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『白オオカミの教え』:ウミネコ文庫‐童話(1397文字)幼児ー小学校低学年向け

はるか西の彼方かなた
き通る川が流れ、緑がしげるその場所で
白オオカミたちはしずかにくらしていました。

自分たちが食べられるだけの食料しょくりょうをとり、
ほかの動物がおびえずに水をめるよう
そっと身をひそめて、待っている。
白オオカミたちはやさしい部族ぶぞくでした。

そんな白オオカミたちにきばをむけてきた者がいました。
北の黒オオカミの部族ぶぞく
南の銀オオカミの部族ぶぞくです。
なわばりを広げようと黒オオカミと銀オオカミの戦いが始まり、
それは白オオカミの住む西の土地にまで広がったのです。

あらそいをのぞまぬ白オオカミは、しずかに自分たちの土地をあとにします。
どこへ逃げようとも、黒オオカミと銀オオカミの戦いの爪痕つめあとがのこされた土地ばかり。
食料しょくりょうもなく、白オオカミたちは一匹、また一匹と死んでしまいます。

白オオカミの長老ちょうろうは涙を流しながら、生き残っている者たちに
死んでしまった仲間を背負せおわせます。
そしてれを自分たちの土地である西へと戻らせることにしたのです。

やっとたどり着いた西の土地ではいまあらそいが続いていました。
長引ながびく戦いでゆたかだった西の土地はれはて
あちこちにきずついたオオカミたちがたお
き通っていた川は血で真っ赤にそまっています。

白オオカミたちはその光景こうけいに皆、涙を流しました。
長老ちょうろうがふときずをおって死んだ黒オオカミを見つめ、そしてそっと黒オオカミを背負せおい皆の所に運びました。
後を追うように他の白オオカミたちも、命を落としたオオカミたちを背負せおい、そして同じ場所に運びます。
黒オオカミに銀オオカミ、そして旅の途中とちゅうで死んだ白オオカミたち。


そんな白オオカミたちはいつの間にかきばを真っ赤にそめた黒オオカミと銀オオカミたちにかこまれます。
するどい目を向ける黒オオカミと銀オオカミを悲しげに見つめた白オオカミの長老ちょうろう
静かに口を開きました。

「よくみるがよい」
そう言うと長老ちょうろうみずからのきばで自分の足をかみ切りました。
傷口きずぐちからは血があふれ、白い毛はみるみるうちに真っ赤にそまってゆきます。

「私たちは毛皮の色も、目の色もちがう。生まれた場所も育った環境かんきょうもちがう。しかし、きずつけば皆同じように赤き血をながし、痛み、苦しむのだ」
長老ちょうろうが地面にならべられた命なきオオカミたちにそっと目をやりました。

それをきいた黒オオカミと銀オオカミたちの目がすっとき通っていきます。
この時にやっと自分の兄弟や子供たちが白オオカミの後ろで横たわっているのに気づいたのです。
黒オオカミも銀オオカミもその場にくずれ落ち、声をあらげてさけびました。
「なんておろかなことをしてしまったのだろう」

そんな黒オオカミと銀オオカミの元へと
足を引きずりながら長老ちょうろうが歩みよります。
「だが、歩みよることが出来れば、同じように笑い、よろこび、幸せにくらすこともまた出来るのだ」

声をあげ泣きさけぶ黒オオカミと銀オオカミにそっとささやきました。
「彼らを生まれ育った地にかえしてあげるが良い」

てた仲間を背負せおい、
黒オオカミは北へ、銀オオカミは南へと帰っていきました。
それぞれの土地に死んだ仲間のはかを作り、
時をへてはかはそれぞれの土地で山になりました。


真っ赤な満月まんげつが空にかがやく夜には
あらゆる方角の山々から、死んだ仲間をおもうオオカミのれの遠吠とおぼえが
今もずっと聞こえてくると言われています。

そして、西の空にうかぶ真っ白なくもが夕日で真っ赤にてらされる時
白オオカミの長老ちょうろうあらそいのおろかさを伝えていると
オオカミたちは今もなお、そっと心に目を向けるのです。


(1397文字)振り仮名含まず


****************

こちらに応募させていただきます。
なお、挿絵に関しては、ヘッダーで使わせて頂いたみれさんにアタック中でございます。笑笑
振り仮名等…ちょっと後で訂正しますが、ちょっと急ぎ足なのですみません。(更新:一応、おもいあたる漢字に振り仮名を振ってみました)

↓↓↓

お久しぶりです。おさぼりな七田でございます。
皆さまお元気でいらっしゃいますでしょうか?
実はこの夏2か月間ほど家族と日本に帰っておりまして、8月の半ばにこちらに帰国してから家族内でまたもや体調不良が。。。
9月いっぱいみなダウンでした。
やっとこノートに復帰と思った矢先…
「空き容量がありません」通知が!!!
今までためておいたミンフォト使用通知などで一杯だったメールを
急遽、整理中です。。。
お礼回りもしないままに過ごしてしまったおさぼりな私。
今、頑張って2年前私の写真を使ってくれた記事回りをしております。
写真を使ってくださった方々にも申し訳ないし、
お伺いできない皆様にも本当に申し訳ないです。
なので、、、通常お伺いやコメント返しが…かなーり遅れております。
本当に申し訳ありません!!!
ずっとメールも受け取れないんじゃ先に勧めないので、
ちょっと身勝手になってしまいますがお許しください!!!


今回のこちらのお話…短いですが…
ぼんラジさん!!!私、手を抜いたわけじゃないですよ!!(笑)

子供向けというのと、私自身 長文読むと眠くなる癖がありまして、、
(自分は長々書いているのにです!(笑))
この間も末っ子の宿題…息子が私に本を読んでいる途中。。。
寝てしまいまして…やっぱり短い方がと考えた末に短くなりました。(笑)

また、この白オオカミの言葉。
これは我が部族(私の主人と子供達の部族)である
Ponca族のチーフStanding Bearの名言を引用いたしました:)

This hand is not the color of yours, but if I pierce it, I shall feel pain. If you pierce your hand, you also feel pain.

私の手は貴方の手の色とは違う。けれど、この手に刃を立てようものならば私は痛みを感じ、あなたが同じように自身の手を傷つけようものなら、あなたもまた私と同様に痛みを感じるであろう。

ここから、今回のお話を導かせていただきました。
肌や目の色、外見や言葉などに違いはあれど、私達は皆同じ生き物で、
同じように哀しみ喜び、そして心を共有する。
そんな教えが、これから大人になる子供達に伝わるといいなと
私なりの想いを込めた作品です。
本当は白オオカミは北が良かったのですが…西に沈む夕日…
どうしても重ねたくて、西にしてしまいました。ふふふ。


読んでくださり有難うございました:)
そして、お友達の皆様…本当に、お伺いずっとできなくてごめんなさい。少しづつ顔出しいたしますね:)

七田 苗子

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