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世界史を勉強する意味がわかったのは、自分が拒絶された時だった

世界史が苦手だった

若かりし高校生の時、世界史が苦手でした。ついでに言うと英語も苦手でした(この話はまたの機会に)この二科目が高校では壊滅的だったのですが、数学が得意だったため、成績悪いことはバレずに済んだのでした。

今になって、東南アジア史の本を色々読むようになって、「あ、そういえば高校生のとき私は世界史嫌いだったな、何でだったのかな」と考えるようになりました。

私が最近読んでいる本は、まずはカンボジア近世史。この本はめちゃくちゃボリュームが大きく、現存する(アンコール時代を除いた)カンボジアの歴史の書籍では一番詳しいものだそうです。クメールルージュの時代にほとんどの書物が焼かれてしまった中で、フランスで保存されていた資料を基に、カンボジア研究者がまとめた貴重な本です。

先日タイで読み終わったのは、「物語 タイの歴史」でした。

また、「物語 ヴェトナムの歴史」は10年前にベトナムで一度読んだ本ですが、また読み返して新たな発見があります。

カンボジアでの苦い経験

ベトナムからカンボジアに引っ越し、数ヶ月経った頃、カンボジアでのベトナムのイメージがこんなにも悪かったのかと衝撃を受けました。旅行でカンボジアにちょっと訪れた時には気付かなかったことです。

カンボジア・プノンペン

私が第二の故郷と思っていたサイゴンはことごとく否定され、カフェでベトナム語を勉強するとベトナム語が聞こえるだけで気持ち悪くなると言われ、プノンペンで最初に働いた会社では外国人とはいえ「ベトナムから来ました」と言ったことでコミュニティに受け入れられなかった苦い経験があります。

ベトナム・ホーチミン(サイゴン)

あの時は、楽観的すぎて隣国同士の関係を知らず、むしろ「ベトナムがクメールルージュを終わらせた」と思っていました。

バスで6時間の都市で「街のシステムも、食事も、雰囲気も似ているから大丈夫でしょ、プノンペンは英語も通じるし」、と始まった生活は、意外なところで挫かれ、頭の中で疑問が増えていきました。

そこで、カンボジア人にはベトナムの話は言わないと決めて、私の中で一旦ベトナムの思い出は封印し、新たに「ベトナムとは関係ないカンボジア像」を一から作り直し、クメール語を勉強することにしたのです。

円滑な人間関係のための世界史

この頃、コロナ前だったため街に外国人が多く、長男のクラスメイトは11か国と多国籍でした。多くが東アジア・東南アジアの生徒だったため、また直接クラスまで子供を迎えに行くシステムだったため、主にアジア出身の様々な保護者と話す機会があったのでした。以上はその時のブログ記事です。

保護者同士、子供同士の無駄な諍いをなくすために、ざっとアジア近代史をおさらいしました。それが、ベトナムとカンボジアの長い争いを知るきっかけでもありました。

アンコールトムに行くと、バイヨン遺跡にベトナム(チャンパ)とカンボジア(クメール)の戦いの巨大なレリーフがあります。

トンレサップ湖でのベトナムとカンボジアの争いが描かれたレリーフ(1200年頃)

遺跡になってしまうくらい昔から争っているのです。第三国の者が入り込めるような関係ではありません。

こういったことを書籍や博物館などで知り、カンボジアとベトナムを切り離して生活することに慣れていきました。

すると、不思議なことに少しずつですが、カンボジア人の知人に「あなたベトナム住んでいたの?実は私のお母さんがベトナム人なの」と言われることがあったり、下記のようなニュースを見かけたりしました。

カンボジアの大学で最高峰である王立プノンペン大学に、ベトナム語学科ができるというニュースです。私がベトナム語を学んだ人文大学と協定を結んだそうです。涙が出そうになりました。

ここがカンボジアとベトナムのプラスの関係の単なる出発点であることは分かります。

とはいえ、思い出すことがあるのです。

私が学生時代、25年くらい前、まだ韓ドラ・K-Popが流行る前に韓国語を習いました。6ヶ国語の選択肢の中では韓国語が一番人気がなく、中級クラスは先生1人に学生2人しかいませんでした。
当時の先生は、韓国の大学で日本語学科の一期生として、多くの反対にも関わらず日本語を学んだ韓国出身の先生でした。

現在その先生は日本での韓国語教育のパイオニアとなっています。

先生が日本語を勉強し始めた時、そして、先生とほぼマンツーマンだった韓国語の授業の時でさえ考えられなかった未来になったこと(まさかの韓国文化の流行や、個人的交流の増加)を思うと、カンボジアとベトナムの関係も少しずつ良くなるかもしれない、と楽観的に考えられるようになりました。


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