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短編脚本『美術室』

放課後の美術室、二人の生徒が各々作品を仕上げている。

杉田は水彩画、新野はパステル画を描きながら。

新野 ……杉田先輩。
杉田 ん。
新野 ……今日、うちらだけですか。
杉田 ……みたいやな。
新野 ……あの。
杉田 どう。
新野 あ、はい、まあ。
杉田 間に合う?
新野 たぶん。
杉田 新野はいつも良い線行くからなぁ。
新野 や、そんな。
杉田 あ。なぁ、水彩の青、貸してくれん?
新野 あ、はい、えと、ちょっとまって下さいね。
杉田 (新野の絵を見て)……繊細やな。
新野 え?
杉田 や、新野らしいなと思って。
新野 あたしらしい、ですか…?
杉田 うん。
新野 ……あ、えと、これ。(絵の具を渡す)
杉田 あ、ありがとう。ごめんな、買おうと思って忘れとった。
新野 いえ。
杉田 こういうとこがな、反映するんやろな。
新野 え?
杉田 性格が絵に出るってこと。
新野 ああ……
杉田 おおざっぱやねんなぁ。
新野 杉田先輩の絵は……大胆で、羨ましいです。
杉田 おー、フォローありがとう。
新野 ……ほんまですよ。
杉田 ん、まぁ、照れるから。
新野 あ、すみません。
杉田 いやいや……
新野 ………杉田先輩。
杉田 ん。
新野 佐々木先輩に告白されたってほんまですか。
杉田 ………誰から聞いたん。
新野 あ、垂れてます。
(杉田の絵の具が筆から垂れそうなことを指摘)
杉田 おわ、ちょ、っぶなー……
新野 ティッシュ要ります?
杉田 いや、大丈夫、ありがとう。
新野 いえ……
杉田 ………ほんで、誰に聞いたん。
新野 ……えと。
杉田 本田やろ。
新野 えっ
杉田 はぁ。最悪や。
新野 すみません。
杉田 あ、いや、新野やなくて、ていうか、な。
新野 はあ。
杉田 逆。
新野 え?
杉田 逆やねん。
新野 ……?
杉田 …………こっちが。
新野 ……はい。
杉田 ……言ったのよ。
新野 ……え。
杉田 せやし。
新野 ……はあ。
杉田 ……考えさせてほしいって。
新野 え?
杉田 どうなん?
新野 ……何がですか?
杉田 考えるて。どっちなん。
新野 えと、どっちかを決める為に。
杉田 どっちの可能性が高いん。
新野 えと。それは。
杉田 それは。
新野 ……わかんないです。
杉田 ……やんな。はぁ。
新野 すみません……
杉田 いやいや……できれば忘れてくれれば……
新野 それは……難しいです……
杉田 ……やんな。はぁ。
新野 すみません……
杉田 いや、まぁ。
新野 あの、垂れてます。
(杉田の絵の具が筆から垂れそうなことを指摘)
杉田 あー、あー、あー……
(地面に絵の具が垂れ落ちてしまった)
新野 ティッシュ……
杉田 ……ください……

終わり。

数年前に練習用に、たかつが描いた短編脚本です。

性別は自由に設定できます。
杉田が男性・新野を女性が演じたり、
杉田を女性、新野を男性が演じたり、
杉田も新野も女性が演じたり、
杉田も新野も男性が演じたり、

好きの矢印も自由に設定できます。
新野が杉田を好きだと仮定して演じたり、
新野が佐々木を好きだと仮定して演じたり、
新野が佐々木から告白されたことがあると仮定して演じたり、
新野が本田から杉田への恋心を相談されていたと仮定して演じたり、
新野はただ面白がっているだけと仮定して演じたり、

いろんな設定でやってみると、同じ脚本・同じセリフでも全く違うように聞こえるので面白いですよ。

※上演使用につきましてはご相談ください。

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