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三菱鉛筆は、あの三菱グループとは無関係!【5/2はエンピツ記念日】


本日、5月2日はエンピツの日とされています。
1887(明治20)年のこの日、眞崎仁六という人が新宿に「眞崎鉛筆製造所」(現在の三菱鉛筆)を創立しました。それを記念して、エンピツの日とされています。

ただし、一般的にはこの日に日本初の鉛筆の工場生産が始まった、とされていますが、三菱鉛筆によれば生産が始まった日はわからず、同社ではこのような記念日も制定していません。制定者もわからない、とのことです。

本日はこの「三菱」に関する雑学をご紹介します。

3つの菱形で「三菱鉛筆」

三菱鉛筆は、創業以来鉛筆一筋という、質実剛健な会社です。
代表する鉛筆では「uni」が有名ですね。木の質感が柔らかく、高級鉛筆だということがひと目でわかります。
さすが、天下の三菱財閥といったところ。資金も潤沢なのでしょうね!

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いやいや、お待ちください!
三菱鉛筆は、じつは三菱グループとは何ら関係がないのです!

えっ、三菱って名前なのに!? と驚かれる方も少なくないかもしれません。ですが、この三菱鉛筆という名前は、創業者の眞崎家の家紋からつけられた名前で、決して三菱グループの傘下というわけではないのです。

眞崎家の家紋は、「ミツウロコ」というものでした。その形は、菱形が3個あるもので、そこから3つの菱形➡三つ菱➡三菱となっていったのです。(画像出典:公式HP)

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家紋が社名になった例は、先日ミツカンの記事(下記参照▼)で書きましたが、ここにも同じような例があったのですね。


三菱グループの成り立ち

では、三菱グループの「三菱」とは何が由来なのでしょうか。
鉛筆には関係ありませんが、少し掘り下げてみようと思います。

三菱グループとは、三菱重工業や三菱商事、三菱自動車、三菱電機、三菱UFJ銀行などを有する超巨大企業グループです。
グループ傘下には三菱がつかないながらも日本郵船や明治安田生命、東京海上日動、ニコン、キリンなどの大企業が名を連ねています。
まさにニッポンのコングロマリッド! 就活で三菱グループのどこかに入れればもう人生勝ち確です。

この企業群の創業は、なんと幕末にまでさかのぼります。土佐藩が大阪で経営していた「九十九(つくも)商会」を岩崎弥太郎が買って個人企業としたことが始まりです。

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坂本龍馬と関係の深かったことで有名な人物ですね。(▼龍馬についてはコチラの記事を参照)

その後、社名を三菱商会に変えて、海運などで莫大な利益を上げていきました。
このときに改称した「三菱」には、どんな由来があるのでしょうか?

スリーダイヤの原型は三階菱と三ツ柏

岩崎が社名を三菱商会としたのは、九十九商会の船旗号に三角菱というマークを採用していたからです。これは現在の三菱グループのマークであるスリーダイヤの原型です。

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三角菱の由来は、岩崎家の家紋である「三階菱」と土佐藩主であった山内家の家紋「三ツ柏」に由来しています。これらを組み合わせて三角菱マークをつくって船旗号とし、それを社名にしたのですね。(画像出典:公式HP)

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つまり、三菱グループと三菱鉛筆は、似た(というか、ほぼ同じ)マークなのに全然違う由来をもっていたというわけです。

ちなみに……
三菱鉛筆の創業者である眞崎仁六は、そのマークと「三菱」の商標を1903(明治36)年に商標登録しています。一方、三菱財閥が「三菱」を商標登録したのはその10年後。
じつは鉛筆のほうが早かったのです。が、なぜかほとんど同じ名前、マークのまま、両者が併存して現在に至ります。


参考資料:
『社名・商品名検定 キミの名は』朝日新聞社de編集グループ(朝日新聞社)
三菱鉛筆HP
三菱グループHP

Ⓒオモシロなんでも雑学編集部


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