ビールを飲むと、ほかのお酒のときよりトイレが近くなるのはなぜ?【4/23は地ビールの日】
本日4月23日は、地ビールの日とされています。日本地ビール協会を中心とする「地ビールの日選考委員会」が1999年に制定しました。
なぜ今日なのかというと、歴史的な理由があります。
1516年の4月23日、バイエルン国王ウィルヘルム4世が発布した「ビール純粋令」によって、水、ホップ、大麦・小麦の麦芽、酵母だけがビールの醸造に使用できることとなりなした。
これはつまり、「ビールとは何か」が世界で初めて定義されたといえる出来事です。こうした歴史に基づき、選考委員会が日付を公募した際、4月23日が地ビールの日に選ばれたのです。
本日は、この記念日にちなんでビールのお話をします。
アルコールの利尿作用
ビールを飲むと、誰しもトイレが近くなるでしょう。
お酒にはもともと利尿作用があります。アルコールが体内に入ると、新陳代謝が活発になり、腎臓の血液濾過能力が促進されます。また、脳下垂体で作られる尿の出を抑えるホルモンの分泌も少なくなります。そのために、アルコールを飲むとみなトイレが近くなるのです。
ですが、ここで一歩立ち止まって考えてみてください。
飲むペースにもよりますが、日本酒やウイスキーを飲んでいるときより、ビールを飲んでいるときのほうが、すぐにトイレに行きたくなりませんか?
じつはこのアルコールの利尿作用は、お酒の種類によって異なるのです。ビールを飲むと、ほかのお酒を飲んだときと比べ、頻繁に尿意をもよおします。
ではビールはなぜ、お酒の中でもとくに利尿作用が強いのでしょうか。
ホップの成分が影響
ビールは、大麦を発芽させて糖化したあと、ホップを加え酵母を発酵させてつくられます。
じつはこのホップに、利尿作用の原因があります。ホップに含まれるフムロンとルプロンという化合物が、強い利尿作用を持っているのです。(▼ホップ)
また、量の問題ですが、ビールはほかの酒類に比べて水分量が多いです。大量の水分が体内に入ると、腎臓は余分な水分をどんどん体外に出そうとします。ただこれはサワーなども同じかもしれません。
ほかにも、ビールに含まれるカリウムが、新陳代謝を促進させるように働くことも一因にあります。
この3個の要因によって、ビールはほかの酒類以上にトイレが近い飲み物になっているのです。
森鴎外も研究 しかし…
ビールを飲むとおしっこがしたくなるという事実は昔から知られていました。
古代ギリシャの医学者ヒポクラテスの残した書物には、発疹性の病人の治療のために発芽した大麦の煎じ汁を飲ませて排尿量を増加させる、という方法が記述されています。おしっこをたくさん出させることによって、発疹の原因となる悪いモノを体の外に出そうとしたのでしょう。
また、小説家の森鴎外も、このビールの利尿作用について研究していました。鴎外は医師でもあり、ミュンヘンに留学していました。
その留学中、鴎外は自らを実験台にして「麦酒ノ利尿作用」という論文を書きました。しかし、「実験のやり過ぎで、終いには膀胱炎になった」と書いています。
きっと本場ドイツでビールをガバガバ飲みすぎてしまったんでしょうね……。研究者とは大変なものです。
Ⓒオモシロなんでも雑学編集部
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