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私の旅路No.8

それからも、お日様の話しとお月様の話しを交合に聞いては夜更かしをしていた。こんなに面白い会話を逃すなんて勿体ないと正直思ってしまったから。

時々、ふらっとやって来るコウモリに翼を借りて眠りにつければ満足と考えるようになった。その満足感は旅人にとって眠りの深さと時間が丁度良かった。けれど、たまに色鮮やかな夢を見るようになった。

そういう日は、旅人はお日様に起こされないと起きられないくらい深い海に浸かっているようだった。

コウモリは此所が好きだと唐突に言った。お日様やお月様は喜んでいた。私は、その日を境によく眠るようになった。


そして、何時終わるか分からない長い夢を見る時間が増えてきた。旅人が起きるときは、大体お日様に怒られていた。なぜ?どうして?と旅人は首をかしげた。

お日様は、「なんでそんなに眠っているの。眠っている間は楽しいの。」と旅人に尋ねた。お月様は、「お日様が眠っている間は異世界と繋がってしまうから帰るのが遅くなってしまうのかもしれない。」と、納得するように話した。

旅人は、最近みる長い夢の一つを聞かせてみようと、両者に対し顔を向け、口を開いた。「私は、薄暗い洞窟の中をひたすら歩いているの。そうすると、誰かの足音がするのだけど、音が響いて近くにいるのか遠くにいるのか判断することもできず、怖さだけが増してしまうの。そうすると、ついつい足早に歩いてしまって、だんだん怖さを乗せて足が前に前にと早く動いているの。走ってもその不安は消えることはなくて、どんどん近づいてくるけど、誰に追われているのかわからないまま夢が終わってしまう。」と語った。

お月様は、少し傾げながら旅人に告げた。「たしか、ここからそう遠くない場所に緑が広がった大きな木がたくさんある森があるはずよ。そこには、暗闇でも見渡すことができる黄色く光る眼を持つ動物がいると聞いたことがある。」と答えた。

それに対し、お日様は「もしかしたら、その動物は狼じゃないかしら。狼は、昼間はあまり身動きを取らない落ち着いた生活だけど、夜になると一変するのよ。暗い中でも自由に動ける光る眼と嗅覚で獲物を捕らえられるって聞いたことがある。」と答えた。

旅人は、洞窟と思っていたのは実は森だったのか。と考えたが、夢の影響でうまく眠れていない頭では答えが出ず、疲れてまた眠ってしまった。

この夢の正体はコウモリが、旅人に夢を見せる代わりに眠っている時間を食事にしていたのだった。そのため、食事の量を増やすため、夢の質が落ちてしまい怖く長い夢をみるようになっていたからだった。

きなこは、どんな感情や経験した人生だけでなく、名前も愛しています💓そんなピュアな愛情を隠さずに、たくさんの人たちに届けます!!よかったら、一緒に人生のネタを探しに行きませんか😊?