見出し画像

得たものと失ったもの

半身浴と暗記の親和性の高さよ。

覚えたいことを紙に書いて、それを完璧に覚えるまで、見て暗唱、見て暗唱を繰り返す。紙に書いたことが、そのまま頭の中に思い浮かぶようになったら、「ようし、これで完璧」とお風呂から上がる。
半身浴しながら暗記すると、閉塞空間でそれしかすることがないという逼迫感と、じわじわ流れる汗と戦うという如何にも頑張っている感が、大いに私を味方してくれた。

医学部の試験は基本的に暗記が中心であるため、試験に出るポイントをまとめてそれをすると、だいたいの試験はクリアできた。試験が続くと、起きている時間は机に向き合い、そこから立つのは食事のときと、お風呂のときのみ。そんな生活を毎日繰り返すことになる。ちょっとのことでイライラしたり、覚えられないことに落ち込んだり、心がすさんでいった。

がちがちに凝った肩をマッサージしながら、母が言う。
「とうとうあなたは、毎日の唯一のリラックスタイムさえも失ってしまったものね。」

*****

「新幹線で書き物や読み物をすると、酔っちゃうんだよね」といっていた友人が、仕事人間となったある時、「新幹線で仕事が捗るようになった!」と。

なにか大切な感覚を失った人がここにも。

こういう、「身を削る系ライフハック」は、たまに奥の手で使うくらいの人生がいいなぁと、思った3連休でした。

#エッセイ #言葉 #ことば #頑張る #ライフハック #暮らし #母 #思い出 #仕事人間

最後まで読んでいただきありがとうございます。こうして言葉を介して繋がれることがとても嬉しいです。