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マリーについて

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記事一覧

「マリーについて」エピローグ<完>

「マリーについて」エピローグ<完>

 喫茶店をあとにした俺は、自宅に戻る気にもなれず、あてもなくふらふらと河川敷を歩いた。そうしているうちにいつの間にか時間は過ぎて、気づいた頃には西の空が赤く染まり、夜を迎える準備をしている。ああ、俺はいつの間にこんなにセンチメンタルな男になったんだ。自分を客観的に見て苦笑する。 

 マリーを探し始めたのは、年が明けたあとのこと。初めはすぐに戻ってくるだろうと思っていたのだが、数日経ってもまった

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「マリーについて」第3話

「マリーについて」第3話

「……ありがとうございました」

 テーブルの上に置かれたマリーの写真集を見つめたあと、四郎は静かに席を立った。

「え、もう行くの?」
「はい。……もしマリーを見かけたら、連絡ください」
「ちょ、ちょっと、待ってよ!」

 そのまま足早に立ち去ろうとするので、美鈴は慌てて四郎を呼びとめた。まだ何も聞いていない。突然目の前に現れた、マリーを知っているこの男のことを。

「あなたにとってのマ

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「マリーについて」第2話

「マリーについて」第2話

「そっかぁ……結局、登坂くんのところからもいなくなっちゃったんだ……」

 健人の話を聞き終えた美鈴は、さみしげに肩を落とした。四郎は考え込むように、テーブルの一点を見つめて黙り込んでいる。

「結局、マリーのことはあんまり知れなかったんですけどね。涙の意味も、笑顔の理由も。どうして俺の前からいなくなっちゃったのかも、まだよく分からないし……」

 健人は悲しみを紛らわせるようにむりやり笑顔

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「マリーについて」第1話

「マリーについて」第1話

わがまま猫のマリー 桜が咲いていたから、たぶん四月の初め頃だったと思う。

 大学のキャンパスには初々しい新入生が大勢いてさ、そいつらを勧誘しようとサークルのビラ配りをするやつらもうじゃうじゃいた。そんな中俺は、キャンパスの片隅でひっそりと、ギターを片手に歌ってたんだ。

 まぁ、春の風物詩、みたいな感じかな。ほら、大学ってそんなもんでしょ。ダンスしてるやつらがいたり、こたつで鍋してるやつらがいた

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「マリーについて」プロローグ

「マリーについて」プロローグ

あらすじ

登坂健人・園原美鈴・橘四郎の三人は、喫茶店で「マリー」という少女について語っていた。しかし、それぞれの知るマリーは別人のように印象が違う。健人の知るマリーは「わがまま」。美鈴の知るマリーは「しっかり者」。そして四郎の知るマリーは「さみしがり屋」。 一体どれが本当のマリーなのか――

プロローグ

 マリーについて知っているすべてのこと。

     *

『わがまま?』

 登坂健人の

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