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種痘の発見者はジェンナーではないってホント?【5/14は種痘記念日】

本日、5月14日は種痘記念日です。
1796年の今日、イギリスの外科医エドワード・ジェンナーが、世界で初めて種痘の接種に成功しました。

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これは世界で初めてのワクチンであり、この成果によっていまも多くの人々が救われています。新型コロナウイルスの流行も、ワクチンが接種できるようになれば、潮目が変わってくるかもしれませんね。

今日はこの種痘にまつわる雑学をご紹介します。

種痘発見の経緯

この種痘が出る前は、人間は伝染病でころっと死んでしまっていました。とくに天然痘はもっとも恐ろしく、ひとたび発症すれば、高熱が出て苦しみ、さらに全身に化膿性の発疹ができてしまいます。たいていの人はそのまま帰らぬ人となりましたが、運良く治った人も発疹の跡がぼつぼつ残ったあばた面で暮らさねばなりませんでした。

この天然痘、恐ろしい病気ですが、一度天然痘にかかって治った人は、二度とかからないことが当時から知られていました。また、乳絞りの女性から牛痘にかかれば、天然痘にはかからないとも言われていました。
そこでジェンナーは、牛痘にかかった乳絞りの女性サラ・ネルムズの手の水疱からとった膿を、近所に住んでいた8歳のフィップスという男の子の腕に接種しました。
するとフィリップスは10日後に天然痘の症状を発症してしまいます。しかし、すぐに治っていき、その後は天然痘を接種しても感染しませんでした

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残念ながらこの実験は当時の学会では認められませんでしたが、ジェンナーは貧しい人たちに無料で種痘の接種を行い、次第に認められるようになります。その結果、天然痘の犠牲者は劇的に減少していき、ワクチンという概念が生まれていきます。
いま、新型コロナウイルスでワクチンが話題になっていますが、このジェンナーが生みの親だったというわけですね。

ジェンナー以前からもあった?

免疫治療を世界で初めて実施したジェンナーですが、じつはもっと前から行われていたという説があります。

それは、ジェンナーが発見するより前の1715年の論文にすでに書かれているのです。

イギリスのケネディ医師が書いた論文『外用医療についての小論』によると、トルコのコンスタンティノープルでは、患者の手首や足、額などに傷をつけて、そこに新しく弱い痘創を植え付ける治療法があったと書かれています。

これは、明らかにジェンナーが行ったものと同じ、天然痘を用いて免疫を上げる方法です。
この論文を信じるのであれば、当時のトルコ、いわゆるイスラム世界では免疫治療がすでに確立されていたということになります。免疫治療の原点はジェンナー以前にあったのです。

それでも一般的にはジェンナーが種痘の発見者ということになっていますが……。信じるか信じないかはあなた次第です!


参考文献:
『世界の偉人おもしろ雑学』博学面白倶楽部(三笠書房)

Ⓒオモシロなんでも雑学編集部

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