見出し画像

SNSの誰かの言葉を鵜呑みにして、無理していませんか?

今回は『SNSで誰かの発信を見た時に注意すること』についてです。

昨日、こんなツイートをしました。


ビジネス系YouTuber。経営者、有名企業の役員、外資系管理職など、ツイッタラーの顔を持つエリート。ビジネス系ブロガー。月収7桁超えのアフィリエイター。


インターネットにはいろいろな情報発信者がいます。

そして、その"成功者"に憧れて情報を取りに行っている人たちも多く見られます。その人たちに近付こうと、真似をしている人たちも。


ポジティブさを売りにしている経営者に憧れている人は、発信内容も超がつくほどポジティブに。

外資系企業のエリートに憧れている人たちは、専門用語も散りばめて同族であるアピールを。

ベンチャー企業の経営者に憧れている学生は、とにかく行動あるのみとばかりに若さを武器にした行動力で力押し。


『守破離』という言葉があるように、まず型に忠実に鍛錬をする。つまり、「先を行く人の真似をする」ことが成功の法則として様々な場所で語られています。

「成功する人の多くは素直な人。素直な人は聞いてすぐ実践する」という話もよく耳にします。

これは本質としてはひとつの正しい形なのだと思います。


・・・が、「この人、発信者の言葉をそのまま鵜呑みにしてしまっているなぁ」と感じる瞬間が、TwitterをはじめとするSNSを眺めているとよくあります。


『フォロワー数の多い人の発信を見ている時のあるある』なんですが、発言を見た熱心なファンがすぐさま「即行動ですね!すぐ実践していきます!」みたいに盲信している様子をたびたび目にします。

特に、強気に言い切るタイプの発信者であるほどこの傾向はよく見られます。


でもちょっと待ってください。


あなたにその人と同じように行動できるだけの体力も、精神力も、環境も、能力もありますか?

その行動を後押ししてくれるだけの土壌がその環境にはありますか?


それはその発信者だからたまたまうまくいっただけの結果論(経験則)かもしれないし、それを可能にした諸々の要素のおかげに過ぎなかった、という可能性もままあります。


言葉をそのまま鵜呑みにするのではなく、その語られている結果を可能にしただけの要素と背景に目を向けた上で慎重に判断する必要があります。その段階を飛ばしてしまうと、うまくいかずに自滅して終わる可能性が高いです。


成功ノウハウの裏には、それを可能にした要素が隠されている。


成功体験談ひとつ取っても、その成功を実現させたいろいろな要素が言葉に出ていないところに絡んでいます。


家族やパートナーが理解のある人で、メンタルを強く保てていたのかもしれない。

職場に理解者がいたのかもしれない。

時代背景もあったのかもしれない。

もともと体力と精神力に自信のある人だったのかもしれない。

その成功は先行者利益なだけかもしれない。

単純に運がよかったのかもしれない。


環境も、能力も、これまで生きてきた中で辿ってきた経験も、なにもかも違う私たち自身が、その成功体験談を全く同じように再現できるかというと、決してそんなことはないわけです。


私自身も、ブログをやっていた頃に、成功しているアフィリエイターの方々の発信を追いかけていた時期があって、


「とにかくサイトを量産しろ」

「とにかく手を動かせ」

「稼いでいる人は寝る間も惜しんでやってる」

「短時間熟睡法で時間を作りましょう」


といった言葉をそのまま鵜呑みにしていたことがあります。


では、私は同じようにできたかというと・・・無理でした。


私は当時、病気の急性期にいたので体力はガクンと落ちていましたし、無理なんて到底できませんでした。

にも関わらず、私とは全く違う状況にいる人たちの発言を真に受けてしまいました。私と全く状態で、全く同じ体力で、それでもここまでの成果を上げているんだと勝手に思い込んでしまっていた。


先が見えない絶望的な状況から早く抜け出したい一心で、とにかく行動あるのみだと、自分の体力も、適性も、全部無視して体に鞭を打ち続けました。


その結果、待っていたのは・・・病状の悪化。

何日も寝込んでしまっただけでなく、「私はなんてできない人間なんだ・・・他の人はこの瞬間も成果を上げているのに・・・」と、さらに自己嫌悪に陥って、私の体も心も痛めつけてしまいました。


あとから気が付いたのは、その人たちはそれぞれ、私よりも遙かに若い人もいれば、短時間睡眠でも大丈夫なショートスリーパーな人もいましたし、さらに体力に自信があって次々と行動に起こすことができる人だった・・・ということです。


