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二週に1回、半分、半分

こんにちは、はじめまして、ななるです。

我が家は、月に数日、時には月単位で、物理的に成長する盛りのティーンエイジャーがふたり、民族移動してきます。相方とふたり暮らすには十分な面積の住居も、設備も、人口密度が倍になると堪りません。事務所代わりに使っている部屋が子ども部屋になり、風呂場が事務所に転じます。

共同親権をご存じでしょうか。

日本は、未成年の子を持つ両親が離婚した場合、どちらが子の権利・財産などを保護(広い異議で監護)するかを示談(合意)で、あるいは調停・審判で決める単独親権制です。対して、フランスは、離婚しても両方の親が子を監護する権利を持つ『共同親権』制。共同親権のもとでは、未成年の子どもの学校や教育、健康などなど、子どもにまつわる義務が折半されます。いわゆる養育の義務です。また子どもに対する権利も、折半されます。同時に、子どもの権利・義務も保持されます。

では、具体的にどうなるのか?

子どもは、どちらかの親と暮らします。

多くの家庭は、母親が引き取って週の間は一緒に暮らし、父親が月ぎめの養育費を支払います。車の免許を取ったり、歯科矯正をしたり、「想定外に発生する費用」は、日常一緒に暮らす側から、後々請求されたりします。学校が始まる時期には、普段一緒に暮らしていない親も、説明会に参加したり、必要な書面にサインをしたりもします。

同時に、権利も発生します。子どもを手元に置く権利です。

月に4回ある週末のうち2回、年に何度かある学期の合間のお休みと夏休みのそれぞれ半分を、子どもと一緒に過ごす権利です。自由に話をする権利もあるので、好きな時に子どもに会いに行ったり、電話をしたりします。他方は、基本、この権利を阻めません。子どもに関する事柄は、基本、すべて共有されるため、離婚した後も、頻繁にメールしたり、テキストメッセージを交わしたり、電話で話したり、顔を合わせたり・・・。どちらかが、あるいはどちらもが、再婚しようと引っ越そうと、子どもたちが成人とされる年齢を満たすまで、この状況は変わりません。

つまり、親同士の関係にもよりますが、毎日一緒に暮らしていないだけで「家族」は「家族」のまま残ります。子どもたちの後ろには、いつも母親がいます。干渉する傾向の強い女性だと、干渉も多いです。時には自分の不機嫌も練り込んで、ひとまとめに投げつけられたりもします。子どもとは何の関係ないよね?と思う爆弾が落ちてきたり、自分の心の不安定さが過去の出来事と結びつき、地雷が連続爆発したりと、なかなか驚きます。

線引きができる男性であればよいのでしょうが、女性には優しくと育つこちらの男性は、往々にしてまともに受け止め、振り回されたり、不機嫌を駄々洩れさせたりしています。男性側も口を出すようですが、周囲にいる男性陣は、逆に論破されて撃沈し、ぐちぐちとクダを巻いています。

フランス人の感情表現に、ストレートさには頻繁に驚かされますが、思うに、男性も、女性も、その時々の感情を言語化し、瞬間に湯を沸かしても、その時々に解消できているわけではないのかもしれない。

抑え込むのも面倒だけれど、感情を都度上下に大降りしているのに結局発散していないのも、同じくらい面倒くさいと感じます。

フランス人は、批判的で皮肉屋だといいます。歴史的に考えても、特に北部は天候を考えても、この国独特だなあと思います。Made in France, Made with Love.と堂々と云えちゃう国だけあって、フランスはAmourなしでは物事が進みません。離婚しても、何が起きても、Amourに先んじるものはないのが、どうやら彼らの生態らしいのですが・・・。次の『Amour(愛)』を探す前に、とにかく、まず身辺と自分自身を整理して!!(笑)

日本でも、共同親権の議論が起きているこの頃。子どもの権利に関する議論が背景にあるようですが、まず大人が人間関係と自分自身の整理をしないと、延々に面倒臭い状態が続くだけでないかなあと想像します。

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