20180603_銀行預金はお金を減らす

銀行預金はお金を減らす

 あなたは給料日に預金通帳を見てほほ笑むという生活を送ってはいないだろうか?短期的には数字が増えて嬉しいと感じるのも無理はないだろう。しかし、長期的に見れば預金通帳に書いてあるお金は減っていくのである。そう、「銀行預金は目減りする」のである。

1. 銀行預金はどの程度増える

 最初に現在の日本で銀行にお金を預けているとどの程度資産が増加していくのかを見ていく。例として最大手三菱UFJ銀行を取り上げる。

<三菱UFJ銀行 円預金金利>
・普通預金 :0.001% ※10万円未満でも1,000万円以上でも同一
・定期預金 :0.01% ※1か月でも10年でも同一
(参考:三菱UFJ銀行HP

 上記の金利で考えると、仮に100万円を預金していた場合、1年後増えている金額は以下のようになる。

・普通預金:10円
・定期預金:100円

 100万円は決して大きい金額ではないが、それにしても金利で増えるお金が10円とはいささか寂しい。銀行にお金を入れておけば金利で勝手に資産が増えていくという時代はとうの昔に終わっている。貯金信仰は国が作り出したまやかしということを早く気付くべきである。
 さらに言えば、100万円の貯金をし、金利がついたとしてもATM手数料で1度でも108円を支払えば赤字状態である。なんのための貯金なのか本質に向き合うべきである。

2. 日本のインフレ率

 次に日本のインフレ率を見ていく。つまり物価が1年間でどの程度上昇するかということである。インフレ率の推移は以下の通り。

・2018年:1.12% ※IMFによる2018年4月時点の推計
(参考:世界経済のネタ帳

 今後5年間の見通しは、2019年:1.10%→2020年:1.66%→2021年:1.05%→2022年:1.21%→2023年:1.33%とされている。注目したいのはインフレ率は、銀行の金利を上回っているということである。
 仮に今年100万円で売っている商品があったとすると、その商品は2018年のインフレ率で考えても、来年には約111万円になる計算になる。実際はこのように単純ではない部分もあるが、伝えたい点である、インフレ率が金利を上回るという点に変わりはない。

3. 結論

 以上のように、銀行預金が目減りするというのはもちろん数字が減っていくという意味ではない(手数料多く支払ったら話は別だが)。預金されているお金の価値よりも世の中の物価が早いスピードで上がっていくということである。今日使う100円と10年後使う100円は価値が違うのである。昭和の時代と現在の通貨価値が違うというのは誰もが無意識に認識している点であるが、現在そしてこれからも理論としては同じである。
 私は、銀行には平素使用する生活資金+急遽のイベントに対応できる程度の資金のみを入れておき、残りは投資に回すべきと考えている。短期的、長期的など場面によって選択する手法は異なるが、保険の積立などかなり安定的に資産が増加する投資先はあるものだ。

4. 最後に・・・

 インフレ率の話をしたので補足ということで日銀の取り組みを説明する。現在日銀は日本経済の成長のためインフレ状態を目指そうとマイナス金利の政策取っている。マイナス金利にすることで市中の通貨供給量を増やし、企業がお金を借りやすくすることで、投資に踏み切りやすくなったりと、紙幣の流動性が上がることが期待される。この取り組みで日銀はインフレ率前年対比2%アップを実現しようとしている。
 では、なぜ2%なのか、日銀のHPを参考に記載する。

①消費者物価指数には、指数の上昇が高めになる傾向があるため。
 ※消費者物価指数:消費者が購入する生活用品の価格変動を示す指数
②景気が大きく悪化した場合にも金融政策の対応力を維持するために、ある程度の物価上昇率を確保しておく方が良いという、「のりしろ」と呼ばれる考え。
③主要国の中央銀行の間では広く共有されており、多くの中央銀行が「2%」の物価上昇率を目標とする政策運営を行っているため。

 以上、最後まで読んでくれてありがとう。巷では人件費の上昇が騒がれているにも関わらず、小売店での商品の売り価格はなかなか上がらないのが現状。景気は上向きにも関わらず、実態は企業の内部留保が増えている一方で、国民は好景気を肌で感じられず、財布の紐は固いまま。この状態では当然商品販売価格を上げることは企業にとって悪手となる。私は、物価、賃金などが適正に上昇し、ひずみが無くなることを望んでいる。


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