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お洒落について考える

昔からファッション雑誌が大好きで、それはファッションというよりも様々な文化的情報がファッション的に編集された雑誌という媒体と、文字を読むことが大好きだったから。学生の頃はメンズファッション誌もレディースファッション誌も全てに目を通していました。ほとんど立ち読みばっかりだったのだけど、自分で買って集めていたのはSTREETという海外のファッションショー会場などで撮影されたスナップだけを集めた雑誌と、マガジンハウスがかっこよくてGINZA、ポパイ、ブルータス、あとは装苑、それに当時資生堂が出していた花椿のリューアルされる前のバージョン。いろいろな特集の中でもとくに海外スナップ特集では見たことのないお洋服の組み合わせにとても刺激を受けたものです。私が学生の頃はサルトリアリストというファッションスナップブロガーが全盛期で彼の出した写真集には今でも参考になるスタイルがたくさん載っています。



いつか雑誌を作る人になりたいと思っていたけれど大学を休学したり中退したりでなかなか夢の出版社勤務!には近づきませんでした。


それでも渡仏前には大阪の編集プロダクションでアルバイトとして拾ってもらえることに。ファッション業界ではなくて、地元の情報媒体やフリーペーパー、観光案内誌のお仕事が中心でしたが、取材の仕方や写真撮影、記事の書き方を教えてもらうことができました。

アルバイトが面白かったから、フランスへ来る時にもぼんやり何か書いたり写真撮ることに関わりたいなあと思っていたら、運良くファッション雑誌の取材コーディネーターをしている方と知り合って、パリのストリートスナップ撮影の仕事をさせていただけることになりました。雑誌が廃刊になって連載は長く続きませんでしたが、そこからご縁がつながって憧れのマガジンハウスとお仕事させてもらったり、ファッションウィークのストリートスナップのお仕事をいくつかさせてもらうことに。思っていた形とは異なりますが、子どもの頃の夢を叶えることができました。


パリやロンドンのファッションウィークを回って会場の前でおしゃれな人の写真を撮る。あのサルトリアリストもいる。STREETのカメラマンもいる。めちゃくちゃかっこいい決定的瞬間をとらえるWWDのカメラマンKuba Dabrowskiもいる。そんなカメラマンたちが誰のどんな瞬間を撮影するのか間近で観察ができたことは、とても良い経験です。



スタイルをつくるものとは?


ファッションウィークを巡った後は、自分の撮った写真を見返して、果たしてどんな人がお洒落なのか、考えます。お洒落とはスタイルがあること。ではスタイルとは?

素敵と思って写真に撮ったけれど、服装ではなくて顔がかわいいだけだったり、派手なだけだったり、実際本当にスタイルがあってお洒落だと感じる人は多くありません。


ファッションウィークの招待客たちの服装を見ていると、数ヶ月後に流行る着こなしの人たちがいる。流行がつくられて行く様子を目の前で目撃できる。でも流行を追っている人よりも、独自の"スタイル"がある人に興味があります。イヴ・サン・ローランが言っていた、流行は廃れるけれどスタイルは廃れない、とはまさにその通り。


高い服とか派手な服とか分かりやすくブランドのロゴが入った服とか流行りの服は耳目を集めますが、空っぽなことも多いもの。
スタイルを作る要素とは一体なんだろう?と観察していて気づいた、ファッションで1番大切なもの。それはズバリ、"サイズ感"です!


スタイルのある人、着こなしの上手い人はサイズ選びが上手い。自分の体型を引き立てるサイズ感を知っていることは最重要高等技術です。服と自分、服と服のバランスが良くないと、どれだけ良い服を着ていてもトンマになってしまいます。上手いサイズ感というのは自分の身体にぴったりなサイズでもあれば、例えばオーバーサイズなパンツでもタックインとハイウエストでスッキリ見せたり、逆に腰に落として履いてオーバーサイズ強調したり。ベルトを締める位置だけで雰囲気がガラリと変わりますし、シャツでもボタンを何個開けるかとか、袖の捲り方ひとつでサイズ感が変わる。誰もが一本は持っているであろうジーパンは特にセンスが如実に現れるもので、色や柄やデザインはもちろんですが、カッティングや丈などサイズ感にセンスの良し悪しを感します。

サイズ感という土台のテクニックがしっかりとしていれば、思いがけないアイテムを組み合わせても意外にしっかりくるものだし、そういうところにスタイルが醸し出されて行くのではないかと思います。


あとは素材と色と姿勢!どんな服を着るかも大事だけど、堂々としている人や、姿勢の良い人はそれだけでカッコいいです。ここ、私も気をつけないとなあ。


パリコレモデルでスタイリング比べ

プロのモデルなら、どんな服装でも似合うもの!と思っていましたが、そんなこともありません。仕立ての悪い服や似合わないスタイリングだと、せっかくの素晴らしいモデルも本領を発揮することができません。同じモデルでもスタイリングでどれだけ印象が変わるか、比べてみました。


例えば売れっ子モデルのSara Grace Wallerstedt。


Christian Dior resort collection 2022では、

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痩せすぎとも言える抜群のスタイル。

だけどChanel resort collection 2022では、

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非常にぼってりとした印象に驚きます。髪型がさらに全体のスタイリングを重たくしているのでしょう。


街中で彼女の広告を見ない日はないSteinberg。


Christian Dior resort collection 2022のショーでは

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ボリューミーなワンピースだけど軽い仕上がり。

Luis Vuitton resort collection 2022では、

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メリハリのあるスタイリングが映える。

ところがChanel resort collection 2022では、

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ずっしりとした印象になってしまいます。

※写真は全てVogue Runwayより

どの写真もresort collection 2022のランウェイから選んだので、撮影時期は同じ頃です。スタイリングによってこれほどまでに体型の印象が変わるということは、ダイエットや筋トレをせずとも、まずは自分に似合うバランスを見つければ、それだけで印象が変わるということでは。


好きなスタイル

最後に、自分のスタイルとは異なりますが、実際にファッションウィークで写真を撮らせてもらって素敵だなと思ったストリートスナップをご紹介。

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全裸で毎日過ごしている人でなければ、服とは毎日自分で選んで自分を飾るもの。1番身近な自己表現手段の一つです。そこを無意識に疎かにしてしまうのは、もったいない。自分に似合うな!という服を着ているときは、それだけで楽しくなるし、自信が湧いてくるもの。まずはトライandエラー!最近スウェットばっかり着ていて、ファッションについて考えることもありませんでした。今自分を戒めるためにもこの記事を書いています。これを機会に改めて自分のスタイルを構築していきたいです。


さて、今日は何を着ようかな!



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