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肉塊の転生者7【短編小説】サクッとショートショート!

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そこで私は、舌を右手だと思って動かしてみた。

するとどうだろう。

私が右手を上げようと考えてば舌は上に上がり、下に下げようと考えれば下に下る。

まるで私の右手が、口の奥から生えているような不思議な感覚を感じた。

しかしここでまた一つの問題が起きた。

まるでイカやタコの足のように、長く伸びた舌を手のように動かそうとしても、細かな動きまではできなかった。

舌を動かそうと思ったときよりは、自由に動かすことができるのだが、手を動かすイメージと長く伸びた舌のイメージが合致できず、細かな動きができない。

更に力が入らないのか、美味しそうな物体を自分の近くに手繰り寄せるまでの力がでない。

それでも私は諦めず、何度も何度も美味しそうな物体を自分の近くへと手繰り寄せる行動をとった。

何百回と舌を扱っているうちに、右手とは違った感覚に目覚めたきた。

それは実に不思議な感覚だった。

まるで自分の右腕の関節が幾つもあるかのように、舌を動かせるようになっていた。

さらに通常の人間の関節は、一方向にしか曲がらないが、右手の関節が様々な角度に曲るように舌を動かせる。

最初はこの不思議な感覚に戸惑っていたが、更に何百回と舌を動かしているうちに舌を右手と思い動かすのではなく、舌が第三の手のような感じに思えてきた。

その第三の手は舌のように、細かな動きも自在に出来るようになった。

私の舌は、舌ではあるが長く自在に動く、第三の手になったのだ。

そして私は美味しそうな物体の構造を舌で再確認してみた。

最初に確認したときは、だいたい丸く私のような肉塊だと思っていたが、今の舌で確認していると私の理解は間違っていた。

目の前にある美味しそうな物体を、舌を使い細部まで確認してみる。


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