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アンパンマンの甘い罠

私は、アンパンマンが嫌いだ。
いかにも『子供向け』という感じが、どうも好きになれない。
従って、娘には絶対にアンパンマンを教えずに育ててきた。

しかしだ。出かけると、あちこちにアンパンマンの商品が並んでいる。
すると、一度も見たことがないハズの娘が、「あーっ!」と指をさし、
吸い寄せられて行く。
スーパーのチラシの小さなアンパンマンを見つけては指をさし、
テレビCMでアンパンマンを見れば、声を上げて喜ぶ。
一体、アンパンマンの何が良いのだ?

我が家では、どうしても手が離せない時、娘にテレビを見せる。
仕事と家事、育児をこなしている私にとって、
子供が夢中になるテレビ番組はありがたい。
私は悩んだ末、アンパンマンのアニメを見せることにした。
いや、これは仕方がないのだ。
夕食の準備をするには、30分ほどテレビに夢中になってもらう必要がある。
結果、娘はますますアンパンマンの虜になった。

「どのオモチャが欲しい?」
「アンパンマン!」

「どの洋服を着る?」
「アンパンマン!」

ある日、娘にアンパンマンを見せながら料理をしていた。

「かーっかっかっかっ、かつお節」

なんだ?
思わずテレビを見ると、『かつぶしまん』という武士が出ていて、
「かーっかっかっかっ、かつお節」
と笑っている。

かーっかっかっかっ、かつお節、、、。

めちゃくちゃ面白いじゃないか。

私は思わず最後まで見てしまった。
ちなみに『かつぶしまん』は、猫が苦手である。

衝撃の『かつぶしまん』以来、アンパンマンを一緒に見るようになった。
これが、実によくできている。
中でも、やなせたかし作の作品は、抜群に面白い。
友情やライバル、夢、希望、絆。素晴らしいのだ。
個人的には、ばいきんまんの生き様が好きだ。

私は娘をアンパンマンミュージアムへ連れてやることにした。
目的は、アンパンマンのダンスショー。
広場は、すでに親子連れで埋め尽くされている。
私たちは、後ろの方で見ることにした。

いよいよ始まった!
アンパンマンの曲に乗って、アンパンマンたちが登場。
ホンモノだ!思わず、私は声を上げた。

「アンパンマーン!」

そして手を振った。

アンパンマンを見て、娘は大喜び。一緒に手を叩いて踊っている。
私は目頭が熱くなった。
場内は「アンパーン!」の掛け声とともに、異様な熱気に包まれている。
みんな、すごい興奮状態だ。
私の気持ちも最高潮に達したとき、ロールパンナちゃんが目の前に来た。

「いつも見てます!!!」

思わず叫んでしまった。
着ぐるみのロールパンナちゃんに、だ。

おぉぉぉぉぉ。。。私としたことが。。。
おそるべし、アンパンマン。

そして私は、今日も娘を連れて、
アンパンマンミュージアムへ足を運んでいる。

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