第8話〜IoT開発キット「obniz」で「IoT扇風機」づくり!〜
遠隔で扇風機を操作できたら......
我が家の猫のけだまさんは、扇風機(サーキュレーター)の前で、胸毛を揺らしながら恍惚とした表情をしているときがあります。風が好きなのか、単に暑かったのか…...?
胸毛を揺らす様子がとても可愛いので、ネットワークカメラを利用して、外出先からもこの様子を見られたらと思いました。そのためには、外出先から扇風機を操作する必要がありますが、IoTが流行っている昨今でも、「IoT扇風機」なるものは聞いたことがありません。
「SwitchBot」など、家電のボタンを押すためのロボットや、コンセントからの給電を制御できる「スマートプラグ」を利用すれば、外出先から扇風機のオンオフは可能ですが、風量の強弱までは制御できません。
そこで今回は、IoT開発キットの「obniz(オブナイズ)」を使って、外出先からの扇風機のオンオフと風量制御に挑戦しました。
簡単にIoTプログラミングができる「obniz」
obnizは、マイコン「ESP32」を搭載し、初心者でも簡単にJavaScriptでコーディングができる開発ボードです。
IoTのプロトタイプ制作には「Arduino(アルドゥイーノ)」と「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」の2つが有名なので、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。一方のESP32は、Wi-FiやBluetoothを搭載しながらも小型で安価であるという特徴から、近年IoT開発の現場で注目を集めています。
obnizへのプログラムの書き込み方法は、びっくりしてしまう簡単さで、ここがobnizを気に入った理由でもありました。
一般的なデバイスだと、プログラムをコンパイルして、コンパイルしたファイルをマイコンに書き込むという操作が主流で、この手順が面倒だったり初心者がつまずくところなんです。
一方、obnizの場合は、ブラウザでオンラインエディタを使いコードを書いたら、obnizの個体番号を指定して呼び出すだけで、obnizを動かすことができるのです!(obnizはWi-Fiにつなぐ必要があります)
充実のサンプルコード、コピペで実装可能
obnizのサイト上には、初心者でもそのまま使えるサンプルプログラムが充実しています。
obnizを入手したら、まずは、ハードウェアプログラミングのはじめの一歩「Lチカ(「LEDをチカチカと光らせる」の略)」をやってみましょう。
参照サンプルコードはこちらです。
obniz.io
プログラミングもコピペから始められる手軽さですが、ハードウェアにも工夫があります。obnizは12個のピンが使えて、プログラム上でどのピンを使うか指定しobnizに実装すると、挿すべきピンの場所をディスプレイ上に表示してくれるので、配線をミスしてしまうことがありません。
リモート扇風機を作ってみよう!
さて、扇風機の遠隔操作に挑戦です。今回は、USB給電式の扇風機を使おうと考えました。obnizから適当なワイヤーを介しコネクタ基板と繋げ、さらにUSB扇風機を繋いだ、至ってシンプルなハードウェア構成です。
obnizとUSBをつなげるためのコネクタ基板が必要となるため、オンラインで注文しました。USBコネクタ基板とワイヤーの間はハンダ付けの必要がありますが、まずは仮留めをして、動くのを確認してからハンダ付けして固定するのが失敗しないコツです。
プログラムは、今回はobnizのサイト上にある、DCモーターのサンプルを参考にしました。
obniz.io
power(float)という部分がモーターのパワー(扇風機なら風量)を制御する部分で、float値を0から100まで変えることで、風量を0から最大値まで制御することができます。
扇風機がインターネット経由で動いた!
無事にオンラインから扇風機を動かすことに成功しました! obnizは、パソコンからだけでなくスマホからでもプログラムを書いたりコマンドを送ったりできるため、obnizがWi-Fiに繋がってさえいれば、外出先からでも同じ方法で扇風機を制御できるのです。
作ってみて思いついたのですが、このリモート扇風機は、けだまさんの胸毛を揺らす以外にも、例えば会社などで、暑そうな誰かのためリモートで扇風機をつけてあげたりする使い方もできそうです!(相手はびっくりしそうですが)
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