その圧倒的な行動量と、鋼のメンタルを実現させられるだけの状態も、能力も、環境も、その人たちにはあったのです。私にはそれがなかった。


結局、その人たちだったからその方法でうまくいった、というだけのこと。

私は、私の身の丈にあった方法で取り組む必要がある。


このことに気が付けるまでに、数年かかりました。

それだけ、盲信することは恐ろしいことなんです。


誰かが「楽しめ」といっても、それを可能にさせる要素がなければ難しい


もうひとつの例えで言うと、私が前にnoteでも書いた「楽しい」「楽しむ」論もそうです。


「仕事は楽しまないと」と言って『楽しむの強要』をしてくる人がいます。

でもひと言で「楽しむ」といっても、『なに』を『どう』楽しむのかがぼやけているし、相手のその発言が成り立つだけの諸々の要素が言葉の裏に隠れています。


仕事の内容が自分に合っているものだった。

仕事がもともとやりたいことで、努力してるとすら思わないことだった。

職場・部署の人間関係が良くて、楽しいと思える環境にいた。

家族・パートナーからも理解を得られて、心置きなく取り組めた。


その人自身が工夫をしたから、というだけではないはずなんですよね。


この特徴を全部ひっくり返したような環境にいる人が、全く同じようにできるでしょうか?


無理です。


なにをやっても責められる。聞いても「いちいち聞いてんじゃねーよ」と説教されて成す術がない。家族とも仲が悪くて言えない。でも生活のためには働かなくてはいけない。


こういう状況にいて、踏みとどまるので精いっぱいの人が同じようにできるわけがない。私もできませんでした。そこに「楽しまないと」なんて『楽しむの強要』をしようものなら、その一言がトドメになることだってあります。


同じような環境にいて、同じようなポテンシャルを持っていて、周りからのサポートを受けられる人なら、結果論で似たような本質に辿り着くことはあるかもしれません。


それでも、たまたまその人だったからできたことである可能性も高いので、盲信して全く同じように実践しようとするのは危険です。経験者として、私はそう警告したい。


この当時の私自身の苦い経験が、今こうして冷静な視点を保つのに役に立っているのかもしれません。


言葉そのものを真に受けない。言葉に出ていない要素に目を向けてみよう。


言葉を真に受けないようにしましょう。

言葉の持つ意味と、言葉の裏に隠された様々な要素に目を向けてみてください。


「とにかく行動あるのみ」

「仕事は楽しめ」

「ピンチはチャンス」

「常に笑顔でいろ」

「ポジティブでいろ」


もうこのポジティブの強要の典型を書いてるだけで頭痛くなってくるけど・・・


「恐れずにバンバン行動しろ」と一言で言っても、その発信者は家庭を持っていて、理解のある職場に恵まれていて、今まで健康に生きられていて、なおかつ体力に自信があって、そのおかげで実現できているだけかもしれません。


それを、一度体を壊して無理がきかなくなって、家庭からの理解も得られず、人間関係も劣悪な職場にいる人が全く同じようにやろうとしても、無理がかかって自滅します。


ある人から「ちゃんと意見は言え」と言われたとしても、その発信者の環境は、個人の意見を受け入れられるだけの土壌があるから言えることかもしれないわけです。

これを凝り固まったワンマン体質の日本企業でやってみたとしても、イヤな顔をされるか、周りのイエスマンから「お前身の程わきまえろよ」と封殺されるのが関の山でしょう。


エネルギーレベルも、環境も、能力も、なにもかも違うのに、同じようにやろうと無理をして体を壊しても、その人は責任を取ってくれません。

もう一度言います。たまたまその人だったからできた可能性も大いにあるし、ただの結果論でしかないかもしれません。うまくいかなかったらその発言をしていなかった可能性もあります。


もし同じような状況でないのにその通りにできなかったとしても、あなた自身を責める必要は全くありませんからね。


もちろん、私の発言も100%正しいわけではありません。他の人にとってはそうならなかった、そうではなかった、となる可能性も当然あります。いいんですよ、それで。人それぞれ違うんですからね。


たとえその発信者が、SNS上で千単位、万単位のフォロワーがついている人であろうと。

あなたが注目している人であろうと。


言葉そのものを盲信するのではなく、その言葉を成り立たせている背景に目を向けた上で、"あなたの身の丈に合っているか"、"あなたに合った方法か"を判断するところから始めてみてくださいね。


『いいか、言葉を信じるな。言葉の持つ意味を信じるんだ。』



記事を気に入ったらコメントで感想をいただけるととても嬉しいです!(スキは訳あって苦手になりました。ごめんなさい。) サポートは『寄付・サポート資金』または『より充実したコンテンツをお送りするための資金』として大切に使わせていただきます。