けてみると、より理解が深まると思います。

取り急ぎのアクションとしては、プロダクトを継続成長させていくために「どんな人が関わっているのか」、そして、その人が「何のためにどんな作業をやっているのか」を把握すると良いと考えます。

自分が見える視点を可能な限り増やす

2点目は、1点目でPdMである自分自身が見えていないと切り分けた視点について見えるように努力することです。端的に言うと、プロダクト運営に必要な作業、およびそれを完遂するために求められるスキルをPdM自身も身につけるということです。とは言っても、言うは易し行うは難しで中々テクノロジー、ビジネス、UX、マーケティングなどの全てのスキルセットを網羅的にマスターすることは難しいと思います。まず大事なのは、1点目の繰り返しになりますが、プロダクトに関わるメンバーが何かに悩んでいたり、不意に反論してきた際に、彼らが見ている視点は何なのか、PdM自身が見ようとすることだと考えます。第一段階として、知らないことを知ることが大事ですが、それだけでは訴えているメンバーの言うことを受け止めて信じることしかできないため、できる限り自分ごととして受け止め、咀嚼した上でより良い意思決定ができるため、また、メンバーを説得しやすくするために、最低限の知識を身につけておくことをお勧めします。

まとめ

今回は「自分はPdMになりきれているか」というタイトルで、「理想的なPdM」と「マインドやスキルが偏ったPdM」、「偏りを解消するには」について考察させていただきました。

結論としては、プロダクトを取り巻く自分の立場を俯瞰して見ること、自己研鑽をすることですが、是非参考にしていただき日々のプロダクトマネジメントにあたっていただくと幸いです。

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