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不思議な話★合縁奇縁/竹藪の記憶から大感激の再会

竹藪の情景描写は、何故か見たことあるような…

相談業務の仕事に就いた20代後半、大学3年の実習生が職場に来た。
明るくてぽっちゃり体系の、よく笑う女の子。
もう数十年経っているのに、2~3週間しか一緒に過ごさなかったのに、いまだに顔や雰囲気を覚えていて、頭の中のカメラがシャッターを切ったように笑顔が保存されている。

訪問に同行する際、おしゃべりで明るい彼女は自分のことを色々話してくれた。

「私にはお姉ちゃんがいて、自宅は歩くのが大変な坂道の途中にあって、

周りに店など何にもないところ。家の前の道の反対側は、竹藪ボーボーで、ホント田舎なんですよ~」などなど。

「ふーん、山の中だと帰りが遅い時なんか心配だね~」なんて言いながら、あちこちに連れていき、道すがら仕事のことを教えながら時が過ぎていった。
 
ある時、また自宅の近くの話になり、その時なんだかふと気になった。

「その風景って、なんだか昔見たことある気がする。」と。




昔の同僚4人で、海の近くの観光地に旅行に行った。
まだ、免許を取って間もないというのに。運転にも自信がなかったのに。
なんだか成り行きで車を出すことになって。

仕事の休みがたまたま合ったからだったのか…ちょっと面白い取り合わせのメンバー。
温泉につかり、未婚の女性4人で色々いろいろ恋バナなどおしゃべりして。
最終日にはお土産を買って、帰りに一人を家に送り届けた時、

山道で真っ暗だったため、家の前の溝に右の前輪を落としてしまったのだった。

脱輪~!どうしよう。なんてこった!


同僚の家にはお父さんは帰っていなかった。お母さんじゃ力もないし。




「昔、そんなことがあったんだよ、その同僚の子の家も反対側が竹藪だったなぁ~」と実習生のその子に話したら、

「それって、○○さんの家ですよね。

その時脱輪を手助けして、車を持ちあげたのは、隣に住んでた私とお姉ちゃんですよ~!!!」

二人して大興奮。こんな偶然って…!!!


恩人との再会。3年ぶり位だったかな?


幼くして亡くなった妹と、何だか雰囲気が似てる。漢字こそ違うけれど
同じ名前の女の子。今頃どうしてるかな?福祉の仕事をしてるかな?

竹藪の風景から、思い出話をしなければ、感激の再会はなかった。


仕事柄、人の話をよく聞いて、話をよく覚えているからこその、ご縁への気付き。ありがたや、ありがたや。

※合縁奇縁※
   『合縁とは人と人との結びつき、奇縁とは不思議なめぐりあわせや
          思いがけない不思議な縁
を意味している』とのこと。


あの恩人の彼女、今幸せでいてくれることを願う。


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